
【愚痴だって少し言い方を変えると祈りになる】宗教は色々あっても祈っていることはきっと同じなんだと思う

■私と私と私/誰かと誰かと誰か
たぶん、願いがないと・・・、嬉しいことも、悔しいことも、なくなってしまうのではないでしょうか。
言葉が、同じでも、違ってても、私たち。
肌の色が、同じでも、違っていても、私たち。
宗教が、同じでも、違ったって、私たち。
私と私と私。
誰かと誰かと誰か。
世界中の私と誰かが、どこかに集まって、私たちは、今、新しい私たちに、なれるのか、と地球から問われているのかもしれないね。
なれるといい。
例えば、毎日、着る服の様に、明日、何を着て、生きて行こうか。
私より、私たちで、生きれるかを、毎日、試されているんだ、人は。
何か(人やモノ)を想う気持ちはきっと、大切なつながりに、気付く、きっかけをくれるから。
心の中で、見えないネットワークが構築可能な、仮想世界ではない、現実世界を、創造していく。
■つながりのはじまり
ただ、新しいつながりは、待っているだけでは、生まれません。
自分から心を動かす。
自分から手を伸ばして、関心に触れてみる。
自分から動くことで、新しい、つながりは、生まれます。
つながりのはじまりを、想像してみる。
例えば、150年前、そこは駅だった。
75年間、そこは郵便局だった。
そして、現在、そこは、公園になった。
身近な歴史と出会う。
身近な未来と出会う。
身近な熱狂と出会う。
日本中のいいものが、自分と出会う時、あたらしい物語がはじまる。
■何時時代も国の未来は人
いつの時代も、国の未来は人だった。
先人の知恵を借りるためにも、歴史を学ぶ意義は、
「世界史の考え方 シリーズ 歴史総合を学ぶ①」(岩波新書)小川幸司/成田龍一(編)

「歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」 シリーズ 歴史総合を学ぶ②」(岩波新書)成田龍一(著)

「世界史とは何か 「歴史実践」のために シリーズ 歴史総合を学ぶ③」(岩波新書)小川幸司(著)

「東大連続講義 歴史学の思考法」東京大学教養学部歴史学部会(編)

その叙述の方法に触れること、また、
「系統学習」
から転換し、
「課題解決型学習」
を重視する学びの視点を得ることで、「歴史実践」は、以下の6つのプロセスに整理できるとし、
▶歴史実証
問題設定に基づき、諸種の史料の記述を検討する(史料批判・復元・解釈)ことにより、問題設定にかかわる「事実の探求」(確認・復元・推測)を行う
▶歴史解釈
事実間の原因と結果のありよう(因果関係)や、つながり(連関性・構造性)、比較した際に浮かび上がるもの(類似性・相違性)について「連関・構造の探求)を行い、問題設定に関わる仮説を構築する。
▶歴史批評
その歴史解釈について、より長い時間軸や、より広い空間軸において見た時の意義や、現代の世界に対する意義について、「意味の探求」を行う。
▶歴史叙述
歴史解釈や歴史批評を論理的・効果的に表現する「叙述の探求」を行う。
▶歴史対話
以上の営みについて、歴史実証や歴史解釈の矛盾の上に歴史批評や歴史叙述が行われていないかなどを、他者との協議によって考察する「検証の探求」を行う。
▶歴史創造
歴史を参照しながら、自分の生きている位置を見定めて、自分の進むべき道を選択する「行為の探求」を行い、自らが歴史の主体として生きる。
そのプロセスを有効に活用しながら自分なりの世界を読み解く方法を掴むためのヒントを、
①アメリカの掲げていた「移民国家」は建前であり、奴隷解放後は人種差別的な動きが強化されていった。
②これまでの世界史は各国史の寄せ集めとして国の発展を説明する叙述なっており、パワーゲームの記述に偏りがち。
③パレスチナ問題を考えることは、世界史を根本的に考え直す機会になり、国家同士の「戦争」を重視して世界史を読み解くと、「内戦」や「対テロ対策」が見えにくくなってはいないか?(国民国家とは何なのか?)
④近代日本は白人を頂点とする人種ヒエラルキーにおいて、劣等人種と位置づけられることを回避し続けたことで、人種意識に正面から向き合うことなく歴史を歩んでしまった。
⑤結論のはっきりしない歴史書でも、豊富な事実が列挙されていれば、読者が歴史的事実を自分で解釈する余地があり、それはそれで独自の魅力がある。
⑥国家の発展モデルを追いかけるだけではなく、世界の構造が浮かび上がるような商品の物流を読み解く視点も大切。
⑦産業革命との比較をたびたび見聞きするが、産業革命自体について詳しく理解しているだろうか?
⑧日本の高度経済成長期、中東諸国は、日本への原油輸出で獲得した資金で欧米から武器を輸入している事実からも、日本の経済成長が中東の紛争が構造的につながっていた。
⑨日本の世界史解釈は現在の状況によって変わり続ける(戦後日本の復興と民主主義の定着から見た世界史と、冷戦体制の崩壊と世界の経済格差から見た世界史)
⑩日本史と比較理解が難しい「1848年の革命」を私たちはどう捉えるべきか?
⑪優生学が大きな影響力を持った19世紀末のアメリカで、優生学的断種や異人種間の結婚禁止の法律が作られ、それは後のナチス・ドイツのモデルになった。
得ることに、あるのではないだろうか。
■課題解決型学習
そして、歴史に限らず、どんな思考力においても、
「問い」
の質の向上が必要であり、資料を読み取る(解く)自分自身を分析し、メタ認知を通して、答えを考察する
「問い」
を設定することで、色んな学習を通じて、偏りのない
「新しい見方」
をする自分に出会うことが大切ですね(^^)/
そこで、
「系統学習」
を掘り下げて、
「課題解決型学習」
に繋げる
「問い」
の一例として、
「パレスチナの問題は、現在の惨状は過去の愚行の焼き直しではないのか?」
を設定し、参考図書を選定し、少し考えてみました。
▶「パレスチナ紛争史」(集英社新書)横田勇人(著)

