文学と音楽の最高のコラボレーション(「ドイツリート」編)
デュッセルドルフの貧しいユダヤ商人の家に生まれたハインリッヒ・ハイネは、当時の封建的なドイツにおけるユダヤ人の立場から脱出すべくフランスへ亡命。
詩人・ジャーナリスト・評論家として活躍しつつ、パリで、その生涯を終えています。
同時代の音楽家と親しく交流したハインリッヒ・ハイネの遺産の中でも、ひときわ印象的な著作が、1827年に刊行された抒情詩集「歌の本」でしょう。
「歌の本 上」(岩波文庫)ハイネ (著)井上正蔵(訳)
「歌の本 下」(岩波文庫)ハイネ (著)井上正蔵(訳)
この本に収められた詩をもとに、ジルヒャー、シューベルトやメンデルスゾーンら、同時代の作曲家たちが多くの歌曲を生み出しています。
ジルヒャー歌曲「ローレライ」
シューベルト「白鳥の歌」影法師(ドッペルゲンガー)
メンデルスゾーン「歌の翼に」
さて、日本では、4月が春ですが、ドイツでは、5月から暖かくなってきます。
それまで、雪や葉の落ちた木々で、どんよりとしていた風景が、一気に色とりどりの花が咲き、ハインリッヒ・ハイネが、ただの「schön(シェーン)美しい」ではなく、「wunderschön(ヴンダーシェーン)素晴らしく美しい」と表現した通り、本当に、突然「素晴らしく美しく」なる5月。
この感動を、19世紀の大詩人ハインリッヒ・ハイネが詩にしたため、天才シューマンが曲を書き、永遠の若さを手に入れたテノール歌手であるフリッツ・ヴンダーリヒが歌うこの「詩人の恋」は、文学と音楽の最高のコラボレーションのひとつ「ドイツリート」の素晴らしさを改めて認識させられる名曲です♪
シューマン歌曲集「詩人の恋」素晴らしく美しい月、5月に
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