【日常茶飯事】必死で大きな山を登りきる
力は使いようです。
抑圧した力は、拒否され、弱々しい力は、頼りないものです。
ちょうど良い力の使い方とは、力まず、等身大の自分でいることだと思います。
知らず知らずのうちに、それ相当の力が出せるようになってくるものです。
見栄を張って、自分を大きく見せなくてもいいんですよね。
自分の存在や力量を認めて欲しいと訴えなくても、周りは、見てくれているはずです。
力は、人に見せ付けなくてもいいのだと思います。
言葉や、態度で表さなくても、自然と伝わっていくものだから(^^)
頑張りすぎず、怠けすぎず、ちょうど良い自分でいることが大切なんですよね。
そう感じて、思ったらすぐ行動。
思った時がタイミングとも言います。
これって意外と本当に大事なことなんです。
人は、経験や年齢を重ねる毎に、新しいことへ挑戦することが少なくなってきたり、自分が知らないことに対する不安から、何かしらの理由をつけては、腰が重くなり、一歩目が、踏み出しづらくなってきます。
誰しも、そんな覚えが、一度はあるはずです。
ですが、時には、思い切って、勢いだけでやってみる!
タイミングと勢いは大事です(^^)
やらなければ、成功も失敗も後悔もありません。
例えば、ご近所登山でもOKで、自然の空気や都会にはない時間の流れ、音や匂いを五感で楽しんでください。
そんな風に登ってきた頂上から見える景色は、登る前とは、全く違うって、感じるはずです。
【今日の短歌(登山)】
「いつもながらのわざとらしさが嬉しいぞ霧晴れてさらに高き山頂」
「天地(あめつち)の目合(まぐあひ)とこそ思はめや真夏の山の雪崩の叫(おら)び」
「真向へば斬りかかりくる雪稜の空の領地を奪ひ取るなり」
「雨雲をアグン山グヌンアグンは振り払ひ入道雲と相撲をはじむ」
「モンブランの頂に立ち億年をゆるりと泳ぐ山々と逢ふ」
「二呼吸に一歩重たき足を進め置き去りにされさうな肉体」
「オーヴァーハングの下にて待てばカラビナに伝はりてくる来いといふ声」
「天穹にふかく浸かりて聴きゐるは宙(そら)を支ふる山々の黙(もだ)」
(本多稜『蒼の重力』より)
「高山(たかやま)のいただきに登り/なにがなしに帽子(ぼうし)をふりて/下(くだ)り来(き)しかな」
(石川啄木『一握の砂』より)
「花崗岩の花ひらく巓(いただき)をとりかこみ五峰・天女・勢至・無涯峰とうちよせる天上の奏楽」
(逗子八郎『山岳歌集 雲烟』より)
【「登山」を使った俳句】
登山駅欅林へ雲聚め/河野南畦
妹に蛞蝓溶ける登山小屋/萩原麦草
健脚を前後に配し登山隊/高橋逸郎
登山服妻の恐るゝ界へ発つ/堀内薫
扇白く登山の客の逗留す/石井露月
大津市を黙々登山隊通る/茨木和生
霧流れ積石に吾も石加ふ/宮坂静生
岩に貼る登山教室予定表/木村滄雨
短夜や芒踏まるゝ登山口/中島月笠
夏川や鳥居太しき登山口/小澤碧童
夫婦松登山道路を岐れしむ/森田峠
登山道石斧に似たる石拾ふ/森田峠
草の実や閉鎖間近き登山道/塙きく
誰が為に登山の女人梳る/山口誓子
馬の口とるは女や登山口/野村泊月
登山地図滝一徹の音止めず/河野南畦
登山地図見て打合はす岩釣/茨木和生
登山道一歩より急天まで急/山口誓子
一散の山霧を漕ぐ登山杖/上田日差子
健かな吾子と相見る登山駅/杉田久女
登山装灯の大阪に帰り着く/右城暮石
登山杖指しゐるは伊豆の海/松藤夏山
善光寺内陣登山靴提げて/山崎ひさを
断崖に向かひ休めり登山馬/西田浩洋
村々の上の高きに登山駅/大橋櫻坡子
看板のぽつりと示す登山口/山内/梓
店先に売れずともよき登山杖/森田峠
登山靴履く晩年の句一念/小川原嘘帥
茯苓を一顆になへり登山杖/飯田蛇笏
梁板を大きく揺らす登山靴/岡田史乃
水垢離の暁の声々登山宿/鈴鹿野風呂
溝萩やバケツで洗ふ登山靴/皆川盤水
滝川の中行く登山道なれば/山口誓子
登山者のわが庭通る晴天也/久米正雄
熊よけの鈴を響かせ登山帽/安部恵子