[ 内容 ]
イスラムの正義を掲げる過激組織が増えつつある現在、パレスチナ問題の解決は一段と重要性を増している。
このイスラエルとパレスチナをめぐる問題は、一向に収まる様相を見せず、血生臭い報復が繰り返されている。
日本にとっては遠い紛争、日本人にとっては分かりにくい報復は、なぜ終わりがないのか。
本書は紛争の歴史を分かりやすく俯瞰し、現役の国際部記者ならではの精緻なレポートで「憎しみの連鎖のなぜ」に答えている。
[ 目次 ]
第1章 紛争の地パレスチナ
第2章 第一次インティファーダとハマスの誕生
第3章 湾岸戦争の副産物
第4章 衝突へのプロローグ
第5章 憎しみの連鎖
第6章 アラファトの誤算
第7章 イスラエルの論理
第8章 アメリカの罪
[ 問題提起 ]
日経新聞社のカイロ支店長が書いた宗教の原点である太古の伝説から9.11テロに至るエルサレムを中心とした血塗られた歴史。
エルサレムがイスラム教とユダヤ教の聖地であって、昔から支配し、支配されという歴史が繰り返されてきたことはなんとなく知っていたとしても、どうして聖地なのか、世界全体の歴史との関係など、具体的なことは知りません。
おそらく多くの人がそうなのではないでしょうか。
実際に、読んでみても複雑です。
この本では、特に、第二次世界大戦後、イスラエルが独立してから、パレスチナ人によるテロと圧倒的な戦力を持つイスラエル軍との戦いが詳しく書かれています。
そして、国連やアメリカはどのように対応してきたか。
壮大な歴史スペクタクル作品といった感じです。
[ 結論 ]
著者は、日本経済新聞の記者。
取材経験を元に、複雑に入り組んだ中東の歴史を、概略的に記した本。
私が生まれたとき、中東では、既に、イスラエルとパレスチナの紛争が起きていた。
何か大きな事件、例えば、中東戦争だとか、テロだとかが起きると報道はされるのだけど、しかし、断片的に伝えられるニュースでは、きちんと問題の全貌が理解出来るわけもなく。
私の知っていることは、ずっと、断片的なことに留まっていた。
複雑に入り乱れる中東での紛争は、そもそも、何が原因になっているのか。
いつどこで、どういう戦争が起きたのか。
それらが、いつ、一応の終結をしたのか。
また、いつどのような形で、繰り返されたのか。
それに対して、いつ、和平への話し合いがあったのか。
また、それが、いつ破綻したのか。
私は何も知らない。
ただ、ずっと気になっていた。
サイードの本を読んだこと。
また、パレスチナ側の代表であったPLOのアラファト議長が、亡くなったことがきっかけになった。
私は、詳しく知らない、この中東のことを、もっと知りたいと思い、とりあえず、この本を読んでみた。
私の知りたかった概略的なことは大体、掴めたと思う。
無論、あくまで、概略的なことであるから、これから、色々な本を読みたいと思うの。
以下、この本を読んで、考えたことを、幾つか。
中東の紛争の歴史は、遡れば、聖書以前の話しにまで行き着く。
しかし、ごく近くに焦点を移動させれば、近代、ヨーロッパのユダヤ人迫害、またヨーロッパの中東地域での陣取り合戦が直接的な原因になっていることが判る。
イスラエルとパレスチナの問題は、確かに現在、エルサレムの帰属を巡る宗教対立のような構図にも見えるけれど、しかし、問題の本質は多分、そんなところにはない。
エルサレムの帰属の問題は、あくまで、こじれた関係をどう修復するのかという、解決のためのひとつの争点にしか過ぎないように思われた。
