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【文学のちょい読み】斉藤倫|しじんのゆうびんやさん

「ばかね。

詩って、書いてあることだけじゃない。

書いていないことを、かんがえさせるものなのよ。」


小さな街の郵便局で働く、ガイトーとトリノス。

ある日、ガイトーは、一度も、手紙をもらったことがないという、灯台守のおじいさんに、手紙を書いてみることにしました。

それから、街の人びとに届き始めた、不思議な手紙は、時に寄り添い、勇気づけ、お守りとなり、人びとのこころを、動かしていきます。

だれかに手紙を書くこと、ことばを贈ること、詩が詩になる前のこと。

その輪郭を、やわらかく描き出した物語。


この作品は、詩と物語が融合した独特の世界を描いており、感情の交流や人間関係の重要性をテーマにしています。


1.コミュニケーションの大切さ

物語の中心には、郵便配達員があり、手紙を通じて人々の思いをつなげる役割を果たします。

手紙を書いたり受け取ったりすることで、心の距離が縮まる様子が描かれており、言葉によるコミュニケーションの重要性が、強調されています。


2.孤独と繋がり

物語の中では、孤独を感じているキャラクター(灯台守のじいさんなど)が描写され、彼らが手紙によって他者と繋がりを持つ様子が描かれています。

このように、孤独を感じることがあったとしても、他人とコミュニケーションを取ることで、気持ちが変わっていく過程が、大切にされています。


3.詩の力

詩を通じて、感情や思いを表現することが、物語の重要な要素となっており、言葉による感情の伝達が、どれほど、強力なものであるかを示しています。

詩人が持つ言葉の魔法が、登場人物たちの人生を、豊かにしているのです。

このように、本書は、コミュニケーション、孤独、詩の力というテーマを通じて、読者に、深いメッセージを伝えています。

心の交流が、どのように、人々の生活に、影響を与えるのかを、考えさせられる作品です。


4.人間の本質への洞察

物語では、人間の感情や思考、そして、それに伴う葛藤が、描かれています。

登場人物たちが、手紙を通じて、自らの思いを表現し、受け取った側の反応から、新たな気づきを得る過程は、自己理解の重要性を示しています。

特に、手紙がもたらす思いやりや優しさが、時には人々を救う力になることを、示唆しています。


5.心の成長

作品の登場人物たちは、他者との関わりを通じて成長していきます。

手紙を書いたり受け取ったりすることで、自身の感情に対する理解を深めたり、新たな視点を得たりすることができるのです。

このような人間関係の発展は、成長の重要な要素であり、物語全体を通じて、描かれています。


「だから ひとは もじを つくった

この すてきな きもちが あしたへ のこりますように

この くるしい おもいが

いつか むかしのこと と わらえますように」

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