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【クラシック音楽の楽しみ方のいろいろ】ひと味違う演奏を楽しむ

珍しい曲があるのなら当然、

「珍しい演奏」

というのもあるのではないか、と考える人がいそうですが、その通り、再現芸術であるクラシック音楽には、演奏の点から

「おや?」

「おや、まあ」

「これは、おもしろい」

と思わせるものが、結構あったりします。

これらを追いかける

「ひと味違った演奏を楽しむ」

方法も、また、興味をもつ人がいるかもしれませんね(^^♪

さきにもふれましたが、クラシック曲の演奏は、作曲家たちが残した楽譜を、そのまま再現するのが基本です。

しかし、それ以外の演奏がないかというと、決してそんなことはなく、原曲のスタイルを生かしつつ、楽器を変え、規模を変え。

響きや、ムードを変えたもの。

あるいは ジャズやポピュラーのように、リズムを変え、大胆な編曲を施したもの等、実に、さまざまな演奏を見つけることができます。

それも、最近は、ポピュラー畑の人よりも、お堅い筈のクラシック演奏家がやっているものが、結構多くなってきました。

クラシック音楽と聞くと、つい構えてしまう人も、ちょっと手を加えると、こんなに聴きやすいものなのかと気づく編曲もの。

どんなものがあるか、以下に簡単に、纏めておきます(^^♪

まず、ピアノの独奏曲を、大編成の管弦楽に直したもの、あるいは、その逆、等は、どうでしょうか。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」(原曲ピアノ版)の、ラヴェルによる管弦楽版。

あるいはラヴェルの「なき王女のためのパヴァーヌ」の自身による管弦楽用編曲。

リストによるベートーヴェンの交響曲(全曲)のピアノ版。

同じくベルリオーズの「幻想交響曲」。

ワーグナーの「タンホイザー」序曲ピアノ版などがそうですが、これは、よく探すと、驚く程、沢山ありますよ。

特に、リストに注目すべき編曲が多いのが特徴的でしょうか。

その他、合唱曲を管弦楽化したヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」、ヴィヴァルデイ「ヴァイオリン協奏曲」によるチェンバロ協奏曲用編曲、「管弦楽組曲第三番」第二曲。

ウィルヘルミによるヴァイオリン用編曲「G線上のアリ ア」等も、よく知られています。

協奏曲と言えば、同様に、主役の楽器を代えたものとして、ベートーヴェンの唯一の「ヴァイオリン協奏曲二長調」をピアノ協奏曲に直しているのも有名ですね。

また、編曲者の知名度に、拘らなければ、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」を、フルー卜でやったものや、ヴィヴァルディの「四季」を、オルガン一台でやったもの。

また、ギター12重奏でやったもの、ブラスでやったもの、等もあり、聴いてみると実に楽しいと思います(^^♪

一方、「G線上のアリア」のように、大曲の一部が編曲によって有名になったものには、チャイコフスキーの「アンダンテーカンタービレ」(弦楽四重奏曲第一番の第二楽章)や、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」(同)、ボロディンの「弦楽のためのノクターン」(同第二番第三楽章)、パッヘルベルの「カノン」、アルビノーニの「アダージョ」、ボッケ リーニの「メヌエット」、ハイドンの「セレナード」等があります。

以上は、クラシック的な、いわばオーソドックスな編曲ものですが、その他にも、

「クラシック歌手たちが歌うポピュラー・ソング(あるいはその逆)」

「ジャズふうのクラシック」

「ポ ピュラーふうの編曲もの」

という、くだけた編曲ものが有ったりして、私達にとって、喜ばしいことですね(^^♪

「クラシック歌手たちが歌う」は、以前人気の三大テノール(ドミンゴ、パヴアロッ ティ、カレーラス)が歌う、アメリカンーポップスやラテンーナンバー、ミュージカルーソングがそうだし、アメリング、テーカナワ、ヴンダーリッヒら多くの歌手がとり上げている、同じようなナンバーが、そうです。

美声と声量たっぷりな歌唱は、いかにも、のびのびとくつろいでいて、魅力的です。

一方、その逆に、ポピュラー・シンガーが、クラシック曲に挑戦したものは、前者ほど多くはないものの、あることはあります。

女優としても人気のあるバーバラ・ストライサンドの歌ったドビュッシーやフォーレの歌曲、ギリシャの歌手ナナームスクーリの歌った「アヴェーマリ ア」や「愛の喜び」、アメリカの男性歌手アンディ・ウイリアムスがクラシック曲に歌詞をつけて歌う「エリーゼのために」「舟歌」等ですが、これもまた、クラシック歌手にない、独特の味わいが楽しい楽曲達です(^^♪

「ジャズふうのクラシック」も、古くからいろいろなものがあります。

例えば、ウィーンの三羽烏として評判のあったピアニスト、フリードリッヒーグルダは、自らジャズ曲を作曲・演奏して人気だったし、名ヴァイオリュスト、メニューヒンも好んでジャズを演奏していましたね。

わが国でも、ラリー・コリェルと組んでユニークな「四季」を録音した山下和仁(ギター)とか、ジャズふうの演奏に個性を発揮する宮本文昭(オーボエ)、フリー・ジャズと呼ばれる型破りな演奏で人気だった山下洋輔(ピアノ)のような人がおり、これらに、古くからのオイゲン・キケロ(ピアノ)や、シャッタ・ルーシェ、ジョン・ルイス等を加えると、ジャズ風クラシックも、色々な演奏が楽しめて、見逃すことができません。

