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【音楽葬】「もしも自分のお葬式に音楽を流すなら」をイメージして選曲してみました♪

黒田明臣さん撮影

■坂本龍一「funeral」

坂本龍一さんは、

「最後の瞬間まで音楽と共に在った」

そうです。


そして、彼が作り上げた最後の音楽、それは、

「funeral」=葬儀

と名付けられたプレイリストは即ち、自らの葬儀で流すために制作していたプレイリストであり、既に聴いた方が多数、いらっしゃると思います。


33曲に及ぶ

「最後の旅」

は、長きにわたる友人でありコラボレーターでもある

アルヴァ・ノト「Haliod Xerrox Copy 3 (Paris)」

に始まり、

エンニオ・モリコーネ「Romanzo」

のサウンドトラックから、ドビュッシーやバッハ等のクラシックを通り、

Laurel Halo「Breath」

で幕を閉じています。


死期を悟ってなお音楽と向き合い、自身の葬儀をも自らの音楽で飾る。


まさに、最後の瞬間まで、

「音楽」

と共に在った人だったんですね。


プレイリストは、Spotify上にアップロードされており、

アカウントがあれば自由に聴くことができます♪

最後の旅を、ぜひ共に。

▶参考記事

▶参考図書

「音楽と生命」坂本龍一/福岡伸一(著)

「音楽は自由にする」(新潮文庫)坂本龍一(著)

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」坂本龍一(著)

(予定)「坂本龍一のプレイリスト」吉村栄一(著)


■葬儀で流されるクラシック音楽

葬儀で流す音楽には、明確な決まりはありません。

故人が生前好きだった音楽や、心を癒す歌詞の曲などが選ばれることもあります。

アヴェ・マリア(シューベルト)
野ばら(ヴェルナーヴェルナー)
モーツアルトの子守歌(フリース)
家路(ドヴォルザーク)
菩提樹(シューベルト)
悲愴ソナタ(ベートーヴェン)
G線上のアリア(バッハ)
別れの曲(ショパン)
レクイエム(モーツァルト)
亡き王女のためのパヴァーヌ


■バッハが作ったお葬式用のカンタータ

バッハが作曲したお葬式用のカンタータには、バッハの伯父の葬儀のために作曲されたカンタータで、バッハの初期の作品のひとつである

第106番「神の時こそ いと良き時」BWV106

や、4声の合唱と器楽アンサンブルのための単一楽章の曲で、葬送の行進や埋葬の際に演奏されたと考えられており、いまわの際に天のイエスを仰ぎ見る、という感動的な歌詞が特徴的なモテット

「おお、イエス・キリスト、わが生命の光」BWV118b

などがあります。

カンタータとモテットは、どちらも声楽曲の一種で、合唱を伴う音楽です。

カンタータには独唱やオーケストラが伴奏されるのに対し、モテットにはオブリガートの楽器が伴奏されません。

▶カンタータ

イタリア語の「cantare(歌う)」が語源で、合唱のほか、独唱やオーケストラが伴奏される声楽曲どぁり、J.S.バッハのカンタータには、教会カンタータや世俗カンタータなどがあります

▶モテット

オブリガートの楽器を伴わない合唱のための音楽です。

バッハのモテット集には、コンチェルト様式で合唱と各パート一人が組み合わさった作品があります


■広がりつつある音楽葬

近年、日本のお弔いも変わってきています。

お墓も、散骨や樹木葬など、これまでの形にとらわれない形が広がりつつあります。

音楽葬とは、故人が生前に好きだった音楽を流したり演奏したりして故人を送る葬儀形式です。

宗教や宗派に縛られず、自由な形式で葬儀を行うことができます。

音楽葬の特徴は、次のとおりです。

・読経などの宗教的儀式がない無宗教葬の一種

・故人の趣味に合わせた音楽を流すことができる

・祭壇や飾り付けなども故人の希望に沿って行うことができる

これからは、特定の宗教にこだわらず、また、

「終活」

の一環として、自分の葬儀を自分らしくしたい、と考える人の中で、

「音楽葬」

を選ぶ人が、増えていくのではないでしょうか。


■音楽葬の式次第

「音楽葬」の式次第は、下記のような形が、一般的のようです。

【お通夜】

1.開式の辞
2.黙祷
3.献奏◆
4.弔辞・贈る言葉
5.献花◆
6.喪主挨拶
7.閉式の辞

【葬儀・告別式】

1.開式の辞
2.黙祷
3.献奏◆
4.弔辞・贈る言葉
5.献花◆
6.お花入れの儀◆
7.喪主挨拶
8.閉式の辞
9.出棺◆

「音楽葬」では、式次第に合わせて音楽が流れ、あるい生演奏がありますが、主に意味があるのは◆のところで流れる曲です。

読経に代わる、一番重要な「献奏」、参列者ひとりひとりが心を込めて花を手向ける「献花」、最後に故人とお別れをする「出棺」です。

ふつうのお葬式でも多少のBGMは流れますが、ここでは、音楽そのものに役割があります。


■「音楽葬」にふさわしい曲とは?

自分の好きな曲(遺族側としては、故人の好きだった曲)を流したい、というのに限るとは思いますが、独断と偏見で、

「音楽葬」

にふさわしいと思える曲を、何曲か選んでみました。

ラモー:音楽悲劇『レ・ボレアード』第4幕「ポリヒュミニアのアントレ」

ラモー:音楽悲劇『カストールとポリュクス』第2幕「葬儀の場」

モーツァルト:オペラ『魔笛』K.620 第2幕 僧侶たちの合唱『おお、イシスよ、オシリスよ』

モーツァルト:オペラ『魔笛』K.620 第2幕 僧侶たちの行進曲

モーツァルト:モテット『アヴェ・ヴェルム・コルプス』K.618

モーツァルト:オペラ『クレタの王イドメネオ』第3幕 行進曲

ハイドン:交響曲 第44番 ホ短調〝悲しみ〟第3楽章 アダージョ

バッハ:カンタータ 第106番 哀悼行事『神の時こそいと良き時』BWV106 第1楽章 ソナティーナ

バッハ:モテット 『おお、イエス・キリスト、わが生命の光』BWV118b

ヘンデル:オラトリオ『サウル』HWV53 第3幕 葬送行進曲

選曲の条件は、以下の通りです。

①しめやかで、穏やかな雰囲気の長調の曲。

②曲の成り立ちに「死」が関係している曲。

③悲劇的、激情的な短調の曲は避ける。

日本人は、平時に、葬式のことなんか話すのは縁起でもない、とタブー視する意識が強いですし、葬儀に、音楽なんて不謹慎、と考える人も多いでしょう。

ただ、西洋の精神文化では、死は、もっと身近であり、それを芸術として表現した音楽が、これだけあるのですから、知識として持ち得ても良いと思うんだけど、ね(^^♪

クラシックは、それに触れることができる貴重なツールであるとも思っています。

▶参考記事


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