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【演奏家によって再現される芸術】聴き比べればよくわかる
さて、ここまでくると、今まで、演奏には関心がなかった。
曲さえ良ければ、誰の演奏でも、よかったという人も、改めて、演奏というものに、少しは、興味がわいたのではないでしょうか。
そして、実際に、それを感じてみたいと思っているのではないでしょうか。
だとしたら、直ぐにでもできる
「聴き比べ」
について、その手順・要領などを、ご紹介しておきますね。
まず、どんな曲でも良いと思います。
聴き比べてみたいと思う作品を決め、それを、演奏した異なる演奏家のCDを、何種類か集めてみる。
ポピュラーな曲なら、CDショップに行けば、幾らでも揃っているので簡単です。
といっても、同じ曲のCDを何枚も買うのはちょっと、という人は、可能であれば、同じ趣味の友だちに声をかけて、別々のものを買うか借りるかするのでも良いと思います。
音源がそろったら、いよいよ聴き比べに入るのですが、これは、しかるべき、静かで、落ちついた部屋がベストです。
一人もいいけれど、できれば、大ぜいの方が良さそうです。
なぜなら、聴き終わった後、どこが、どのように違ったか、皆で、感想をぶつけ合うことができるからです。
もちろん、一人でも、できないことはないけれど、大ぜいでやると、人によって、いかに感じ方が同じだったり、違ったりするか、そのポイントが解ったり、感性の違いに気づいたり、色々と、得るところが多いんですよね。
演奏比較のポイントとしては、前にも書いたように、全体、あるいは楽章毎のテンポがどうか。
早いか遅いか。
一定か、それとも、部分的に揺らせているか。
強弱のダイナミックスはどうか。
あまり差がなく、平坦か、それとも、かなりオーバーにやっているか。
演奏の技術はどうか。
ミスはないにしても、鮮やかで、且つ、見事と聴こえるか。
それとも平凡に聴こえるか。
音色的にはどうか。
明るいか、暗いか。
美しいか、濁っているか。
全体の印象は、どうか。
作品の性格に合っているか。
それとも合わないと思うか。
順位をつけるとすれば、どうなるか。
これらを基準にしてみる。
そして、その感想を、批評家になったつもりで、まとめてみるのです。
最初は、同じように聴こえる演奏も、何回かやってみると、意外と違うことに気づき、その原因が、はっきり掴めると、気分は、いつの間にか、批評家か演奏家です。
ここまでくると、楽しいこと、この上ないと思いますよ。