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【1週間短歌ごはん生活】8月に旬を迎える食材と短歌

Suuさん撮影

8月は連日続く暑さのせいで、食欲がでなかったり、身体がだるく感じたりすることがあるのではないでしょうか。

考えられる原因の一つは、

「夏バテ」

です(^^;

夏バテを防ぐためには、こまめな水分補給や、質の良い睡眠に加え、食べ物から豊富な栄養を摂取する必要があります。

旬の食べ物は栄養価が高いだけでなく、甘味や旨味も増しているため、食卓をおいしく彩ってくれます。

と言うことで、そんな8月に旬を迎える食材を詠った短歌に食指が動いてしまわない、かな?(^^)


【8月に食べたい旬の魚や野菜と短歌】

■うなぎ ウナギ 鰻

「ゆふぐれし机のまへにひとり居りて鰻を食ふは樂しかりけり」
(山下翔『温泉』より)

「脂つこい茂吉の歌の匂ひする土用丑の日うなぎ屋の前」
(小泉史昭『ミラクル・ボイス』より)

■真いわし 鰯

「なめろうをこよひ食べたくまな板の鰯叩けば板木霊する」
(高野公彦『水の自画像』より)

「つづまりは見た目ほどには腹坐らぬ奴なり畳鰯をあぶるも」
(島田修三『帰去来の声』より)

「大いなる鰯の丸干し煙吐き妻よりわれを隠したりけり」
(三宅勇介『棟梁』より)

「朝網の真鰯銀に身を反りてまなこか黒し児らとくと見よ」
(秋山佐和子『空に響る樹々』より)

「雪道の街灯の下にかぞへたるこまかき銭に鰯買ひたり」
(野本郁太郎)

■とうもろこし 玉蜀黍 玉米 唐黍

「神の掟不意に畏(おそ)れつ唐黍の粒のひしめき列なしてゐる」
(村山美恵子『溯洄』より)

「公園にトウモロコシを食う人のつかのまの幸吹き渡る風」
(大島史洋『ふくろう』より)

「オリベッティ・タイプライター打つやうに玉蜀黍を端から食べる」
(石井雅子(2015年・出町柳編集室)より)

■きゅうり 胡瓜

「正月も胡瓜出まはる世になりて胡瓜の和布和わかめあへの旨しも」
(高野公彦『水の自画像』より)

「きうり用の網を明日は求めむか空を探れるあまたの蔓へ」
(秋山佐和子『豊旗雲』より)

「まりこさんまりこさんなら誰でもいいきゅうりパックの隙間より笑む」
(飯田有子『林檎貫通式』より)

「いただきものの初物きゅうり食みながら名のなかにのみ残る畑は」
(石畑由紀子『エゾシカ/ジビエ』より)

「六十四まで生きえしこの身をよしとせむ生れ月七月は黄瓜の匂ひす」
(河野裕子『蟬声』より)

■トマト 蕃茄

「「2度熱傷」そのものなればするたびに心が痛むトマトの湯剝き」
(久山倫代『星芒体』より)

「てのひらに稚きトマトはにほひつつ一切のものわれに距離もつ」
(滝沢亘『断腸歌集』より)

「日のひかり一生(ひとよ)見るなきむらぎもにあかきトマトのかけらを落とす」
(大松達知『フリカティブ』より)

■ゴーヤ 苦瓜 蔓茘枝、蔓荔枝

「ヒトわれの辛き残暑に力得るゴーヤなるべし次々みのる」
(大西晶子『花の未来図』より)

「俺もオレもここに居るぜとウインクす日よけに植ゑしゴーヤーの子ら」
(秋山佐和子『豊旗雲』より)

「園芸用ポールは肋のごとく立ちそこより出でず茘枝(ゴーヤ)の繁る」
(三島麻亜子『水庭』より)

「夏の盛りに遊びに来てよ、今日植えたゴーヤが生ってたらチャンプルー」
(五島諭『緑の祠』より)

「今し來むゴーヤー革命さみどりの光の蔓(つる)もて議事堂を埋めよ」
(水原紫苑『えぴすとれー』より)

「食卓に茄子とゴーヤと皿があり写生されたるかたちのままに」
(内藤明『夾竹桃と葱坊主』より)

「おのずから出でにし水をきっかけとして室温に苦瓜(ゴーヤ)は腐る」
(生沼義朗『関係について』より)