しかし、その争点を、更に複雑な問題にしているのが、アメリカのキリスト教原理主義だということを、以前に、NHKスペシャルで放送していたことを知った。
彼らは、アメリカ政府に強い影響力を持つ宗教団体で、そのためにブッシュ政権はイスラエルに対する支持を強めているという。
問題はヨーロッパが追い出した、あるいは自らが脱出したユダヤ人たちの国作りの時期と場所が、近代ヨーロッパの負の遺産である中東地域の近代的な国作りの時期と場所に一致したことにあるのではないか。
つまり、ことの原因はヨーロッパにあるように思えてならない。
無論、アメリカが様々に介入していることもあるのだけど。
アメリカの支援を受けたイスラエルが圧倒的な軍事的優位に立っているわけだけど。
しかし、インティファーダと呼ばれる民衆蜂起がテロとは違う形でその圧倒的な武力を背景にしたイスラエルの圧政に対抗しているというのがとても皮肉な現象のように思われる。
いや、皮肉な現象と言ってはいけないのかも知れない。
しかし、イスラエルがパレスチナの民衆を虐殺することが出来ない以上、やはりイスラエルの圧倒的な軍事力の持つ皮肉を思う。
民主主義とは主権が国民にあるということ。
つまり、国が何かを決定したり、実行したりするときの、その主語が国民になるということ。
しかし、実際は国民のひとりひとりが何かを直接決定したり、何かを直接行うということはなくて、それらの決定、実行を政府が行うことになる。
政府がそれらを行うことの正当性は、つまり、国民が選挙で選び委託したからだ。
こういうのを多分、代表制民主主義というのだと思う。
その代表制民主主義のリーダーの資質が問われるのが紛争を抱えた時期であるということも、この本を読むとよく判る。
その当時では、PLOのアラファト、またイスラエルのシャロン。
この両者は、何度もあった和平に対して、常にどちらかが席を立って紛争を長引かせている。
こういうニュースに接するたびにアラファトの頑迷さやシャロンの極右的言動に苛立ちを感じるのだけど、しかし、この本では、そうさせているのは両国の国民であるということがよく判る。
つまり、彼らの支持基盤である国民を失望させることは出来ないのだ。
ここに強烈な皮肉がある。
彼らは真に指導力を発揮させてはいないのだ。
政治とは、やはり情勢論を基礎にするものなのかも知れない。
あるいは、その情勢とは単に国民の作り出す雰囲気のようなものでしかないのかも知れない。
仮に、アラファトやシャロンが望むままの政治を行ったとすれば、事態はより悪化しているのかも知れない。
だから、これは2項対立の問題ではない。
つまり衆愚政治か独裁政治かの問題ではないのだ。
この2項を調停し、また、違う方向に導く政治原理が求められているのではないか。
どのように国を進めていくのか。
また、国民は進んでいこうとする方向がどうい方向なのかを見極めること。
その見極めた方向に向けて代表者が動いているのかどうかを注視すること。
[ コメント ]
結局は、みんなが、きちんと考えるしかないのだ。
間違った考えは必ず破滅的な未来を指向する。
そうではない未来を指向すること。
そのためには何を考え、どう進めば良いのか。
そこをきちんと見極めないといけないのだと思う。
何だか本の感想からは遠くなってしまったが、そう思う。
▶「まんが パレスチナ問題」(講談社現代新書)山井教雄(著)

