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紅蓮のリベレーター

黒田明臣さん撮影

世界は頓馬だ。

An overly correct world that does not even tolerate mistakes.

一个太正确的世界 连错误都不允许

Un mundo que es demasiado justo y que ni siquiera permite errores.

عالم أكثر استقامة من أن يسمح حتى بالأخطاء.

एक ऐसी दुनिया जो बहुत ही नेक है और गलतियों की इजाजत भी नहीं देती।

Мир, который слишком справедлив и даже не допускает ошибок.

間違うことさえも許さない正し過ぎる世界。

逆らわぬもののみ佳しとされ。

某。

それは、喉元を過ぎた途端に忘れてしまう生物。

霧の中。

ずっと意味を与え続ける、あの目線の先で。

褪紅色の湿原を見ながら、馴れぬ齢を生きている。

耳朶を嚙み合う様に。

反意語を持たない杳い日は、明るさに満ちて。

永永しい下り坂と、刹那の祝祭で創る瞬間を生きている。

残り過ぎ蛇行する時間。

微笑みに似て、鼻腔を擽られながらであってさえ。

不可分の一瞬一瞬を生きている。

唇は曰く言い難い存在(文字)を探る。

完璧な絶望は言葉が現実、そのものだから?

ガラス一枚の内が奈落の深さと知った時。

果てしなき夢魔に襲われ、目と耳と鼻と唇とが、ゆっくりと分解して行く。

それは、身を責む長き夜に現れし幻か?

絶界に君臨する以津真天。

「ハンデは不平等に負わされる」

うらぶれ汚れた金烏。

「わかるか?」

昏き奈落の底に住まう双睛。

「知ってるか?」

迫りたるこの決戦の様相。

「家畜より狩る獲物が旨い事を」

凍えたる手に戻るは、紅蓮の如くなる解放者の血。

幻の枷を解かねば、性と心を塗り籠めに奴らが来る!

蛇皮で縛られし心を歯を舌を口を骨迄、今、解き放て!

(つづく)

<800文字>

【逆噴射小説大賞2024参加作品】

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【参考図書】
「「バカ」の研究」セルジュ・シコッティ(著&その他)ジャン゠フランソワ・マルミオン(編)田中裕子(訳)

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