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オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~ダブルスイッチ、サブマリン投法~(音楽編)

はじめに

初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になっております。
Missing、あるいは踪無影勿(あとなし・ような)と名乗るものです。
今年に入って三編19機種についてのレビューを投稿した、オーディオ沼に落ちた人間ではない、オーディオ初心者です。

先日、7月20日に『FiiO JH5』に関するレビューを行い、JH5の完成度の高さにそれはもうとてもとても満足して、オーディオレビューは一旦おしまい……となるはずだったのです

(先日の記事)

実際JH5は極めて高い完成度で、かつコストパフォーマンスにも優れるイヤホンだったのですが、唯一私が気になる点として挙げたのが「低域の迫力」についてです。力強さは担保されているが抑制的、という旨を記述していることから分かるように、いわゆる重低音についてはやや抑え気味の機種であったために、よせばいいのにその点を補完する、重低音に特段強みを持つ機種を捜索してしまいました。
そこで行きついたのが『radius』のNe:シリーズのイヤホンだった訳ですが、そのタイミングで特定機種の値引きセールが行われていたため、ついうっかりその機種をポチってしまいました。
ということで今回はその機種、『radius HP-TWF00』についてのレビューをやっていきたいと思います。機体としては7年前に発売されたものなのでレビューはわんさかあるものではありますが、まあそこはご愛敬ということで。


試聴環境は以前と同じく、有線イヤホンに関してはSONY WALKMAN NW-A306/MKにFiiO BTR5 2021をDACとして接続し、WALKMAN本体側の音量を「100」に固定したうえでDAC側のゲインをいじっています。
試聴楽曲は以前と同じプレイリストを用いていますが、これとは別に重低音に特色のある楽曲を集めたプレイリストを作成し、それに基づいた重低音特化のレビューもradius HP-TWF00のレビューの後で行っています。
なお今回、リファレンスのSONY MDR-EX800STに加えて、直近でレビューしたFiiO JH5を用いて評価基準を耳にセットし直しています。

レビュー項目については以前と同じく、
明瞭性
分解能
迫力
艶感(質感)
高域
中域(Vo.)
中域
低域(Ba.)
低域(B.Dr)
の各項目について素点を付け、素点平均を求めています。
また、言語的評価として、
音域バランス
遠近感
刺さり(聴き疲れやすさ)
外観
装用感
コメント
相性の良い曲
を設け、それぞれを言葉で評価しています。

レビュー本文

それでは早速やっていきたいと思います。


radius HP-TWF00 W n°0 “ドブルベ・アンテリュール”

概算価格:19,000円(セール時:15,800円)
接続:有線
ドライバ:1DD(9.5mm)+1VST[Vertical Support Tweeter](10.5mm)
公称周波数:20Hz~40kHz
インピーダンス:32Ω
感度:98±3dB
(DACゲイン:50)
その他:ディープマウントイヤーピース(標準付属)
    ブラックモデル

【外観】
本体の艶のある黒に金の差し色が印象的な、ミニマルだが高級感のある外装。MMCX端子が前方下側にあるデザインが特徴。

【装用感】
耳への収まりは良いが、ケーブルの位置の関係上、耳の下側にケーブル基部が接触しやすい。

【コメント】
全音域の傾向としては入力に対する反応が鋭利で、鋭く立ち上がって程よく余韻を残して鳴る感覚がある。音全体の重心は低く構えており、ドッシリとした迫力のある低音を感じることが出来る
中域はボーカル優位で、楽器の音がやや奥まって聴こえるが、埋もれて聴きづらいという事はない。やや鳴らしづらい機体だが、DAP/DACで適切な入力を行えば広い音場も相まってライブ会場のような臨場眼を味わえる
さんざん指摘されているケーブルの素材に起因するタッチノイズは気になるところだが、重低音から超高域まで精緻に組み立てられた音作りと言える。

