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変身 東野圭吾著【読書感想文】

平凡な青年、成瀬純一は不慮の事故により脳を損傷、彼に世界初の脳移植が行われる。事故以前は画家を夢みて恋人を愛していた純一、ところが術後、徐々に性格が変わっていくようになる。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は、自分に移植された脳の持ち主の正体を追い始める。(あらすじ、公式ガイドより一部抜粋)

医学的な話も多く、脳科学に興味があるとはいえ私には難しかった。途中から移植された脳の持ち主は何となく想像がつき、それを確かめるために読み進め、やっぱりそうかと。でもそこからが何かもう、これは間違いなく「変身」するなと、救いが見いだせなかった。

最後まで読んでから、映画、ドラマ版のキャストを調べようと決めていた。最初、純一のビジュアルイメージは坂口健太郎だったが、小柄とわかってから変わる。本郷奏多君かなー、などと想像していたら、ドラマ版は彼ではないがイメージ通りドンピシャだった。映画はかなり違う、あと映画はめちゃめちゃ酷評、低評価だった。ドラマ版も映画ほどではないが評価はさほど良くない、演技は褒められていた。

評価とは別に思ったことがある。映画はポスターから見るに、恋人との愛を全面に出しているようだが、小説はそこまでじゃない。自己崩壊の恐怖をものすごーく語っているんだけど、映画ではそれも愛の力で救おうとするのだろうか。ドラマ版も、二人の愛に焦点を当てたと説明がついている。

先日、東野圭吾『手紙』がミュージカルになることを知った。ジャニーズの男の子が多数出演するらしい。原作に主人公がボーカルとしてライブをするシーンが何度かあるから、成立すると考えたのだろう。ミュージカルでは、加害者家族がどう生きていくかということより、兄弟の愛や絆の話にすり替えられると私は予測する。

私は愛や絆を訴え、まるで感動を強要するような作品は好きではないが、このような作品は量産されている。皆が求めているのだろうか。こう描けば視聴者は感動するだろうと、製作者側に馬鹿にされているような気もする。





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