登山帽扇にしつつ友を待つ/桜井博道
犬が来て登山電車を見送れる/辻桃子
妹を率て金剛力や富士登山/飯田蛇笏
登山馬脚ふみかへて脚馴らす/島村正
繭を煮る臭ひや夜の登山口/笠原古畦
草餅や登山の博士学士達/石島雉子郎
蓬の香放ちてゐたる登山馬/伊藤通明
繋がれて蹄を鳴らす登山馬/稲荷島人
後ろより兀と迫れる登山靴/高澤良一
銀漢や馬柵をこえ発つ登山隊/金子潮
頂きにケルン残して夏終る/稲垣一雄
雲ふかき廻廊におく登山帽/岡田壮三
雲中を行く六尺の登山杖/片山由美子
霧を来ていま群青の登山隊/篠田悦子
青年は登山具鎧ひ原爆忌/百合山羽公
頂上や風入れてゐる登山靴/太田土男
山登るほど流星の音すなり/対馬康子
山荘に颱風禍ありケルン立ち/及川貞
軒下にかたむき停り登山バス/森田峠
木天蓼の蔓引掛けし登山バス/茨木和生
来世には天馬になれよ登山馬/鷹羽狩行
登山小屋丑三つ時を飯炊ける/福田蓼汀
一塊の闇のまま過ぐ登山人/岩淵喜代子
舗装路を歩き疲れし登山者よ/右城暮石
胡桃落ち瀬音高鳴る登山基地/吉澤卯一
水渉りゆかねばならぬ登山口/稲畑汀子
さて登山姿や新しきづくめ/波多野爽波
じつくりと時代に遅れ登山小屋/仲寒蝉
登山杖神より我に授かりし/深川正一郎
火口への道知りつくし登山馬/石井晴治
ひらりひらり登山講の渋団扇/会津八一
焼印の濃きを選びて登山杖/片山由美子
ふくらはぎ叩けば騒ぐ登山靴/雨宮抱星
登山鉄道満員勤労感謝の日/相河美智子
登山道瓦礫に明けて早や暑し/下村槐太
登山の荷軽き眼鏡を加へけり/穂苅きみ
理髪屋に穂絮のまへり登山日/宮坂静生
吹いて飲む力あめ湯や登山宿/山田聴雨
登山径いで湯の土間を通り抜け/原柯城
登山する事後承諾に母不服/小竹由岐子
登山でもゴビ沙漠でも大丈夫/櫂未知子
登山衆揃ふ橋上の未明かな/金尾梅の門
登山杖どちらの店のものなるや/森田峠
噴煙へ馬ひきむけつ登山かな/皆吉爽雨
草刈が入りてかへらず登山径/前田普羅
天高し登山ゴンドラ片猿臂/百合山羽公
落伍せし登山仲間に帽子ふる/日比大石
落石を追ひて星飛ぶ夜の登山/河北斜陽
始発待つベンチの朝寝登山口/癸生川昭
薔薇園に入る新調の登山帽/中戸川朝人
子をつれし雷鳥よぎる登山道/山本康郎
踏む音の独りの時の登山靴/吉村ひさ志
客ついて大夜すすぎや登山宿/皆吉爽雨
登山馬憩へるときは山見つむ/松裏薙世
登山馬人乗せしまま泉飲む/山口波津女
雲の上の人となりけり登山宿/藤崎幸恵
登山隊発ちて見送る茶屋の者/松藤夏山
雲よりも草のやさしき登山口/楠本信子
登山客ちらばりかけて縁長し/岡田耿陽
雷神をのぞめる僕や富士登山/飯田蛇笏
霧に点す登山電車や下校どき/青木泰夫
霧をゆく父子同紺の登山帽/能村登四郎
我が一歩君が一歩や登山靴/今井千鶴子
揃へある鬼のやうなる登山靴/清水静子
散歩して少しのぼりぬ登山道/野村泊月
風死せる画廊かつかつ登山靴/宮坂静生
桶の水のんで踏みだす登山馬/下田きぬ
駅に列登山者足をもてあます/岡本信男
鳥の羽根刺し完璧の登山帽/ふけとしこ
ケルンには石が殺到して残る/平畑静塔
ケルン灼け足奪はるる地獄谷/河野南畦
ケルン経て風届くなり車百合/高澤良一
山登り憩へと云へば憩ひもし/高浜虚子
月よしと誌して登山日記閉づ/福田蓼汀
登山隊川を漕ぎつつすれ違ふ/岡田日郎
快晴や癒えし証にケルン積み/影島智子
時かけて風の第三ケルンまで/高澤良一
松虫草ケルンに走る雲の影/永井由紀子
流星に夜は肩落すケルンあり/岡田貞峰
火の山登る翁褐色の犬を連れ/金子兜太
朝蝉に膝締めて負ふ登山の荷/太田蓁樹
客乗せて素直になりし登山馬/三甲野一魂
富士登山うしろに迫る馬の息/黒坂紫陽子
徹夜登山せし若者に吾もまじる/右城暮石
追ひ越して音のこしゆく登山靴/奈良文夫
道幅のせまき登山路しかと続く/右城暮石
銀河懸け富士に流るる登山の灯/橋本榮治
松虫草登山カードに年齢記し/伊藤いと子
濃くあまきみどり滴る登山口/柴田白葉女