■なす ナス 茄子

「赤茄子の腐れてゐたるところより幾程(いくほど)もなき歩みなりけり」
(斎藤茂吉『赤光』より)

「ひとりゐて飯(いひ)くふわれは漬茄子(つけなす)を嚙むおとさへややさしくきこゆ」
(斎藤茂吉『小園』より)

「紺いろに枝より垂るる茄子の実は悲哀のごとしふぐりの如し」
(玉城徹『樛木』より)

「母と子が互ひを責めてゐるやうな袋の小茄子触れては鳴りぬ」
(川野里子『太陽の壺』より)

「秋茄子を両手に乗せて光らせてどうして死ぬんだろう僕たちは」
(堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』より)

「なすの馬の脚のういたいつぽんだけがいまもあるいてゐるつもり」
(平井弘『遣らず』より)

「ゆふべ煮付けし茄子とズッキーニよく冷えて蕎麦のお菜に夫のよろこぶ」
(秋山佐和子『豊旗雲』より)

「マグカップに湯注ぎ生まれ出ずる茄子悲しみに似る真夜の空腹」
(小原和「白木蓮」(「ヘペレの会活動報告書」vol.1:2018年)より)

■パプリカ 洪

■メロン

「まよなかのメロンは苦い さみしさをことばにすれば暴力となる」
(兵庫ユカ『七月の心臓』より)

「二百円の半割メロンにかしこみ注ぐビシソワーズをかしこみ啜る」
(西五辻芳子『金魚歌へば』より)

「ひとりきりの夜のテーブルに匂い立つメロンの網目どこから解く」
(久保みどり『熊野のアリア』より)

「 ストッキングよりもしづかなゆふぐれに春のメロンをあなたと掬ふ」
(都築直子『淡緑湖』より)

「切り分けたプリンスメロンの半分を冷蔵庫上段のひかりへ」
(佐藤りえ)

■スイカ 西瓜

「足裏より夏来て床に滴りしすいかの匂いまばゆい午後だ」
(天道なお『NR』より)

「買い被られているようであり馬鹿にされているようでもある真冬の西瓜」
(東洋『青葉昏睡』より)

「今は西瓜に頭を突っ込んで眠りたい 内側の赤をなだめるために」
(安川奈緒『Melophobia』より)

「天国の求人票をまき散らし西瓜畑へ遊びに行こう」
(服部真里子『行け広野へと』より)

「先割れスプーンで西瓜の種を落とすときましろき皿に五線紙の見ゆ」
「佐藤モニカ『夏の領域』より)

「床板の割れ目に西瓜の種落としおおきくなれよとひそかに願う」

「父親がもらった西瓜の一切れをからだに沈めるように食べていた」
(山崎聡子『手のひらの花火』より)

「ようこそと聲の聞こえてぽかんぽかんとみなもに浮かぶ西瓜たくさん」
(川崎あんな『エーテル』より)

「冷蔵庫さわさわと鳴く夕闇に西瓜を洗う ひざ洗うように」
(小守有里『素足のジュピター』より)

「切り分けし西瓜を食ひしステテコの父はも笑ふ貧の記憶に」
(柳宣宏『施無畏』より)

【参考記事①】

【「秋のしるし」に関する短歌】

季節は初秋。

長く続いた天地の暑さがようやく収まるころです。

「野べに来て萩の古枝を折ることはいま来む秋の花のためこそ」
(良寛)

「時の骨むさぼるごとく生き来しと告げなば溶けむ夜天の月も」
(安永蕗子『流花伝』より)

「木の匂いする言葉かな今君がわが耳近くささやきたるは」
(三井修『砂幸彦』より)

【「八月」を含む邦楽】

マカロニえんぴつ「八月の陽炎」

くるり「八月は僕の名前」

ヒグチアイ「八月」

HACHI「八月の蛍」

Fischer’s「8月の坂」

神聖かまってちゃん「8月の駅」

清水コウ「8月0日」

フレンズ「8月31日の行方」

ソナーポケット「線香花火 ~8月の約束~」

【参考記事②】

【関連記事】

【1週間短歌ごはん生活】4月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n30045f074e52

【1週間短歌ごはん生活】5月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n437c0e97aa13

【1週間短歌ごはん生活】6月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/nc9728bd70b71

【1週間短歌ごはん生活】7月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n754ea8fd7399


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