医心館の疑心感 ③
医心館のビジネスモデルの考察 その2(契約内容について)
医心館とは、2014年の誕生以降、現在では全国に130施設以上が設立されている、急成長中の新しい老人ホームのような施設です。
関東南部にある新設されて間もない医心館で祖父がお世話になりました。ネットで検索しても施設内の様子を含めた具体的な情報が全く見つからなかったので、その時の経験を踏まえて、気がついたこと感じたことを共有したいと思います。興味のある方は、スキとかコメントをしてください。分かりにくい施設だと思うので、需要があればいろいろ記事にします。
なお、疑心感というのはゴロがいいだけで、そんな日本語は存在しません。不信感とまはでいかない猜疑心といったニュアンスでしょうか。事実ベースではあるけど、この記事はあくまで個人の感想ですのでファンタジーだと思って受け止めてください。
本記事は前回の記事の続きです。
前回の記事では、医心館の個人投資家向けの収益構造のスライドから以下の特徴をピックアップしました。
今回は、”医療機能のアウトソース”の部分について考察を深めます。そのためにはまず、医心館の利用者の立場になって、入館時に必要になる各種の契約について見ていきます。(契約書の名前は正確ではないかもしれません。また、全ての医心館で共通ではないかもしれません)
主な契約
それぞれの契約内容について詳しく説明します。
まずは[① 入居契約]について、要するに部屋の賃貸契約です。もちろん個室です。詳しくは以下の情報をご覧ください。なお、住民票も移せるそうです。敷金、礼金はなかったです。
祖父の場合は、居室に立派なテレビと冷蔵庫、洋服ダンスも備え付けでした。もちろんエアコンも、リモコン式の明度調整が可能な照明も、カーテンも付いています。また、高価な介護用ベット、褥瘡防止のエアーマットも備え付けでした。自宅介護の時には介護保険を利用して介護ベッドをレンタルしていたのですが、それは解約しました。また、別途改めて記事を書くかもしれませんが、ゆったりとしたお風呂やトイレなどの共用の設備も利用できます。それに水道、光熱費も混みで、近隣の1ルームマンションと同等程度の価格でした。(立地が駅近なのもあり少し高いかも)
そこに、おむつ、リンネ、食事、衣服、おやつ、生活消耗品、などの消耗品やオプション契約の金額が加算されるのですが、それらはいずれも良心的な価格です。例えば食事は1日3食で1200円程度でちゃんとおいしいです。
続いて[② 介護サービス利用契約][③ 訪問看護利用契約]について、これは同じ医心館の建物の中にある訪問介護ステーションと、訪問看護ステーションとの契約です。本来であれば個人宅まで出向いて訪問サービスをするところを、同じ医心館の建物の中にある居室に訪問をするわけだから、同じ訪問サービスでも、めちゃくちゃ効率的なことが容易に想像できます。契約は必須です。
ここまでの①②③が、医心館(および運営会社)との契約になります。
続いて[④ 訪問診療契約][⑤ 訪問薬剤管理指導契約]について、これらが”医療機能のアウトソース”の部分です。訪問診療、訪問薬剤管理指導を行っている近隣のクリニックや薬局との契約になります。こちらも契約は必須です。それぞれ、利用者と施設の2者間契約になるので、そこに医心館の介入はありません。とはいえ、医心館と提携している施設が紹介されます。別の施設に変えることは出来ないのですか?と聞いてみたところ「どうしても紹介された施設を変えたい場合はご相談ください」と言われましたが、そんな例外は実際にはないようです。
さて、ここで私はいくつかの疑問に直面します。祖父は神経系の指定難病で国立の専門病院に通っていました。とはいっても半年に一度程度、経過を観察をするだけで、治療や投薬はありませんでした。まず、医心館に入ると他の医療機関に罹ることは出来ないといわれました。今後は訪問診療の契約をしたクリニックの先生が唯一の主治医となります。続いて、訪問診療は月に2回の契約になっていて、体調が良くても少なくとも月に2回はお医者さんが診に来てくれて、あらゆる体調の不調について対応してくれます。訪問薬剤管理指導についても同様で、契約した薬局の薬剤師が、処方された薬を持ってきてくれて、その薬に関する指導や管理を定期的にしてくれます。主治医が替わるのは良しとして、手厚い医療体制なのはありがたいものの、その費用を払うのは利用者だし、いくら何でも手厚過ぎやしないか??と思うのです。
結論から言うと、契約内容の変更という選択肢は(おそらく)無いのと、経済的な負担は(ほとんど?)ないのと、結果的には手厚い医療体制がとてもありがたかった、という状況でした。このような記事を書いておきながら詳細を把握出来ていないのは申し訳ないのですが、費用に関しては、ケアマネさんと相談する事で、結果的に手厚い医療体制を提供して頂いても自己負担額にほぼ増減は無く、医心館から説明を受けていたとおりの概算の費用の中で収まりました。
なお、医心館への入館の日には、ケアマネさん、クリニック、薬局、などの医心館以外の組織の方を含め打ち合わせが必要ですが、そのスケジュール調整はもちろん全て医心館側で行ってくれて、次々と挨拶、重要事項説明、契約締結の手続きを進めていく感じです。各種の契約書の内容を読むと、それぞれは個別の契約内容なのですが、実際には医心館という場所を中心に、それらの関係する専門家の方々が、シームレスに連携をしてくれます。病院や特養のようなオールインワンの包括契約では無いので、なにか不安な気もするのですが、実際にはこれがうまく運用出来ていることが、このビジネスモデルのすごいところだと思いました。
次回は、何故これがうまく運用できているかのwin-win…の関係について考察したいと思います。
読んでいただきありがとうございました。医心館について興味のある方は、スキとかコメントとかリアクションしてください。需要があればいろいろ記事にします。