[ 内容 ]
いつも「複雑な」と言われる「パレスチナ問題」。
宗教や民族という日本人にはなじみにくい概念が問題のベースになっているし、昨日までの味方同士が突然戦争を始めたりして、たしかに、わかりにくいのはたしかです。
だからこそ、本書では少しでもわかりやすいように、ユダヤの少年ニッシムとパレスチナの少年アリ、そしてエルサレムのねこ、2人と1匹が、旧約聖書の時代から21世紀のいままでの「パレスチナ問題」をガイドします。
日本から少し距離のある国のお話ですが、すべてがつながっている現代では、けっして遠い世界のお話ではないのです。
[ 目次 ]
アリとニッシム
ユダヤ教
キリスト教
イスラム教
十字軍
フランス革命
第1次世界大戦
第2次世界大戦とホロコースト
イスラエル建国
第1次、第2次中東戦争
第3次中東戦争とPLO
第4次中東戦争とサダト
キャンプ・デービッド合意
インティファーダ
湾岸戦争
オスロ合意
第2インティファーダ
9.11
[ 問題提起 ]
パレスチナ問題は複雑で難しい。
その問題を漫画スタイルで説明しているので、私のような歴史的な知識のない人間にとってはわかりやすい内容となっている。
特に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の関係や十字軍、イスラエル建国、中東戦争、インティファーダ(民衆蜂起)、湾岸戦争、9.11等の歴史や背景の概略をつかむことができた。
用語の索引も、わからない用語を調べる上で大変便利であった。
本書を通じて一番強く感じたことは、民族紛争解決のポイントが、「憎しみや恨みを忘れて、テロと報復の連鎖を断ち切ること」と、「隔離や分離をしないで、多民族が平和に融合した社会を目指すこと」という言葉である。
差別した、されたという過去は消せないが、互いに許し合っていくこと。
必要なのは「融和」という考え方ではないかと思う。
そのような意味で、反アパルトヘイト運動の中心者であったネルソン・マンデラの功績は大きい。
[ 結論 ]
2001年9月11日とそれ以降繰り返されるテロの惨劇を目の当たりにし、「アラブ系の人たちは怖い」と感じる人は大勢いることであろうことは、疑いの余地がないのではないだろうか。
では何故彼らがテロに走るのか。
その根源はパレスチナという特別な土地にある。
そしてその土地に深く関わってきたユダヤ教徒・キリスト教徒・イスラム教徒を時の政治家が利用し、迫害したり奴隷化したり、どこかの国に追いやったり、国を分断するなどしたのが今の結果でもある。
テロは絶望から生まれるのである。
もし政治が宗教を利用しなければ、今の世界情勢は変わっていたかもしれない。
この本はユダヤ人のニッシム、パレスチナ人のアリという2人の子供、そしてエルサレム生まれの猫が旧約聖書の時代からアラファトが亡くなるまでの複雑な歴史を彼らの目でわかりやすく紹介した本である。
「まんが」とは言っているが絵本に近く、コミカルでありながら大変に繊細で痛ましい問題を扱っている。
著者はユダヤ人、パレスチナ人のどちらにも偏っていないが、欧米社会に傾倒し欧米社会から中東情勢を見ることに慣れた日本人にとって著者の視点(ユダヤ人及びパレスチナ人の視点)からは欧米社会のエゴを見せられる。
また同時に「アラブ系の人たちは怖い」というのは偏見であり、それは政治が生み出したものだということにも気づかされる。
テロの連鎖は止めなければならない、しかしその根源は時の権力者、つまりその時代ごとに世界をリードしてきた国々によって人々が翻弄された結果である。
[ コメント ]
中東社会が平和になる為には、この問題を世界中が認識し、国際社会に強い影響力を持つ国々がこの問題を正しく理解しなければならない。
そうした時にテロの連鎖が断ち切れるのであるから。
▶「中学生から知りたいパレスチナのこと」 岡真理/小山哲/藤原辰史(著)

