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仲介営業の心得
メーカー営業ではない商社営業として、ほとんど同じ仕事を40年間やってきて、商社中抜きのピンチに晒されながら、どのように取引を守ってきたか、仲介者としての存在意義がどこにあるのか、語ってみたいと思います。
私たちの日々の営業活動は問題解決と言えます。営業というと、新規売り込みをイメージするかもしれませんが、私の仕事はルート営業という分野で、決まったお客様にスペックインしている加工品、そのお客様でしか使えない受注生産品を納入、販売する仕事なので、競合先と受注を争うようなことも短期ではあまりないような仕事でした。
問題解決の内容は、短期では納期、中期では品質トラブル、長期では価格交渉でしょうか。
納期にモノが届かないといった単純なことはさておき、受注時にリードタイムが短すぎてお客様を説得するか、メーカーに無理を言ってなだめすかすか、接点を探ることになります。
私の基本スタンスは、どこにも敵はいない、ということです。
短納期で無理を言う発注担当者は、その先の工程、更にはその先の営業から無理難題を言われているのでしょうし、私が依頼するメーカーの営業担当も、工場から抵抗を受けて拒否せざるを得ないだけなのかもしれません。
私が直接話ができるのは、その両者だけなので、それぞれの立場に寄り添って、それでも妥協点を見つけなければならないので、仮目標を決めて旗を振ります。これを出せるのは、両者の事情を熟知していなくてはなりません。相手からわかってもらえているという信頼を得られなければ旗は振れません。
リーダーシップとは、混沌に秩序を見出すこと、というのを読んだことがあります。仲介営業とは、リーダーシップを取ることだと思います。リーダーシップを取れない営業は淘汰されるとも言えるでしょう。
この納期に関しては、お客様の要望に沿うことが原則だし、解決法は、いかに短縮するかアイデアをぶつけていくしかありません。物理的に不可能な場合は、いかにスピーディーにお客様にそれを提示できるかにかかっています。手元に材料が無ければ、今日加工することは不可能です。
車を仕立てて取りに走れ、とか、1日は24時間ある、とか、土日があるだろう、といった無理難題を言う方もいますが、勤務体系を短期間に変えるには余程の緊急事態であることを、その会社の経営陣に理解させる必要があります。
工場長が理解してくれても、休日出勤や夜間勤務に応じてくれる社員を募り、作業班が編成出来なければなりません。
こちらの責任の品質トラブルで、遅延すると先方に多大な損失が想定される場合は、そのような荒療治もあり得なくもありません。そのような場合であっても、やらせる、やらされるといった主従関係にせず、共通の目的を持った同志にしていくのが仲介営業の醍醐味だと思います。
納期に関して言えば、最後に赤帽やトラックをチャーターすれば解決できるケースが出てきます。工場側は、自分たちの落ち度であることが明白ならば経費を持ってやってくれるでしょうが、落ち度かどうかはおおよそ決められません。
そのような場合は、うちで経費を持つから手配してくれと即座に頼みます。そのメーカー営業には小声で「何かで返してよね」と言っておきます。まあ返っては来ないですが、今すぐ動かなければ解決出来ない時に動くのが仲介営業です。
余談ですが、お客様の明らかな発注ミスをカバーするためにチャーター車を走らせた時、今回だけは運賃をいただきますよと言ったら、「他の仕入先はみんな関西なので、そんなこと言われたことが無い」と払ってもらえませんでした。工場が関東にあるのが悪いとでも言われたようでした。まあミスを公にされたくないだけのことですが。
敵はいない。ですが、嫌な奴はたまにはいます。