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忘れてたぜ、ヴィンセント・ギャロ

youtubeのおすすめ動画で変なのが出てきて、スルーしようと思ったのに後ろ髪を鷲掴みされてしまった。天才か。

バッファロー'66は、学生の頃にその当時付き合っていた彼女と一緒に映画館に見に行ったはず。永野の言う通り、それは流行でありファッションだった。Trainspottingの次はこれだ!といわんばかりに、詳しいことは知りもせずに、ヴィンセント・ギャロのことをいち早くかっこいいと語ることが、かっこいいことだと信じて疑わなかった。感想はというと、特に悪くはないけど、ジャッキーブラウンの方が断然面白いと思っていた。すっかりと存在を忘れていたギャロへの申し訳なさと、軽薄な自分への戒めを兼ねて、バッファロー'66の再視聴したのだが、想像していたのよりも何倍も分かりやすく、そして面白かった。タクシードライバートラビスは、バイオレンスに殺し合いをし、レオンは逃げきれずにマチルダと生き別れた。10代の私は新しい刺激をビリー(ギャロ)に求めて肩透かしを食らう羽目になったが、40歳を過ぎた今の私にとっては、恥じらいながらニタニタと上機嫌にハートのクッキーを注文するビリー(ギャロ)こそが勝利なのである。

ブラウン・バニーについては、いつどこで誰と見たのかも思い出せない。妻と見た可能性が高そうだが、あいにくそれを気楽に確認できる関係では全然ない。ブラウン・バニーにに何か記号めいたものを勘ぐられて、より状況が悪化しても困る。ブラウン・バニーこそクールなファション映画だと思ったが、最後の過激な展開については称賛しがたい。それこそファション感覚で淡い期待を寄せたリア充で軽薄なミーハーどもへのギャロからの逆襲なんじゃないかとさえ思った。

いつの日か『バッファロー'66の衝撃から四半世紀!鬼才ヴィンセント・ギャロが放つ、魂を揺さぶる新作が遂に解禁!映画界の常識を覆す、前代未聞の映像体験があなたを待つ!見逃せば、一生の後悔となる必見作!』なんて映画予告をTOHOシネマズ シャンテで目にする機会があればいいのだが、そうでもなければ今度こそヴィンセント・ギャロのことを思い出すことはもう二度とないのかもしれない。(それでもかまわない)

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