
【3分読書メモ】「マーケティングプロフェッショナルの視点」(音部大輔)を読んで
■基本情報
書名:マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント
著者:音部大輔
出版元:日経BP
出版日:2019年4月8日
ジャンル:マーケティング・経営学
読書メーター:https://bookmeter.com/books/13662076
■気になったポイント(引用文+コメント)
相手が一人であるほうが、ストーリーは語りやすいだろう。4Pにも一貫性が出る。つまり、マーケティングに投下できる資源の相乗効果を期待しやすくなる。一人の消費者の心を揺さぶることができるブランドは、きっと多くの消費者の心も捉えるだろう。
<メモ>ターゲットを絞り込むほどストーリーが練りやすくなり、同時にリソースをスマートに投下できる。ターゲットを徹底的に絞り込んだ上で詳細なモデルを打ち出すことができれば、そのユーザーに類似した別のユーザーも巻き込んで訴求できる。ゆえにターゲットの明確化はあらゆる場面で重要な手法だ。
もっと重要なのは、これらはすべて目的達成のための「資源」だと理解できることだ。ここから「強いとは資源をたくさん持っていること」という、「強さ」の定義が示唆される。
<メモ>保有する資源が多ければ多いほど、戦いにおいて圧倒的なアドバンテージを得られる。個人であれ共同体であれ、資源(手持ちで使えるリソース)が無ければ何事も始まらない。
活用できていない資源を見つけるもう1つのコツは、資源らしい資源のみを探さないことだ。見えていない資源を探すのだから、資源っぽくないものを見なくてはならない。現在のニーズには合わない製品特徴や、競合製品やサービスに対する優位点ではなく単純な「差」を眺めてみる。一般的には弱点に見えることも、その資源を強みとして使える状況が出てくることがある。
<メモ>一見何の役に立つか分からないものでも、視点を変えれば有益な資源となり得る。一つの物事を一つの視点だけで見てはいけない。”言うは易し行うは難し”だが、ネガティブな部分に目を向けると、通常では見落としていた強みが見つかるかもしれない。
ジャイアント・キリング(自分よりも強大な競合に勝利すること)の要諦は、現有資源をいかに強化し、あるいは競合に資源をいかにうまく使わせないか、だ。完全な正面衝突では、負けは目に見えている。こういった状況で重要なのは、見えない資源を使うことである。
<メモ>弱者が強者に勝つためには、勝利条件を明確にし、保有資源を強化することが大切。加えて、相手の弱点を把握するのも忘れてはいけない。つまり、自分を知り、相手を知り、環境(明確な勝利条件)を知れば負けることはない。古来より伝わる戦術書『兵法』にも同じことが書かれている。
満足は期待を越えた時に生まれる。
<メモ>顧客の期待に応えるだけでは単なる”期待通り”であり、真の満足感を与えることはできない。己の期待を超えた時に心から満足するのであって、「期待を超えた」という過程を生むためには何らかの意外性が必要となる。
【本書の感想】
「P&G」や「資生堂」など、数々の企業で25年以上もマーケティングに携わった筆者の教訓がギュッと詰まった名著。マーケティング分野の教科書というよりは、実務を通して磨き抜いたであろう筆者の知恵がコラム形式でまとまっている印象。基本的な内容はマーケティング分野で役立つメソッド集だが、”戦略”について書かれた項目はマーケターならずとも一度は目を通しておくべき。「強さとは何か?」という定義に始まり、「強者が強者たる理由」、そして「弱者が強者に立ち向かう術」等々、ライバル企業を相手に戦い抜いた筆者の考察が網羅されている。マーケティング業界を目指すなら是非とも読んでもらいたい一冊。
【こんな人にオススメ】
・マーケティング業界に携わるビジネスマン
・マーケティング業界を本格的に目指す就活生
・企業間における戦略の定義を知りたい人