【相性の良い曲】
奇跡
電波感傷
Scars


重低音特化のレビュー

このまま総括、とはいかず、今回追加レビューという事で、HP-TWF00を含む六機種について、重低音に焦点を当てたレビューを補足として記述させて頂きます。
追加レビューにあたっては、以下のプレイリストを用いています。アーティスト表記等は一部省略しています。

曲順.曲名/アーティスト

  1. 空白とカタルシス/トゲナシトゲアリ

  2. ZEAL of proud/Roselia

  3. INTERNET YAMERO/KOTOKO

  4. ダイジョブですか?/cosMo@暴走P

  5. KICK BACK/米津玄師

  6. Cold Edge/9mm Parabellum Bullet

  7. レクイエム/THE BACK HORN

  8. Fantasista/Dragon Ash

  9. Beautiful Now/Zedd

  10. Bow Down/I Prevail

この重低音に強く寄せたプレイリストで、今回のradius HP-TWF00と共に、リファレンス機のSONY MDR-EX800ST、直近でレビューしたFiiO JH5、その他低域に強みを持つと過去にレビューした機体三機種に対して、重低音に絞った印象をコメントでレビューしたいと思います。
コメントの前の数字は、低域(ベース)と低域(バスドラム)のレビュー評点です。


SONY MDR-EX800ST

[88-86]
楽器の前後関係が明瞭で、重低音はやや奥まった位置でズッシリと鳴っている感覚。量的不足は感じないが、低域全般の主張は控え目で、適度な下支えといった印象。


FiiO JH5

[88-84]
鋭いキック感で鳴るバスドラムと、キュッと締まったベースの美しさが特徴的。どちらかと言えば主旋律からボーカルにかけての押し出しが強く、低域の迫力はやや抑制的。


FiiO FD11

※販売終了製品
[86-92]
突き抜けるような迫力を伴ったバスドラムが前面に押し出されたサウンド。ベース音は楽器の中ではやや遠めの位置で鳴っているような質感で、シャキッとした立ち上がりで素直な鳴り方をする。


CCA Trio

[92-88]
体の内側に沈み込むような、ふくよかな深みのあるベース音が際立つ。バスドラム側の重低音は迫力の点でやや天井を感じる量感だが、締まりのある必要十分の質感を備えている。


GEEK WOLD GK20

[90-92]
ロックサウンドを中心に、ガツンとした強烈な迫力を伴うバスドラムがやや前に出ている印象。ベースは広がりのある空間を感じる質感で、量感も十分ながら他の楽器を邪魔しない適切なバランス。


radius HP-TWF00 W n°0 “ドブルベ・アンテリュール”

[92-92]
鋭く跳ね上がるようなバスドラムと、余韻を引いて鳴るベースの組み合わせが噛み合い、アタック感の強い重低音となっている。中高域の伸びも良いため音のコントラストが鮮明で、よりクッキリとした低域を楽しめる。


あとがき

乱文、長文にて失礼しました。
JH5の分と合わせて、素点平均が高い順に並べた表を更新します。

直近でレビューした二機種、FiiO JH5とradius HP-TWF00については同率の5位という順位になっていますが、上述した通り、音作りの性格に大きな違いがありますので、本レビューを含めて情報を総合した上で、出来るのであれば試聴を行ってから購入の判断を下すことをおすすめします。
個人的には評点通りに甲乙付けがたく、全体のスピード感とシャープな中域を求めるならJH5、重厚な低域とコントラストの強さを求めるならHP-TWF00という感じになりますでしょうか。
以前にも書いたことではありますが、イヤホンも適材適所ということを再認識したレビューとなりました。聴く音楽の傾向によって選択の最適解は異なり、逆説、それぞれの機体特性にマッチした音楽シーンで使ってあげることで、様々なイヤホンの個性を楽しむことが出来るのだと、オーディオ沼に落ちた人間ではないオーディオ初心者は思ったりしました。

それでは、この辺りで。ちなみに今回のタイトルは、単に「W(ドブルベ)」と「重低音」に野球用語を掛けたものなので、深い意味はありません。よしなに。
お付き合い、誠にありがとうございました。

Missing/踪無影勿




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