「今、ガザで起きていることは、入植者植民地主義によって建国され、ユダヤ人至上主義体制を維持するためにアパルトヘイトを敷いている国家に対して、民族浄化され、アパルトヘイトの体制下で抑圧される先住民が、解放を求めて抵抗している脱植地化の闘いであるということ(したがって、十月七日のハマスによる攻撃は、歴史的争におけるテト攻勢と類比されるべきものです)。
そして、イスラエルがガザのパレスチナ人に対して行使している暴力は、日本も含め、世界の植民地主義国家がその植民地支配の過程において、自由や独立を求める被植民者の抵抗に対して歴史的に行使してきた殲滅の暴力であるということ。」
▶その他「パレスチナ」関連本
「続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」」(講談社現代新書)山井教雄(著)

「アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図」(講談社現代新書)高橋和夫(著)

「なぜガザは戦場になるのか イスラエルとパレスチナ 攻防の裏側」(ワニブックスPLUS新書)高橋和夫(著)

「ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義」岡真理(著)

▶ブラッドランド(流血地帯)
悲しい話ばかりだけど、是非、多くの人に読んでもらいたい、貴重な記録本です。
本書を端的に言えば、ヒトラーとスターリンが、独ソ両国にはさまれた地域で進めた大量殺害政策の全容を描き出した本です。
ふたりは、1933年から12年間も同時に政権についていて、それぞれが、自分の身勝手な野望のために、特定の民族を標的にした大量虐殺を決行しました。
その結果、ウクライナからポーランド、ベラルーシ、バルト三国にかけての地域で、膨大な人数の民間人が殺されました。
命を奪われたのは、ユダヤ人だけではなかったのです。
これまでも、国ごとに、それぞれの歴史認識にもとづいた過去が語られてきましたが、著者は、国境で分断された地域史を掘り起こそうと調査を進め、この一帯で、ヒトラーとスターリンに殺された非戦闘員の合計が、1400万人以上にのぼることを突きとめました。
この本には、誰が、どんな理由で、いかに殺されたかが、丹念に書かれています。
悲しい話がたくさん出てきますが、ぜひ多くの方に読んでいただきたい、貴重な記録です。
「ブラッドランド 上 ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実」(ちくま学芸文庫)ティモシー・スナイダー(著)布施由紀子(訳)

ウクライナ、ポーランド、ベラルーシ、バルト三国。この一帯はヒトラーとスターリンによって何度も蹂躙され暴虐の限りが尽くされた。
死者およそ1400万。
そこに戦闘で亡くなった兵士は含まれない。強制収容所でのガス殺だけではない。
ポーランド知識人を集中的に銃殺した「カティンの森」事件。
ソ連・ドイツ双方が、住民一掃を目指してウクライナで展開した「飢餓作戦」。
なぜこの地はこれほど理不尽で無慈悲な大量殺人にさらされることになったのか。
公文書館を回り、丹念に記録を掘り起こした歴史家の執念によって20世紀最大の蛮行の全貌がついに明らかに。
「ブラッドランド 下 ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実」(ちくま学芸文庫)ティモシー・スナイダー(著)布施由紀子(訳)

強制収容所で殺害された人の数は500万とも600万とも言われる。
だがナチスとソ連、二つの全体主義国家に侵略されたこのブラッドランド(流血地帯)では、収容所の外で数層倍の人間が殺された。
ヒトラーが死に、戦争が終わってもなお人々は翻弄されつづけた。
戦勝国ソ連は「大祖国戦争」の名の下に、この地で起こした大量殺人の隠蔽を図った。
そのための粛清と、吹き荒れた民族浄化の嵐はさらなる犠牲者を生んだ。
国家権力が引き起こした未曾有の惨劇は、いまなおこの地に暗い影を落としている。