【宿題帳(自習用)】外国語活動(英語)の時間:世界言語紀行
[テキスト]
「実戦・世界言語紀行」(岩波新書)梅棹忠夫(著)
[ 内容 ]
民族学者としてこれまで半世紀にわたって世界を各地を歩いてきた著者は、フィールド・ワークに際してそれぞれ現地の言語を学び、実際に用いてきた。
学生時代の朝鮮語に始まり、チベット語、モンゴル語、ペルシャ語、フランス語、スワヒリ語、スペイン語…。
数々の外国語習得の体験、さまざまな民族との出会いを回想し、日本語の将来を語る。
[ 目次 ]
第1章 東北アジアと南海の島じま
第2章 アジア大陸の奥ふかく
第3章 大陸の南縁にそって
第4章 アフリカのサバンナと砂漠のなかで
第5章 ヨーロッパをゆく
第6章 新世界とオセアニア
第7章 世界のなかの日本語
[ 問題提起 ]
本書は、著者が日本統治下の朝鮮北部にある白頭山を登山した際、山中で得体のしれない人間にぱったり出くわし緊迫した雰囲気になったが、片言の朝鮮語ができたおかげで窮地を脱することが出来たというエピソードで始まる。
著名な民族学者である著者が、海外での旅行やフィールドワークの豊富な経験を振り返って、民族学者としての必要から勉強した、世界中の様々な言葉の特徴をわかりやすく、かつ興味深いエピソードを交えながら記していく。
数えてみると、本書には53もの言語が取り上げられており、なかでも驚くのは、その程度は別としても著者自身が勉強した言語が28もあるということだ。
著者は謙遜してか、自身の勉強法を「小鳥草花言語学」と呼び、あくまで異文化を知るための手段でしかないというが、その言語習得の才能には驚いた。
フィールドワークで使わなければならなかった外国語や、そのほかであった数え切れないほどの外国語について語った作品です。
[ 結論 ]
著者の梅棹氏は、民族学の研究を行い、国立民族学博物館の初代館長も務めた。
アジアのほとんど全土と他の大陸の多くを探検によって踏破した氏は、行く先々で、異なる言語に出会った。
普通の人ならば、ここで通訳を雇うことになろうが、氏はできるだけ民族学的研究をする対象には、現地の言語を同時に学ぶようにしたのである。
これは並大抵ではないが、「使い終わったら、さっと忘れる」という切り替えの良さで、言語学者とは違うやり方で言語習得をしたのであった。
特に調査が念入りに行われたのはモンゴルであった。
だから、モンゴル語についての思い入れはほかに比べて格段に大きい。
だが、他の言語についても、それほど多くの語彙を学ぶことはできなくとも、文法的特性とか、全体的な枠組みはつかめるものである。
現地の人との交渉、さまざまな伝統についての聞き書き、などを行うためには「実戦」に臨む語学力が必要なわけだが、実際に人々との接触をしてゆくうちに、必要に迫られ、いつの間にか身に付いてしまうものらしい。
自分の殻に閉じこもり、母国語を話す人としかつきあわないならば、そんなことは起こり得ないが、氏のように、少しでも多くの現地情報を手に入れることが至上命令の人にとっては、現地人の中に日本人ただひとりという状況に自分の身を置いて、果敢に新しい言語に挑戦できるものなのだ。
多言語を巧みに扱える人をポリグロットというが、氏の場合は必要に応じ、現地で約1ヶ月で猛勉強をして、研究の助けにして、すぐ忘れるのだから、そういう部類には当てはまらない。でも、英語だけで辟易し、他の言語には一切手を出そうとしない人よりも、氏のいう、少しずつかじってみる小鳥草花言語学を大いに楽しむのも一つの方法ではないだろうか。
世界中の言語に触れると、いわゆる古代語から枝分かれしたグループになっていることがわかり、そのような語族の範囲内では文法構造や語彙が似通っているので覚えやすいようだ。
たとえばラテン語系(フランス、スペイン、イタリア)、タイ語系(タイ語、北京語)、チュルク系(トルコ語)、スラブ系(ロシア語)の諸言語などはそのいい例である。それぞれのグループの代表的なものを学べば、それと近い関係にある言語の習得はかなり楽になることだろう。
氏がたくさんの言語を学んだからといって、必ずしも浅い知識だったというわけではない。
イタリア語では、1ヶ月にして心の中の内容を述べる「接続法」を会話の中に取り入れ現地の人をびっくりさせている。
文法は細かいことは別にして、基礎的なことはまんべんなくおさえておくべきだろう。
最後に日本語についての考察が述べられている。
今の日本には「国文法」があっても、世界中の人に理解されるような「日本語文法」がまだ完成していない。
まだこれから正書法も含めて、整理を進めてゆかなければならないのだと氏は主張している。
とにかく、この本は名前からして、私にぴったりの本だ。
アカデミックな言語へのアプローチだけがすべてでないことを教えてくれる。
[ コメント ]
梅棹が、仕事で使わなければならなかった言語だけでも、ロシア語、モンゴル語、北京語、スペイン語、イタリア語、ペルシャ語、スワヒリ語、ダドーガ語、セルボ・クロアチア語、エスペラント語などなど、そのほかかじったものはラテン語、オランダ語をはじめ、膨大な氏数にのぼり、やっぱり常人には考えられないな~と驚きの連続でした。
ここまでさまざまな言語を学んできた人は数少ないだろうから、一人の人の観点から、これだけ多くの言葉を概観したこの作品は、稀なものだと思います。
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【参考記事】
文部科学省で定められている基本の教科は、以下の10教科です。
■国語
■社会
■算数
■理科
■生活
■音楽
■図画工作
■家庭
■体育
■外国語活動(英語)
外国語活動は、2020年に改訂された学習指導要領から必修になりました。
小学3・4年生では、「外国語活動」、5・6年生では、「英語」の教科として含まれます。
その他の教科・活動として、小学校の授業では、上記の10教科の他に、以下の2種類を編成できるそうです。
■道徳
■特別活動
■総合的な学習の時間