16曲目 23歳の悩みに応えてみた。
結局見た目より中身。明日は我が身、気をつけなはれや。たらればの自慢話より何かを与えられた1日にこそ満足度は高い。知らんけど。
昨日、23歳の若者が独立をしたい、今悩んでると相談に来てくれた。そして別でうちのバイトちゃんが幼馴染を連れて飲みに来てくれた。
どちらもすごく嬉しい。
うちのお店は予約制。
予約のない時は、こうしてできる限り常連さんだったり、来てくれたお客さんへの対応をするのがメインのお仕事になる。
まず、23歳の若者のお困りごとのお話。
悩み1
地元の居酒屋店の横にテナント開いてるからそこでやらないか。
悩み2
市内のバーで働かないか。
どちらも話を聞くと条件は悪くない。
特に飲食業界は万年人手不足。
独立願望ある子を欲しい店主は沢山いる。
ただ、ここで注意しておく必要があるのが、1番はまずその居酒屋さんにはどんな客層が来ているのか。その前にバーをやるにあたりどんな客層が来て欲しいのか。
そこから逆算して、営業時間も出すメニューも変わってくる。
酔っ払いが嫌いなら一件目使い出来るコンセプトや、杯数制限してくようなお店も可能性有りなのではないか。会員制にしても良いやろ。
ただ、ハードルを上げれば上げるだけ、そこに付加価値を提供できないと人は来ない。
話を聞くと、その居酒屋さんはそれなりにお客さんも付いていて流行っているみたい。ただ、お客さんの層が彼がイメージしているお店ではないみたい。
良くそういった居酒屋の店主さんが言いがちなのが、自分の横でやりなよ。横でやってくれたらお客さん横に流してあげるからさー。みたいな話になりがち。で、この話は案の定そうした話だったらしい。
一見聞くと良いお話。でもそれは、そこのお客さん層と自分のやりたいイメージが一致してこそ。あまりにも自分の客層とトゥーマッチ過ぎるのならば絶対飛び込まない方が良い。後で後悔する。
もし、この時点で彼のニーズとマッチしてるのなら、そもそもこうして自分のとこに相談には来てない。
最初は紹介しながら上手いことやれば、それで良いとは思うけど、もし万が一そこの居酒屋のマスターとトラブルになった場合、居酒屋に頼る集客だと、田舎の狭いコミュニティだと瞬殺で悪評立てられ、よっぽど腕が良い酒や食事を出せる店か、そのマスターのマンパワーがないと状況は厳しい。
また居酒屋が調子悪くなって潰れたら、そこでやる強みを無くす時の手は?
また、バーという形態でやる時点で2件目3件目の店になるということは、閉店時間がドンドン伸びる。閉店時間が伸びるとプライベートタイムが減る。プライベートタイムが減るとモチベーションが下がりやすい。モチベーションが下がると不健康になる。マスターが商品なのに店に立てなくなる。売り上げも下がる。閉店。そんな流れをここ数年いくつも見てきた。
となると、人で売っていく限界がこの辺り。資本がないと、そもそも人も雇えないし、仕入れすらできない。どれだけ良いものやドリンクを提供してもお客さんが来ないんじゃ手の内ようもない。
2の条件について。
ここは市内で元々彼も飲みに行っていたお店で、彼にはとてもフィットしているお店だと思う。ただ、そこは外国人も多く、外国人はチャージシステムを嫌う。また、ひたすらテキーラタイムやウォッカのショットなどを飲むと言う。それが彼自体少し疑問に思う部分があるみたいだ。あと客層自体も、本当に彼にマッチしてるのかももう少しリサーチした方が良い気がした。
若いうちは良いけど、今後人材不足が決定的なこの夜のバー業界を朝まで飲みまくらないと稼げない仕組み自体、そもそも疑問なので、ここは彼が売り上げ重視な人間なのか、居心地重視な人間かでかなり分かれると思う。何年やって行きたいかも環境によって随分変わる。
彼にはまずどういう店でどういったお客さんが来て欲しくて、どのくらい休みが欲しいのかをイメージしてもらう宿題を課してみた。
今の夜の状況が前に戻ることはなく、外で飲むにも一工夫して飲める体験やったり、家飲みは以前よりずっと身近にクオリティも上がった。
そうなると、きちんとした知識と技術を学べる仕組みとメソッドがあり、その店で働いたって言う皆伝書と1番大切な信用をゲットしてからじゃないと、これから何も持たない若者がいきなりバーをやって勝てるほど、そう甘くない。
お給料15-20万で良いならすぐに勝たせる方法なんて腐るほどある。でも、それじゃあ、優秀な人材はまず見つからないし、その彼も家庭ができたり、彼女ができて現実を見た時にやり甲斐をなくすだろう。
今後は食事もお酒もこだわりあるお店が増えてくる。影響力持った舌の肥えた若い層が、シビアにジャッジしてくる時代。
僕らのガキの時分、最低賃金は690円ぐらいだったが、今は890円台。まもなく900円になろうとしてる。近い未来1000円台が当たり前の時代に反して商品価格はそう上げれない。相変わらず物価は変わらず、むしろドリンクの単価は安くなるばかり。夜の時給は1000円が当たり前なのに、一杯600円のハイボールが高いと言われる。
こだわったグラスを提供したとしても、そのグラスに気付いてくれる人はごくわずか。それでもと拘りもって諦めず続けていけたからといって勝てる時代でもない。実際つい先日もクオリティー高い老舗のBARが閉店してしまった。
これからの酒場は、ロークオリティでもコミュニティやファン作りが必須。分かりやすく言えば場末のスナック。僕が良く行くスナックは熟女が自虐ネタをひたすら話してくれたり、自分の悩みを親身に吐かせてくれる。良心的な金額なのでお客様も安心して紹介しやすいのも強み。特に一人で来店のお客さんや、単身者などには紹介しやすい。また、よく行くカフェではなくて、純喫茶。ここは老父婦が経営されていて、しょっちゅう忙しくなると喧嘩漫才が見れる。定食が未だに500円台で食べれてコーヒーついて1,000円でお釣りが来る。ここはタバコが吸えて何より居心地が良い。決して料理もコーヒーも特別美味しい訳ではないけど、何よりタバコが吸える。今喫煙者が肩身の狭い思いをしてるこのブルーオーシャン化してる喫煙可の純喫茶はどこも盛況してる。
そしてここに来てマーケティングもブランディングもフル無視して来たこうした後継も見つからないような純喫茶に追い風が。
エモい。
この若者言葉で、写るんですなる使い捨てカメラが若者の中でフィーバーし、クリームソーダやプリン熱が再燃してる。理由もわからず忙しくなり、ますます喧嘩が増えてる老夫婦の喧嘩漫才の冴えはM-1二回戦ぐらいまでは行けるレベルにまで到達してるんじゃないだろうか。
こうした偶然の産物や時代がたまたま追いついて来てくれたりするのも、長年継続して来た結果。道半ばで諦めたお店にこのチャンスはやってこない。継続は力なり。この言葉は今も胸に刻んでいます。
勝つ戦い方にはマーケティング観点も大切やし、それ以上に負けにくい仕組み作りが必須。勝つことより負けにくい仕組みが今の時代は必須に感じています。当然リスクは思い切った挑戦がしずらくなってしまう。リスクのつきまとうからこそ、人が思い付かないようなアイデアが降って来たりもする。どちらを選択するかはあなた次第。
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