炉語りに思ひ立ちたる登山かな/野村泊月
犬がまづ迎へに来たる登山宿/常盤しづ子
登山して傷めし脚を炉ほとりヘ/野村泊月
登山の荷と別に女らリンゴ持つ/津田清子
登山バス著きたるらしき人通り/半田朝月
登山リフト掌中すこし鉄くさし/辻美奈子
登山口それぬ鳥居をくぐるより/田村了咲
登山小屋地獄谷より湯を引きて/渡会昌広
登山小屋男くさき灯ともしけり/長沼紫紅
登山杖かの日の土をのごはずに/栗生純夫
登山杖どれも突き減りたるを借る/森田峠
登山杖御師の宿より突き出づる/勝俣泰享
登山の荷松本駅をせばめけり/白岩てい子
鯉に落つ水を見てゐる登山前/神尾久美子
登山道なか~高くなつて来ず/阿波野青畝
わが影の外に月下のケルン立つ/岡田貞峰
登山道川へ消え入りまたつゞく/右城暮石
登山靴あぶら塗らんと掴みをり/河野南畦
鍵を持つ禰宜のあとより登山客/野村泊月
登山靴穿きて歩幅の決りけり/後藤比奈夫
天上にちかき淋しさケルン積む/仙田洋子
山上に雲突き上げてケルン立つ/寺岡捷子
花過ぎしゆすらや茱萸や登山道/山口誓子
まだ登山道とはいへず岩桔梗/片山由美子
山登るリュックの林檎背に当る/桜井博道
みそはぎやバケツで洗ふ登山靴/皆川盤水
よな汚れせる人に混み登山茶屋/宇川紫鳥
荷の雹を払ひて発てり登山隊/望月たかし
松虫草ケルンにわかれの唄残し/青山和子
マンシヨンの建ちて登山の道変る/林照江
初登山神と飲み干す缶ジユース/吉原文音
十年振りに履く登山靴巨塊めく/奈良文夫
爽やかやケルンにつどふ風の音/飯村弘海
嘶くといふことのなし登山馬/片山由美子
登山馬よろけついでに歩き出す/遠藤若狭男
岩灼くるにほひに耐へて登山綱負ふ/辰之助
登山者の荷より重くてダム作りに/津田清子
登山着原色ホームの燕翔けどほし/宮坂静生
居るはずの木椅子に登山帽子かな/細井啓司
白桃を登山ナイフで削ぎて食ぶ/栗田やすし
大杉を過ぐれば登山道となる/谷口かなみ
雨あがるまでのにぎはひ登山小屋/阿部子峡
三千メートルの風が攫ひし登山帽/松尾隆信
はちきれむばかりに詰めて登山の荷/長田等
雨にきし登山宿月となりにけり/金尾梅の門
足垂らし涼みゐるなりケルンの端/高澤良一
おぼろ夜を斜めに登山電車かな/今井杏太郎
登山衆が桃がトマトが濡れて着く/林原耒井
雁渡るケルンに小石積み足せば/戸口千恵子
登山提灯捨てぬ白樺明けてあり/金尾梅の門
雪谿の夕日まぶたに背の登山綱/石橋辰之助
ケルンの辺蜻蛉憩へばすぐせせる/宮坂静生
兄を知る人まだ居りぬケルン積む/三浦忠雄
ケルン積む手にひびきくる山の音/石原八束
登山綱干す我を雷鳥おそれざる/石橋辰之助
登山道みえゐてあはれ絶頂まで/稲垣きくの
登山バス出づることなき雲に入る/山口誓子
登山道次第ほそりに暁けそむる/鈴鹿野風呂
四方より霧ぶつつかるケルンかな/下村梅子
地獄谷ここにもケルン積まれあり/塩川雄三
夕焼の天へ段なしケルン立つ/とよなが水木
登山の荷羽摶ちて過ぎし夜鷹あり/渡辺立男
番犬が坐してまどゐの登山小屋/岩瀬木蘭
熔岩道にささくれそめし登山杖/山崎新多浪
月明の富士にまばたく登山の灯/福田甲子雄
山葵田を一望にしてケルン立つ/松本サキ子
登山者のタテヤマリンドウ色の帽/高澤良一
登山靴の紐に序破急みえにけり/田川飛旅子
岩肌を叡智の登山綱灼け垂るゝ/石橋辰之助
うしろより霧を噴きゐる登山小屋/深見けん二
登山バス霧がかかればゆるやかに/松本たかし
ケルン大聖堂大島紬を着て呆れている/峠素子
ケルンよりケルンヘ金の虻つれる/岩淵喜代子
霧ふかき積石に触るゝさびしさよ/石橋辰之助
登山杖雉子吊る茶屋に買ひにけり/石島雉子郎
峡中陽さすを一瞥す登山日短き/安斎櫻カイ子
岩灼かれわが登山綱さへ目守りえず/石橋辰之助
真夜に富士なく登山の灯あるばかり/宮下れい香
からみゆく登山綱にわれに岩灼くる/石橋辰之助
かのまろぶ雲よ登山綱も古りゆける/石橋辰之助
檸檬噛りゐたりケルンを積みゐたり/加藤三七子