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岩井俊二、解禁!!ラストレターが全方向に楽しめた話
先日、中山美穂の訃報をきっかけに岩井俊二のラブレターを、いえ中山美穂のラブレターを久しぶりに視聴しました
岩井俊二は、間違いなく私の青春の一部です その界隈では、酸いも甘いもありました
私だけの変わった習性なのか、よくあることなのか分かりませんが、私はあまりにも好きになった作家の新作を、ある時からパタリとフォローしなくなることがたびたびあり、岩井俊二もまさにそれでした 魚喃キリコや村上春樹やタランティーノなんかもその仲間で、あんなに夢中になっていたのに何故…
先日サブスク動画でラブレターを見たときに、アルゴリズムが私にラストレターの存在を教えてくれました なので、思春期だった高校生の頃ぶりに岩井俊二の作品に再び触れてみることにしました
なお、この時点で私がラストレターについて知っていた情報は
①岩井俊二の監督作品であること
②松たか子が出演していること(サムネイルの画像が松たか子だった)
の2点のみでしたが、いざ視聴をしてみたら、あちこち楽しすぎて、凄く嬉しい気持ちになりました
前置きが長くなりましたが、そんな特殊な状況で視聴したラストレターの感想です
1)松たか子がすばらしい!
ぶっちゃけて言いますと、彼女にはヤマザキ春のパン祭りのイメージしかなく、松嶋菜々子との違いもよく分からないくらいの認識だったのですが、あらゆる演技が素晴らしくて一気に好きになりました
笑顔も、怪訝なしぐさも、コミカルでおどけた様子も、すべて素敵で、娘に対するしぐさ、息子や息子の友達に対するしぐさ、初恋の憧れの先輩に対するしぐさ、旦那に対するしぐさ、姑に対するしぐさ、などなど、一見どれも同じようにも見えるのだけれど、それぞれがごくごく自然にリアルなのが本当にすごいと思うし、そんな演技を見ているだけで楽しくて、これだけすでに十分いい映画です
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2)庵野さん何やってるんですか!?
明らかに子役たちより演技が下手で微笑ましい
耳をすませばで、しずくのお父さんの声優を演じた立花隆を彷彿させます
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3)浅野すずではなくて…広瀬すずが相変わらずとてもいい!
松たか子とのダブル主演といっても過言ではないほどに、広瀬すずが一人二役という重要な役割で出演していました そう、まるでラブレターの中山美穂のように
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彼女の存在を知ったのは、海町diaryのすずちゃんで、あれからおよそ5年後の作品であり、どちらの映画でも演技はすごく似ているのですが、どちらも素晴らしいです でも、5年前のあどけなさはそのまま、さらに魅力的になっていました
4)中山美穂が登場!
ラブレターを視聴した直後だったので、まさかの出演に驚きました
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5)豊川悦司も登場!
中山美穂に続き、ラブレターからの友情出演でしょうか?
しかもバッチバチの強キャラで、クソ野郎のくせにセリフに説得力があり、死人がゴロゴロと出そうなほどのパンチ力 福山雅治の正論パンチはかすりもしない完全試合を見させられて呆気に取られました
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6)岩井俊二たらしめる作品
後から調べたところ、本作は、原作、脚本、監督、編集ともに、すべて岩井俊二であり、またラブレターのセルフオマージュのような要素もあったりと、要するにかなり岩井俊二の濃い作品だったようです
まず、原作と脚本がすばらしいです ラブレターのようでラブレターとは異なり、でもラブレターに引けを取らない、コミカルでありながら哀愁をまとった切なく不思議でロマンチックな物語です また、タイムリープもパラレルワールドもないのに、まるでSFファンタージのような見事な展開です
多感な青春時代に視聴したundo、Love Letter、PiCNiC、スワロウテイルに引けを取らないどころか、今の私にはラストレターが丁度いいです ラブレターもそうでしたが、その気になればもっとドラマチックな展開にもできるのに、それをしない良さが岩井俊二たらしめる所以なのかなと思いました
ラブレターはずいぶん前に見たけど、ラストレターは見ていないな、という方に特にはおすすめです!!
関係ないけど、牛尾憲輔は岩井俊二に似ていると思う、どっちも好き
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