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医心館の疑心感 ②

医心館のビジネスモデルの考察 その1(収益構造について)


医心館とは、2014年の誕生以降、現在では全国に130施設以上が設立されている、急成長中の新しい老人ホームのような施設です。

関東南部にある新設されて間もない医心館で祖父がお世話になりました。ネットで検索しても施設内の様子を含めた具体的な情報が全く見つからなかったので、その時の経験を踏まえて、気がついたこと感じたことを共有したいと思います。興味のある方は、スキとかコメントをしてください。分かりにくい施設だと思うので、需要があればいろいろ記事にします。

なお、疑心感というのはゴロがいいだけで、そんな日本語は存在しません。不信感とまはでいかない猜疑心といったニュアンスでしょうか。事実ベースではあるけど、この記事はあくまで個人の感想ですのでファンタジーだと思って受け止めてください。

本記事は前回の記事の続きです。


前回の記事で、医心館のビジネスモデルの特徴を以下のように説明しました。

簡単に説明をすると、医療行為をアウトソースすること、介護保険と医療保険をダブルでフルに活用すること、対象の患者を集中的に選択すること、で超効率的なサービスの提供を実現しています。私はIR情報を読み込んだとき、このビジネスモデルを考えた人は天才かと感心をしました。

より具体的には以下のスライドを見てみましょう

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特徴が沢山ありすぎて、どこから見ていくべきが悩むほどですが、まずは左図の情報から以下の特徴がうかがえます。
・対象の患者さんは終末期であり、かつ医師の寄与度が低いこと
・医療の機能は外部にアウトソースしていること
まず、医心館の大きな特徴の一つとして、終末期であったり神経系の難病を抱えていたりと、介護や看護の依存度を高い患者さんでありながら、積極的な治療は行わず医師の寄与度が低い患者を選択していることにあります。介護が必要でも終末期ではない痴呆症の老人なんかは対象外です。これらの選択された対象の患者さんが、介護や看護が楽な集団だとは思いませんが、同じような症状の患者さんのみを選択することで、想定外の事象が起きにくくなり、介護体制のスケジュールも組みやすく効率化が図れることは容易に想像ができます。
そして、もう一つの大きな特徴が、医療の機能つまり医師のアウトソースです。医心館は終末期の患者を集めた施設でありながら、医療施設ではありません。(※施設名に「医」の字があるのに)医療施設ではないということは、医療法による開設時の都道府県知事の許可や、医師を含む人員配置基準や、施設に関する基準の対象になりません。また、医療施設は薬機法により医薬品や医療機器の取り扱いに関して厳格な規制を受けますが、医心館はその程度も軽減されます。同じく医療安全管理体制の整備や感染対策についても、医療施設のような厳格さは求められません。

医療行為をアウトソースることで、診療報酬による収益は得られませんが、それ以上のビジネス上のメリットを得えているようです。医師の確保、およびその人件費だけを考えてもメリットは大きそうです。

また、終末期でありながら医師が常駐する医療施設ではないところに住んでいるのは、利用者の選択であり責任です。急変が起きて手当が遅れたとして、医心館に責任はないでしょう。と、すこし意地の悪い言い方をしましたが、医心館があくどいことをしているわけではありません。
積極的な治療を行わない終末期の患者は、病院に入院するのは難しく、でも重度の介護が必要なのに、特別養護老人ホームは入居予約待ちで入れない、訪問介護を利用しての自宅での生活には限界を感じていて、その家族の生活が犠牲になって悲鳴を上げている、という問題が日本中でおきていて、そこに社会的なニーズがあるのです。医心館そのソリューションを提供しています。

では、医心館は何で収益を上げているのか?というと、スライド右下の図から、介護と看護による収益が9割であることがわかります。注目すべきは、施設利用料や食事で商売をしようとしていないこと。この部分は原価に近いような額しか利用者に請求しないため、利用者の負担は軽減されます。一方で介護と看護のお金はどうなっているのか?というと、医心館の入居対象となる患者さんは要介護度も高く、医療保険と介護保険、または指定難病の補助などにより、そもそも社会保険制度により定額の負担しか求められないため、あとはすべて公的なお金が投入されているのです。つまり、どれだけ費用がかかろうが、利用者の懐が痛むことはないのです。設備や食事で差別化を図ろうとする高級な老人ホームとは全く異なるビジネスモデルなのです。

実際に、医心館に入居した際、初期費用は一切かかリませんでした。また自己負担が必要な額のおおざっぱな説明(本当におおざっぱで、かつさほど正確ではないので、詳しくはケアマネさんと確認した)しかなく、上述の説明を含め、いったい医心館にいくら支払われることになっているのか?などの説明は皆無であったが、利用者はその仕組みを理解せずとも恩恵を受けられる仕組みなのです。その最たる例として、医心館では生活保護者の受け入れもしている。それを見て正直恐ろしいと思った。ヤクザが運営するホームレス支援のNPOなんかと同じように、社会的ニーズという大義名分のもとに、社会保障費を食いつぶしてはいないかと…

今回はひとまずここまで、入居して感じたことや疑問に思ったことなども書こうと思っていますが、ビジネスモデルが興味深すぎたのでその考察はまだまだ続きます。


読んでいただきありがとうございました。医心館について興味のある方は、スキとかコメントとかリアクションしてください。需要があればいろいろ記事にします。

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