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漫画「イサック」が最高にリアルで面白い

17世紀ヨーロッパを舞台にした歴史漫画「イサック」が面白くて一気読みしてしまいました。舞台は17世紀ヨーロッパ!そこで戦う日本人!
ヨーロッパの戦争の中でも30年戦争が舞台というのが渋いチョイスですね~
もっと流行って欲しいので簡単に紹介したいと思います。

「イサック」はアフタヌーンで連載中の作品です。現在単行本は9巻まで発売中。また、アフタヌーン公式HPで1話無料公開中です。気になる方は読んでみて下さい。

どんな漫画?


時は1620年、後に「人類史上初の世界大戦」とも呼ばれる30年戦争の真っ只中。荒廃した神聖ローマ帝国に現れた日本人の傭兵「イサック」。「親方の仇を討ち、奪われた物を取り戻すためにここへ来た」と名乗る彼を中心に物語は進みます。

主人公イサックが己の肉体・技術と戦術眼を頼りに、己の目的のためそして恩返しのためにヨーロッパ人と戦っていきます。
イサックは戦争を生き残ることができるのか、そして目的を果たすことができるのか・・・。

世界観

第1話の1ページ目は絵の通り、ときは1620年、場所はドイツ南西部プファルツ選帝侯領。上にも書いた通り、当時この地域は30年戦争の真最中でした。
時代背景についての説明が作品の中に無いので、以下は補足説明になります。

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30年戦争って何?
30年戦争のきっかけの大本は有名なルターによる宗教改革(1517年)です。宗教改革は全ヨーロッパに広がり、ヨーロッパ各地でカトリック派とプロテスタント派が憎みあい、紛争を起こしてました。神聖ローマ帝国でも紛争が起こり、それが拡大して30年戦争と呼ばれる大戦争に発展していきます。

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イサックはオランダからの傭兵としてスペイン軍と戦いますが、後々にはイギリスやデンマーク、スウェーデン、フランスといった大国も参戦して「人類史上初の世界大戦」と呼ばれる大戦争になります。

プファルツ選帝侯領って何? 
プファルツ選帝侯領は神聖ローマ帝国内のプファルツ選帝侯の治めている土地です。プファルツ選帝侯はプロテスタント派で、スペイン軍はカトリック派です。

高校世界史等を勉強していないと「神聖ローマ帝国」という名前に馴染みがないかもしれません。この帝国は当時、現在のスイス・オランダ・北イタリアから西はドイツ、ハンガリーまでを所有していた大帝国で、17世紀でも封建制を維持しており帝国内に300以上の領主を抱えていました。

私達がイメージする国家と違う所は領主(諸侯)がそれぞれの地域を治めており、帝国としての主権が弱い状態でした。当時の諸侯はカトリック派とプロテスタント派を選択することができ、神聖ローマ帝国領内に両派がモザイク状に混在するカオスのような状態でした
ゼッタが来たバイエルンはカトリック派、プファルツ領はプロテスタント派といった具合です。

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このように敵と味方が入り乱れる状態。また当時は血縁関係が外交の基本で、それにより状況が一変することもありました。日本の戦国時代をに近いものを感じますね。

感想

・作者が巻末コメントで述べているように、当時のオランダやポルトガル船でヨーロッパあるいは植民地へいった日本人は少なからずいたようです。そう考えるとイサックの話も全くのファンタジーではなく、実際にありえた話と考えるとロマンありますね!

背景や戦術・人物など史実に基づいている部分が多く、近世ヨーロッパ好きにはたまらない作品です。一方で、背景に関する解説があまり無いところが良かったです。バトルマンガだとありがちですが、戦闘の途中に解説を挟むとリアリティが薄くなることがありませんか?
イサックは解説は戦闘の合間で最低限にしてひたすらに戦い、前に進んでいきます。そのスピード感のせいで、9巻まで読んでしまいました笑。
一方で、個人的には地理関係や武器・戦術など気になる所がいっぱいあるので、自分の勉強のためにもnoteで記事にしていこうかなと思ってます。


今月は10巻も発売されるようなのでイサックに関する記事をもっと書こうかなと思ってます。では。

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