「ポピュラーふうの編曲もの」というのは、ジャズのように、リズム一辺倒でなく、メロディや(モニーにも富んだ、イージー・リスニングムード風の演奏のことである。カーメン・キャバレロ(ピアノ)、ポール・モーリア、マントヴァーニ、アルフレッド・ハウゼ、フランク・プゥルセル)等の名を聞けば、思いあたる人も多いのではないでしょうか。

これも、また、くつろいで楽しめる、万人向きの演奏ですね。

その他、クラシック曲を材料にして、さまざまな、いたずらや、脱線ぶりを楽しませる「ホフナング音楽祭」や、「P・D・Q・バッハ(冗談音楽という)、笛とアコーディオンだけで交響曲から小品までを演奏してみせる「ケンブリッジーバスカーズ」、どんな曲でも、スキャットで聴かせる「スウィングルーシンガーズ」、富田勲氏のシンセサイザー・クラシック等々、ひと味違った演奏は、探してみると、いくらでも見つかります。

昔のレコード・カタログを手がかりにして、こんな演奏を集めてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

気分に合わせて聴く「アダージョーカラヤン」というCDがヒットして以来、アダージョ(ゆっくりと、という音楽用語)で書かれた曲が、一時期、大流行していましたね。

万事が、慌ただしい現代人の毎日。

ゆったりとした音楽を求める人が、それだけ多いということだったのでしょうね。

それは、今も、さほど、代り映えしないと思います(^^;

そのことから思うのですが、クラシック・フアンの中には、これまでのジャンルだ、作曲家だ、という近づき方でなく、そのとき、そのときの心情、つまり、日常の気分に合わせて聴いている人が、案外多いのではないでしょうか。

分析的、知識的な聴き方は、もちろん満足度が大きいと思いますが、それとは関係なく、日常敵にぶつかることになる、さまざまな気分が、うれしい、悲しい、いらいらする、楽しい、淋しい、等に合わせて、自分好みの曲を、自由に聴く。

それは、それで、理屈によらない素直な付き合いとして、一つ考えられる方法かもしれませんよね(^^♪

ここでは、その

「気分に合わせて聴く」

楽しみ方について、少し考えてみたいと思います。

例えば、私の場合ですが、よく晴れた休日の朝とか、特別な予定のないのんびりとした午後等は、好きなコーヒーで一服やっていると、もう一つ、ふさわしい音楽が聴きたくなったりします。

さて、何がいいかなあと、音楽を探すと、クラシック音楽の場言、のどかな気分に合いそうなメンデルスゾーンの「無言歌集」とか、モーツァルトの「二管楽器のセレナード」等が見つかります。

それらを流しながら、真剣に耳を傾けるのでもなく、本を読んだり、お茶を飲んだり・・・

あるいは夜になり、一日の仕事を終えると、楽しみである紅茶を一杯、モーツァルトの「フルートとハープの協奏曲」や、テレマンの「幻想曲」を聴きながら、寛いで飲む。

細やかながらも、幸せを感じる大好きなひとときです(^^♪

こういう聴き方をしている人は、実際、世の中には、沢山いるような気がするのですが、ポイントは、知識や理屈でなく、曲のムードや、感じが、そのときの気分に、合うかどうか。

そのことだけを考えればよいという気楽さにあるのではないでしょうか。

従って、先に、ご紹介したジャンルや歴史、作曲家を中心にした方法等が、面倒だという人も、気軽に始められるのは、間違いないだろうと感じます。

但し、

「気分しだい」

というのは、それによって、

「聴いたり聴かなかったり」

という、中途半端なことにもなりかねないから、徹底しようと思ったら、前もって、どんな気分のときに聴くか。

そのケースをあれこれと考えておくと、良いかもしれませんね。

例えば、朝・昼・晩のさまざまな気分とか。

春夏秋冬の異なった気分。

旅をしたいなあと思ったとき。

恋をしたとき。

幸せだなあと感じたとき。

昔が懐かしくなったとき。

いらいらしたとき。

大声を出したいとき。

孤独に陥ったとき。

憂鬱なとき。

悲しいことに出会ったとき。

酒を飲みたいとき。

食事のとき。

思索するとき。

祈りたい気分のとき。

季節や自然に引かれたとき。

等々。

どんなときにも、ふさわしい曲を見つけてやるぞと、覚悟を決めるのです。

さて、曲目の方は、どうするかというと、まず、日頃、聴きなじんでいる曲をあれこれと思い浮か べ、各々、どんなときに合うか、適当に割りふってみる。

といっても、頭の中だけでは、混乱しそうですから、できれば、手帳かノートに書いてみるとよいと思います。

難しく考えず。

あくまでも、思いつきで良いと思います。

同じ曲が、色々な時に登場しても、気にしないことにする。

ひと通り、当てはめてみると、当然、該当曲が、思いつかないときや、少ないときが、出てくるけ れど、それらについては、ラジオやCD、演奏会等で耳にした曲を手がかりに、少しずつ、埋めていく。

こうして、ある程度、習慣づけてやっていくと、いつの間にか、レパートリーが充実して、どんなときにも、ふさわしい曲目を、引き出すことが、できるようになってきます。

即ち、日常生活に、定着することになるだろう、というのが、

「気分に合わせて聴く」

楽しみ方なんだと、そう思います。

メモするばかりでなく、実際に、曲を聴くことが、大事なのは、もちろんだけど、ね(^^♪


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