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30年ぶりの角川スニーカー文庫『誰が勇者を殺したか』を読んで、あいつの事を思い出す

勇者は魔王を倒した。同時に――帰らぬ人となった。

魔王が倒されてから四年。平穏を手にした王国は亡き勇者を称えるべく、数々の偉業を文献に編纂する事業を立ち上げる。

かつて仲間だった騎士・レオン、僧侶・マリア、賢者・ソロンから勇者の過去と冒険話を聞き進めていく中で、全員が勇者の死の真相について言葉を濁す。

「何故、勇者は死んだのか?」

勇者を殺したのは魔王か、それとも仲間なのか。王国、冒険者たちの業と情が入り混じる群像劇から目が離せないファンタジーミステリ。

『誰が勇者を殺したか』あらすじ


この本の存在はこちらの記事で知りました

なんと想像力を掻き立てる魅力的なタイトルでしょう、読む前からすでに著者に一本取られた気分です 

ロトの称号を与えられるのも、お姫様と結婚をするのも、国民からの誉を一手に受けるのもすべて勇者であり、他のメンバーは引き立て役に過ぎません、そこに妬みの感情が芽生えたとしても不思議ではありません

また王家の側にしても、気前のいい約束をしてしまったものの、どこの馬の骨かもわからない戦士に、姫や王位を譲ることに躊躇し、魔が差したとしても不思議ではありません

そして本当の悪魔というのは欲深い人間の心であって、魔王を退治したことで油断をしている勇者を殺め、漁夫の利を得ようとする輩どもがいても不思議ではありません

RPGの黄金期(諸説あり)を過ごした私にとっては、タイトルを見ただけでも十分楽しめました 

なので読まなくてもいいかとも思ったのですが、著者に敬意を示して読みました 感想としては、よくもこんなにもキレイにまとめたなと感心させられるほどのよくできたストーリです、お勧めします!

ところが.…
個人的にはファンタージーが過ぎるというか、キレイ過ぎるというか、もっと死人がゴロゴロ出るようなシビアでドロドロとした、六法全書が出てくるような展開を期待しちゃいました 

相続の権利を主張する会ったこともない叔父さんが登場したり、お姫さまに内縁の夫がいたり、王様に無断で魔王を倒せない方の逆張りの事業投資に全ツッパしていた大臣がいたり…

でもこれ、角川スニーカー文庫ですから、そんなはずないですよね
全部私が悪いです


ところで、角川スニーカー文庫というレーベルを見て、中学生のころに友達からゴリ押しされて読んだ、ライトノベルのことを思い出し懐かしくなりました

自宅の本棚にも、学級文庫にも、図書館にも存在していなかったライトノベルなファンタージ作品というのは、なんだか人には見られてはいけない禁断の書物のような感じがして、カバンに入れて学校に持っていくのにドキドキしました

今となってはその作品を思い出すことができないのですが、いろいろとネットを検索をしたところ、おそらくは以下なんじゃないかと思います(角川スニーカー文庫じゃなかったよ) 

結構おもしろくてシリーズもので10冊くらいは読んだと思うのですが、どういうわけだかその友達と疎遠になってフェイドアウトしちゃいました

そんな池田君も『誰が勇者を殺したか』を読んだのかなぁ…

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