今更レッド・デッド・リデンプション2にハマり、今更絶望した話(ネタバレ有)
「レッド・デッド・リデンプション2」いうゲームを、今更購入し、今更プレイした。
ぼくはそれまでオンラインゲームばかりをやっており、こういったゴールのあるオフラインのゲームをプレイするのは久しぶりだった。
結論から言うと、本当にハマった。
まだ完全にクリアはしていないが、トータルで140時間プレイした。汚い話だが支払った分の元は取れたと思う。なぜハマったのだろう?
映画のようなゲーム
ぼくはこのゲームをプレイする前に「METRO EXODUS」というFPSをプレイした。
このゲームも非常に出来が良かった。ビデオメモリをふんだんに使い、きれいで、さながら映画のような迫力があった。
そう、この「METRO EXODUS」は映画のようなゲームだった。
映画を見ている。他人の人生をただ客として見ている。そんなゲームだった。プレイヤーのアルチョムは有能な兵士で、核汚染後の地球で安住の地を見つけようと列車に乗り奔走する。その中で様々な出会いや困難を仲間とともに乗り越えるというストーリー。わかりやすい。
「レッド・デッド・リデンプション2」も、映画のようなゲームだという意見を見た。
「レッド・デッド・リデンプション2」
1899年のアメリカが舞台になっている、現代に向かっていく激動の流れに対し、主人公のアーサー・モーガンがどう生きるかを描いたものだ。
ブラックウォーターという都市で強盗に失敗し、仲間を失いながらも逃げ延びた先で、ボスであるダッチに従い、悪事を働いていく。銀行強盗や殺人、対立するギャング「コルム」との抗争、高利貸し。自身らも賞金首であるため、政府や強盗を働いた相手である大企業にも狙われている。
それでも、アーサーたちは逞しく生きてきた。酒を飲み、歌を歌い、緊張の中でも楽しみを見つけてきた。
しかし、段々と不穏な影が彼らに覆いかぶさっていく。
年若いギャングのショーンが殺され、馬の世話係だったキーランがコルムに惨殺される。サンドニという巨大都市での銀行強盗では、ホゼアというダッチの親友が彼の目の前で射殺され、若い兵隊のレニーもその途中で死亡する。妻子を持ったギャングのジョンも、その混乱に乗じて逮捕されてしまう。
犠牲ばかりが増えて、何もかもがうまくいかない。ダッチは焦りと苛立ちを隠せなくなっていく。
彼の情婦のモリーはヒステリックで、焦る彼からは愛情がもらえないと怒り狂い、更にダッチを追い詰める。
そして、遂にダッチギャングは完全に崩壊する。ダッチの側近だったマイカという男が、敵と内通していたのだ。失敗はダッチの焦りもあったが、マイカの裏切りによるものが大きい。
アーサーの人生を追体験する
ぼくがこのゲームにハマった一番の要因は、アーサー・モーガンになり切れたところだと思う。
ジャンルはアクションだが、突き詰めれば「アーサー・モーガンゲー」といったところだ。
プレイヤーが見ることの出来るアーサー・モーガンの人生は、おそらく百凡のゲームの主人公よりも濃いものだ。
ゲーム内の時間で言えば、数か月の短い期間だが、アーサーはダッチの下で悪事を働きながらも、一方で善行を施すことができる。この施すことができる、というのが重要で、アーサーは困った人を助けることも、見捨てることも出来る。
この行動はすべてゲーム内に記録されており、人助けをすると、のちに再会した時に感謝や礼をもらえる。
そのほかにも、フレンチカンカンを観たり、ポーカーやドミノを楽しんだり、狩りや釣りを行うことも出来る。適当な場所で野宿をし、狩った動物の肉を焼いて喰らう。
知らない人に声をかければ、物騒な時代も反映されており、基本的には敵対されるが、中には親切な人もいて、一緒に暖まろうと焚火に誘われたりもする。
見知らぬ人を手助けし、新しい発見をする。それに素直に驚いたり楽しんだりするアーサー。
アクティブで多趣味な彼の人生はかなり面白い。
ゲームに絶望さえ覚えた終盤
アーサーは終盤、自分が結核を患っていること、そして余命いくばくもないことを知る。ゲーム序盤で依頼された、ギャング仲間に借金をした病人から債務を回収をした際に感染してしまったのだ。
