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日本の戦後教育が生んだバント至上主義とデータ野球の不都合な真実


お断り

今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。

バントしないから優勝できないと揶揄されたベイスターズの日本一

シーズンの終盤、古参の野球解説者からベイスターズはバントしないから優勝できないと揶揄されていました。セ・リーグで唯一犠打数が2桁台の85と犠打が少ないことが弱い理由とされていました。しかし前年は犠打数106でリーグ2位。企画数では12球団1位でした。でもクライマックスシリーズ1stステージで敗退しました。セーバーメトリクス等でバントの得点期待値は低いと出ていても日本ではバント信仰が強いため、データに基づいたベイスターズの野球は批判の対象になりやすいです。


2024年犠打数セ・リーグで唯一2桁ベイスターズは2023年の反省に基づく


2023年犠打企画数142はほぼ1試合に1回は必ずバントする計算です。セ・リーグ企画数No.1です。そしてバント成功率.746はNPBで唯一の7割台で広島、阪神より1割も低い成功率です。これだけでむんだな36個アウトを相手チームに与えているのです。得点期待率からさらに2個のアウトを相手に与えます。

そしてバントによっる得点期待値の低さ、NPBの無死一塁からの得点確率は40.2%だった。1死二塁からだと39.4%からの1.6%得点期待率を下げる意味でバントという作戦は意味がありません。ただし確率とは違う、首脳陣のパワハラ的満足感や確率という数学を信じないファン向けのアピールとしてのバントというのは意味があると思います。得点期待率が低いバントを成功率が低いチームがたくさんやる意味はあるのでしょうか?2023年関根は21バント企画で5失敗、桑原は15バント企画で4失敗、林は7バント企画で2失敗と1,2番打者の失敗が多かったです。2024年は2023年のバント多用での失敗に基づいてベイスターズは日本一になっています。

日本の野球現場におけるバント主義の理由

「ドジャースの戦法」に基づくV9時代の巨人でも平均犠打数は80ぐらいです。野球通ぶった人がよく「セオリー」としての根拠となっている「ドジャースの戦法」にはバントは僅差の試合の勝敗を左右し得る重要な要素」として書かれていないため、元々MLBではバントを多用していませんでした。MLBでは10試合で1回犠打を企画する程度で、毎試合1度は犠打を仕掛けるNPB球団とは雲泥の差があります。近年では前述した通り、データ分析で「送りバントはかえって得点期待値を下げる非効率な作戦である」ということを証明してしまっています。しかし、日本の野球現場では「バントしておけば周囲から批判されない。」という指導者の言い訳のためのバント作戦が多いのは事実でしょう。

50年道徳の教科書で「バント」による「自己犠牲」、「チームの和」を教え続けた教育現場

吉田甲子太郎さんが1947年に執筆した「星野君の二塁打」は小学校の教材として50年以上にわたって使われ「定番」ともいわれた作品でした。大会出場をかけた野球の試合でバントを命じられた少年が、指示にしたがわずにヒットを打ってチームを勝利に導きます。しかし、試合後、少年は監督から指示にそむいたことをとがめられ当面の謹慎(試合出場禁止)を言い渡される、という内容です。この著作では、監督は選手とチーム運営の決め事をして指示を出しているという民主主義への主人公の造反、集団の統制、犠牲の精神への主人公の造反について、「いけないこと」だと説いています。また年長者や上長からの指示は絶対であるという日本の教育現場の考えが溢れた作品だと思われます。日本では、教師や政治家が「先生」と呼ばれ、その指導に従うべきという考えがあります。上長の指示が絶対であれば、データで明らかに証明された事実も「嘘」となってしまいます。この辺りのことが、この5年ぐらいの間に、国の中でも子供の自主性などを求める中で徐々に変わってきているようです。

バントの効用は一塁へのヘッドスライディングのようなもの

バントの効用として、実戦で有用なものとしては相手チームに守備シフトを強いるので、疲労を与え、ミスを引き出すことができるかもしれないということが1つあります。そして、チームが勝つために指揮官と選手たちが1つとなっているという精神的アピールという側面があります。例えるならば、一塁への到達スピードは変わらなくて、怪我する確率が極めて高い内野ゴロ等での打者走者の一塁へのヘッドスライディングは、チームを鼓舞するという効果が期待できます。バントの効用としては、一塁へのヘッドスライディング同様のメッセージ効果が一番ではないでしょうか?

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