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心を癒す良文がここにある。

こんにちは!めんだこです。
今日は、9月第1冊目の読書記録となります。

『私が望むことを私もわからないとき 見失った自分を探し出す人生の文章』 チョン・スンファン著/小笠原藤子訳

この本に出逢ったのは、中目黒駅の蔦屋書店でした。
高校時代の友人と晩御飯を食べに行き、2人で寄った書店で偶然見つけました。
もともと、韓国人の方が書く文章表現が好きな私の目にすぐ止まりました。
なんと、数々の本を読み、出会った良文を紹介することで読者に希望を与えようとするこの本のコンセプトそのものが、私のやりたいことに重なって見えました。

見た瞬間に「読むしかない!」と思い、即購入。

本書は、以下の4章仕立てで、各章ごとに筆者が今まで出会った文章と共に自らの経験や考えを綴っています。
各章ごとに特に記憶に刻まれた文章と私の言葉を綴らせてください。



第1章 私の感情と向き合う

この章を一言で表すなら、「慰め」だと思います。
いつの間にか自分に高すぎる期待をかけて、応えられなかった時、
大きく自分に絶望することがあります。
自分は、特別ではなく普通の人に過ぎなくて、
この先一生かけても何も成しえないのだと。

そんな時に、自分の傷を癒してくれる言葉、文章が並んでいました。
特に美しいなと思った言葉です。

「温かいお茶1杯分の余裕を持つことを知っている人生、さらに大切な人々とそういう時間を一緒に過ごせる人生は幸せと呼べるだろう。」

私のパートナーは、人生で一番辛い時、「紅茶に救われた」と話してくれたことがあります。
だから、友人にも紅茶を贈ることが多いそうで、一緒に選びに行ったこともありましたし、彼から初めてもらったプレゼントは紅茶でした。

私にとっても、温かい飲み物を飲む時間が、一瞬人生の急行列車から鈍行列車に乗り換えたような、あのスローに人生の時の流れを感じられる時間がすごく好きです。し、自分を癒すぞ!!!と決めた日には必ずその日の気分に合わせた紅茶を飲みます。
温かい気持ちになれる時間を日常に生み出すこと、
そしてそれを誰かと一緒に温まる時間にすること。

これはまさに幸せの一つだと深く共感しました。

第2章 私の時間と向き合う

この章では、自分の限りある時間をどのように使い、向き合い、命を消費していくのかについて書かれていました。

「毎年少しずつ歳をとり、毎日少しずつ人生が複雑になるのです。」
「大人になんかならなくっていい、ただ自分になっていってください。それがみなさんがこの世に生まれてきた目的なのです。」

『おとなになるってどんなこと?』吉本ばなな著

私はよく、「あの時は全力だったのにな」「昔はもっとまっすぐだったのにな」と思うことがあります。今でも毎日を全力でまっすぐに生きているつもりですが、実際には、昔=学生時代の方が何も考えずに全力でした。
本当に1つのことだけを考えて、頑張っていたと思います。
当時、卒業した先輩にはよく「こんなに1つのことに夢中になれるのは今だけ」と言われ、どうしてそう決まってるんだろう?と思っていました。
大人になっても、1つのことに全力になればいいじゃないかと。
確かにそうなんですが、大人になった今の全力ってやはりあの時とは違う。
あの時よりも、人間関係の経験を経て、良くも悪くも周りを見るし、時間やお金の限度を気にして、範囲内で出来る事を自然と考えるし、自分が正しくなかったらどうしようと沢山怖気づく。
そんな自分を「情けないな」と思っていました。

でも、この言葉に出逢ってその気持ちが救われました。毎日生きているんだから、その分人生に重なっているものがあるし、複雑に見えて当然です。
その中から「自分」で居られるように大切なものを選び取っていく
それは決して簡単なことではないのです。
とってもハードなことに挑戦していたんだ自分!偉いぞ!と褒められるようになりました。

第3章 他者と向き合う

この章では、家族、愛する人、友人。自分にとっての大切な人と向き合うための言葉が散りばめられていました。

「私は、他人を理解できるということに懐疑的である。私達は多くの場合、他人を誤解している。君の気持ちを私はよく知っている、などど言ってはならない。その代わりに、君の言っている意味がわからない、と言うべきだ。私が希望を感じるのは、人間のこのような限界を発見するときである。私達は努力しない限り、お互いを理解できない。だが愛というものは、こんな世に存在する。だから、誰かを愛する限り、私達は努力を惜しんではならない。そして、誰かのために努力するこの行為自体が、私達の人生を生きるに値するものにするのだ。」

『世界の果て、彼女』キム・ヨンス著

すごく正直な文章だなと感じました。
人の心は理解できないもの。それでもなお、理解したいと思える相手にエネルギーを注ぎ、努力して向き合い続ける。その努力の行為自体が生きる意味となる。
私の中でイメージする「愛」に近い考えです。

また、「人生は生きるに値する」ということ言葉は、私の中で教訓になるほど大好きなんですが、これは劇団四季の会社の理念にあります。
与えられた人生ですが、自分の捉え方次第で、この人生こそ生きるに値するものであり、生まれてこれてよかったと思えると思います。
そんな風に自分の人生をデザインするには「愛」が欠かせません。
それは、対人でも、対無形のものでもなんでもありだと思います。
ひたすらに努力をし続け、終わりのない「愛」を抱えていたいです。

第4章 私の世界と向き合う

「平凡で取るに足りない私の人生を幸福と感謝の心を持てるようにしてくれる人。高貴に輝く1日1日と温かい感情を持てるようにしてくれる人。
そんなあなたは、まさに私の生きる意味なのです。」

人との関わりで得られるものこそが、自分の人生に生きる意味を与えてくれるんだと再認識させられた言葉でした。
だからこそ、大切な人と関わる時間が大切だし、ネットではなくて直接会ってやりとりして、生きた思い出を作らないといけない。

そうやってこれからも自分の世界を構築していくことが、楽しみだなと思いました。
そして、大切な人にとって私も、自分の人生が特別に思えるような、生まれてきたことに感謝したくなるような時間を一緒に過ごせる人で在りたいと思います。


この本を読めば、良質な文章に出逢うことができ、それらは必ず自分の心を癒し、進むべき方向を照らしてくれるでしょう。
私も誰かの心を救える言葉を紡ぐ人で居たいと強く思いました。

めんだこ。



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