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儀助の老いと孤独に気が滅入り、平山に希望を探す
仕事帰りにTOHOシネマズ シャンテで「敵」を観てきました
10ヶ月ほど前に同じスクリーンで観た「PERFECT DAYS」を思い出します
2つの映画には、比較をしたくなるような類似性を感じます
「敵」の儀助は、慎ましく孤独に老後を過ごしています
毎朝、こだわりの豆で丁寧にコーヒーを挽き
「残高に見合わない長生きは悲惨だから」と、自ら定めたXデーに向かって生きている
そして敵に恐れおののく儀助を見て、こんなふうに死ぬのは嫌だと感じる
いっそのこと義助が花咲か爺さんや瘤取り爺さんの隣家に住む強欲ジジイであったらならよかったのにと思う
でも義助は、知的で理性的な気品にあふれた紳士です
そんな義助が、なぜ日常も現実も敵に脅かされたのか
それがこの映画のホラーなところです
義助は私たちと同じ、いやむしろ私たちよりもずっと立派で賢い人格者なのに、老いや孤独にうまく向き合うことが出来なかった
日常を完璧に平和に過ごしているように見えていたのに
鑑賞後、私は義助に希望を見出すことが出来ず、喧噪とした日比谷のガード下の飲み屋街を、汚く不愉快に感じました
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「PERFECT DAYS」の平山も、慎ましく孤独に老後を過ごしています
毎朝、いつもの自販機で缶コーヒーを買い
「今度は今度、今は今」と今日を生きている
木漏れ日を慈しみ夕日を浴びて感極まる平山に、こんなふうに生きていけたならと思う
鑑賞後、喧噪とした日比谷のガード下の飲み屋街が、美しく愉快に感じたのを思い出しました
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最後まで読んでいただきありがとうございました