【3分読書メモ】「使える弁証法」(田坂広志)を読んで
■基本情報
書名:使える弁証法
著者:田坂広志
出版元:東洋経済新報社
出版日:2005年11月
ジャンル:哲学
読書メーター:https://bookmeter.com/books/450010
■気になったポイント(引用文+コメント)
世の中のすべての物事はの進歩や発展は、右肩上がりに一直線に進歩・発展していくのではない。あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していく。
<メモ>ヘーゲルの提唱した弁証法は、我々が迎える未来を見通すのに有効なフレームワークである。物事の進化、発展は螺旋的に発生すると聞けば、歴史の重要性が何となく理解できるのではないだろうか。歴史上の大事件をよく見てみると、それが現代でも起こりうる性質を備えていることに気づくはず。これは何も史実に残るような大事だけでなく、ミクロな視点、つまり個人の成長過程においても見られる。原点回帰は成長の証でもある。
対立し、闘争している2つのものは、互いの性質が相互に浸透していく。
<メモ>互いに対立しあっているものは、衝突を繰り返すうちに互いの特徴を内包しながら止揚を迎える。つまり最初はいがみ合っていても、お互いの性質が相手に影響力を及ぼし、段々と本質的な部分は似通ってくる。
すべての物事には、その内部に”矛盾”が含まれているが、その矛盾こそが物事の発展の原動力となっていく。そして、この矛盾を機械的に解消するのではなく、それを弁証法的に止揚したとき、物事は発展を遂げる。
<メモ>世界は矛盾に満ち溢れている……。陳腐な表現ではあるが、世界の本質を突いた言いえて妙な表現でもある。世の中を形作ってきたAがあれば、それは違うと力強く否定するBがある。両者が互いに反発しあうだけでは何も生まれないが、両者の性質が溶け合い、全く新しい価値を持ったCが実ることもある。大事なのは対立者が己の正義を振りかざして潰しあうのではなく、"新しい何か"を生み出せるか、これがよく聞くアウフヘーベン?。
社会や市場の進歩と発展において起こる出来事の基本的な方向は、”合理化”と”効率化”です。
<メモ>その通り。世の中に溢れる色んなモノって、結局は合理的になるし、だからこそ効率化が進んでいく。それら2つの傾向をまとめて"便利になった"と言うのではないだろうか。ということは、不便なもの、昔流行ったけど消えていったものが再度日の目を浴びるにはどうすればいいのか?また世間で注目を集めた時に「どこが」「どんな風に」変わったのかを見つめ直すと、その他大勢と差がつけられる。
世の中の物事の多くは、ある”量”が一定の水準を超えると、突如、もしくは、急激に”質”が大きな変化を遂げるという性質を持っています。
<メモ>この法則は理解しやすい。ある商品において値下げ競争が激化すると、これ以上は値下げできない限界値に到達する。その限界値からは値下げできない、つまり安値によゆる優位性を保てないので、一転して高品質な商品を提供する高級路線へと進んでいく。ただ全ての物が高く、付加価値がつくのではない。あくまでも値下げ一辺倒の市場環境が落ち着き、段々と高級路線に舵を切る売り手が出て来るという話である。言わずもがな、この一連の流れは世間に大きな影響を与える。
【こんな人にオススメ】
・哲学を通して時代を見据える目を養いたい人
・ヘーゲル関連に興味がある人
・弁証法を実社会に当てはめる上で具体的な事例を知りたい人