残されたわずかな時間、アーサーは崩壊するギャングのことを考える。あこがれだった、慕っていたダッチがどんどんと狂っていく。アーサーが仲間であるジョンを牢獄から助けるも、誰が命じたと激昂する。マイカは見知らぬ連中をキャンプに連れ込み、何やら企んでいる。同じくギャング仲間のハビアやビルは、盲目的にダッチに従っている。
この結核を患ったアーサーが、本当に見てて痛々しい。飲食をすると咳き込む。顔色が悪い。しゃべる際も、咳が続く。アーサー・モーガンは強く、逞しく、誰にも負けない男だっただけに、この終盤はかなり心に堪えた。
狩りやアクティビティなどの寄り道はやめて、ストーリーを進めていった。
これ以上弱ったアーサーを見たくなかった。早く終わってくれとばかりに、話を進めていった。
その中で、戦争で片足を失った老人に出会う。ハミッシュと名乗る彼は、山奥に一人暮らし、狩りをしながら楽しく暮らしていた。ひょんなことから彼と知り合ったアーサーは、彼に誘われ、釣りや狼狩りをする。疲れ切ったアーサーが、久々に楽しんでるな、とこっちまで楽しい気分になった。それこそ山奥でひっそり暮らすのも悪くないよな、と。
ところが、三度目の狩り。手分けしてイノシシを探したアーサーとハミッシュだが、ハミッシュの方にイノシシが現れ、彼は食い殺されてしまう。
この時はこのゲームの中でも本気で絶望した。かけがえのない友人を失った、そんな気分だった。
自分を見失ったダッチ、自分を見つけられなかったハビアとビル、徹底した利己主義者のマイカ
度重なる失敗と逃亡に疲れ果てたダッチはいよいよ、金のことばかりを口にするようになる。
アーサーに比べてはるかに付き合いの浅いマイカの甘い言葉を一も二もなく聞き入れるようになる。
ダッチは先住民と軍を衝突させたり、列車強盗を計画したりと、場当たり的な行動をギャングに命じる。
アーサーは辟易しながら、段々と彼に意見するようになる。
そうなるとダッチも面白くない。目をかけてきた男が、自分の意志に背くようになるとは。彼は冷静さを失っていた。殺すまででもないが、死んでも構わない、とばかりに、アーサーを最前線に立たせたり、彼が危険な目にあっても見て見ぬふりをしてその場を去るなどの行為を平然と行うようになる。
古参のハビアとビルは、ひたすらにダッチに従ってきた。文句も賛同もせず、ただひたすら、アヒルのようについていった。彼の下でしか生きていけない。そう呟きながら。
マイカは、自分にとって使える人間と使えない人間を分けるタイプだ。序盤から女や子供といった非戦闘員は切り捨てるべきだとダッチに進言し、アーサーが病気で弱っていることを知るや、小ばかにした態度をとる。一方で、ダッチギャングを乗っ取ろうと画策したのか、あるいは金に目がくらんだのか、敵対する組織「ピンカートン」に雇われ、ダッチの居場所や行動を逐一報告していた。
よかった、と思えた最期
真実を知り、マイカを裏切り者だと罵るアーサー。当然、マイカはとぼける。
アーサーの言葉を信じ、ショットガンを構える女性スーザンを、一瞬のスキで射殺しながら、マイカはダッチにどちらが正しいかの選択を迫る。そこへ現れるピンカートンの軍勢。これをチャンスと見たのか、マイカはアーサーこそ裏切り者だと叫ぶ。ダッチは自分に意見するアーサーより、マイカを信用した。
ピンカートンに追い詰められたダッチギャングは散り散りになりながらも、それぞれの目的のために動く。
アーサーはジョンを逃がすため、マイカはアーサーを裏切り者として殺すため。
アーサーに追いついたマイカはアーサーとの壮絶な殴り合いの末に現れた、ダッチの存在に安堵する。あとは病気とダメージで死にかけているアーサーを、その手に持った拳銃で射殺すればすべてがうまくいく。裏切り者を早く殺せとダッチに言う。
それでも、ダッチにはできなかった。それが何を意味しているのかは分からなかったが、黙ってその場を去る。マイカはその姿に嘆息しながら、自身も逃走。
残されたアーサーは、穏やかな表情で、朝日が昇ると共に、静かに息を引き取った。
守るべきものを守り、満足したまま死んだ、そんな最期だった。
「レッド・デッド・リデンプション」は本当に面白い
終盤は絶望し、早回しをするようにゲームを進めたが、それでも本当に面白いゲームだった。
アーサーは結核で死亡し、主人公は彼が逃がした男ジョンに代わる。
エピローグとされているため、そこまで長くはないだろうが、最後まで楽しみたいと思う。