【随筆】いろんな言葉に助けてもらって今がある
小津安二郎監督の映画の登場人物は、同じことば、あるいは、無意味なことばのやりとりを、たくさんするそうです。
例えば。
「ああ、いいお天気ですね。」
「ほんと、いいお天気。」
(中略)
「ああ、あの雲、おもしろい形ですね。」
「ああ、ほんとにおもしろい形。」
「何かに似てるな。」
「そう、何かに似てるわ」
「いいお天気ですね。」
「ほんとにいいお天気。」
どう、感じましたか?
ここには、会話は、ないと思われますか?
否。
ここには、有用な情報が特別にあるわけではありませんが、もっとも大切な会話がありますよね(^^)
それは、内田樹さんに依ると、「コミュニケーションのほんとうの目的は「有用な情報の伝達」ではなく、メッセージの贈与と嘉納を通じて「共同体を立ち上げる」ことだという事実である。」とのこと。
あなたのメッセージをたしかに受け取りましたよ。
という、もっとも大切なメッセージは、相手の言うことを繰り返すだけで充分に伝わるんですよね。
というか、それが最高の伝え方なのかもしれません(^^)
こんな、ほんわかしたコミュニケーションが、日常では、大切なことなんじゃないかって、改めて、そう思います。
さて、相手を傷つけないように考え過ぎるぐらい考えて、遠回りに型どおりの言葉しか話せず、相手に本当に伝えたいことが伝わらず、もどかしい思いをすることもあるかもしれません。
だから、こんな感覚が共有できるのであれば、マナーは、大切だけど。
それだけにくくるのではなく。
相手との関わりの中で緩められる場合は、緩めてもいいのだとも思っています。
確かに、マナーは大切ですが、相手との会話の中で、新たに自分なりに相手を思いやれるように。
常に、考えながら接していく必要があるというだけで、相手がリラックスして、自由に、そして、自分の意見を楽しく発言出来るように、コミュニケーションできればいいですよね(^^)
・
・
・
人は、それぞれ、数え切れない言の葉の海に、手探りで触れ。
本を読んだり、日常で感じたことを触媒として、わたしの中から湧いてくる言葉を掴み取っていく。
そして、言葉と言葉を紡ぎながら編んだ詩布を纏い、明日へと繋げて歩いている。
自分の気持ちが言い表せなくて。
言葉に詰まってしまうとき。
あなたの紡ぐ・綴る・書く言葉と。
わたしの紡ぐ・綴る・書く言葉で。
不思議で、気恥ずかしくて、新鮮な瞬間を味わい、助け合えたら素敵だ。
そんな、共感という手荷物を携えて。
希望という帽子をかぶって。
わずかな先に、きっと見え始めている光を信じて。
あなたとわたしは途切れることなく。
わたしとあなたを続けていきながら。
ともに同じ方向を見つめて歩いていく。
これからもずっと。
だから、わたしたちの生み出す言葉は、生きるために必要なツールだと思う。
今日も、炎昼に負けずに、自然のパワーをもりもり吸収して、歩いて行きますかね♪
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?