【個性的な作曲家がいっぱい】女流作曲家
クラシックに興味をもつようになると、誰もが、どこかで気がつくのは、作曲家の殆どが、男性だということです。
演奏等では、女性も多いから、当然、作曲の世界にも居た筈だと思われるのに、さて、誰がいるだろうかと考えると、すぐには思い浮かびません。
これは、一体、どうしたのかと、不思議に思う人も多いだろうと思います。
なるほど、現在は、ともかく、音楽史全体を通してみると、ベートーヴェンやモーツァルトのような目立った作曲家がいないのは確かです。
それは、社会的に、女性に向いた職業と考えられていなかった事情もあるであろうし、いることはいても、相対的に少ないことから、傑出した人が、出にくかったこともあるかもしれません。
しかし、よく考えると、私たちに、親しい女流作曲家も、実は、いるのです。
どんな人がいるか、ここでは、主な人たちを、纏めてみることにします。
まず、だれもが知っていそうなのは、愛らしいピアノ曲「乙女の祈り」を書いたテクラ・バダジェフスカです。
ワルシャワに生まれ、わずか27歳で亡くなった彼女については、詳しい経歴がわかっていないのですが、似たような小品を35曲ぐらい作曲したらしいです。
たまたま、その一つ「乙女の祈り」が、パリの音楽雑誌「レビュー・エ ーガゼットーミュジカーレ」の付録として載せられたことから、人気を得、たちまちに、世界的に知られるようになったのです。
18歳の時の作品だそうですよ。
モーツァルトと同時代のピアニスト兼作曲家、マリア・パラディスは、ヴァイオリンの小品「シチリア舞曲」によって知られています。
モーツァルトとも、親交があり、実際に、ピアノ協奏曲第一八番を献呈されてもいる彼女は、
若いときに、失明したにもかかわらず、努力して、成功し、後には、音楽学校を設立したほどの人格者でした。
S ・ドウシキンの編曲によって、人気の出た「シチリア舞曲」の原曲は、ピアノ曲ですが、心に浸みる、実に、美しい曲です。
フランスには、セシル・シヤミナード、ナディア・ブーランジェ、リリー・ブーランジェ、ジェルメーヌ・タイユフェルの四人がいます。
シヤミナードは、ヴァイオリン曲「スペインのセレナード」で知られ、ブーランジェ姉妹の姉ナディアは、教育者として、妹リリーは、ヴァイオリン用「夜想曲」と、女性初のローマ大賞受賞者として、タイユフェルは、「フランス六人組」の一人として、それぞれに有名です。
ドイツでは、ロベルト・シューマンと結婚したクララ・ヴィークと、フェリックス・メンデルスソーンの4歳年上の姉ファニー・メンデルスゾーンの二人が見逃せませんね。
共に、これといって知られる名曲はないのですが、例えば、クララの「ピアノ協奏曲」と「ピアノ三重奏曲」、
ファニーの「ピアノーソナタ」等を聴くと、その美しさや、豊かな曲想は、シューマン、メンデルスゾーンに劣らぬ、魅力的なもので、なぜ、埋もれているのか、不思議なほどです。