見出し画像

フジテレビの不祥事は、老害問題?、それともリーダーシップの欠如?

最近、フジテレビの不祥事が大きな注目を集めています。発端は某芸能人の女性トラブルでしたが、今や議論の焦点はフジテレビのガバナンス対応に移り、本来の問題の本質が見えづらくなっています。

フジテレビの社内説明会では、社員から「年寄りの経営は老害であり、総退陣せよ」という声が上がったとされています。

この意見はある程度理解できます。多くの組織で、年配の経営者が若い世代の感覚と乖離した意思決定を下すことが批判の対象となっています。

しかし、本当に「老害」が問題なのでしょうか?若い世代の経営者でも同じ不祥事は珍しくありません。

それでは、なぜ「年寄り経営」がこれほど批判を集めるのでしょうか?


1.なぜ「年寄り経営」が問題視されるのか?

経営者としての権威や社会的な影響力が大きくなると、周囲が過剰に忖度するようになり、「人の話を聞かない」「新しいことを覚えない」「面倒なことを避ける」という姿勢がまかり通ってしまう点です。

この構図が積み重なることで、若い世代との断絶が生まれ、組織の中で意見の多様性が失われていきます。

たしかに、年齢を重ねると新しい技術やトレンドを学ぶことが難しく感じる人も増えるかもしれません。しかし、問題は「年齢」そのものではなく、「学ぶ姿勢」と「柔軟性の欠如」にあるのではないでしょうか。

良い例として、鈴木自動車の元会長である鈴木修氏が挙げられます。

鈴木氏は、年齢を重ねてもなお、新たな市場や製品へのチャレンジ精神を持ち続け、業界からの尊敬を集めていました。このようなリーダーを見ると、年齢はリーダーとしての資質を判断する要素の一つに過ぎないことがわかります。


2.経営理念を語らなくなったとき、不祥事の兆しが現れる

私自身、ある企業のコンサルティングをしていたとき、フジテレビのような組織的な不祥事に直面し、そのとき気づいたことがありました。

それは、経営者が経営理念や組織のビジョンについて語らなくなり、代わりにKPIや数値目標ばかりを強調するようになったとき、不祥事が発生するリスクが高まるということです。

経営理念を語るとは、単なる理想論を述べることではありません。それは、組織として「何のために存在するのか」「どのように社会に貢献するのか」を明確にし、社員と共有することです。

経営者がこれを怠り、短期的な利益追求に走ると、社員は目的を見失い、不祥事を引き起こす要因が生まれます。

例えば、ある企業の経営者が現実的に達成不可能なKPI目標を掲げた結果、社員たちが「表向きだけ辻褄を合わせる」行動を取るようになります。

異論を唱えた社員は排除され、やがて組織全体が不正行為に手を染める状況に陥りました。このとき学んだのは、経営者が「社会への貢献」や「組織の目指す姿」を語り続けることが、組織の健全性を保つ上で不可欠だということです。


3.イノベーションを生むリーダーの条件とは、年齢を超えた学びと協働

私はいま68歳ですが、2年前からAIの学習を始め、現在ではPythonやGoogle Apps Script、Dify、Cursorなどを活用してシステムを構築したり、企業や個人にAIの活用方法を提案しています。

今は30代、40代の若い世代と協力しながらサービスを作る中で感じたのは、年齢を超えた相互学習の大切さです。

例えば、若いメンバーから新しいアプリやツールを紹介されることで、現場での使い方や実際の課題に気づくことがあります。

一方で、私の経験を活かして、「このツールを使えば、社員の情報をAIで分析し、効果的なマネジメントができるのでは?」と提案することもあります。

こうしたやり取りを通じて、柔軟性と学ぶ姿勢があれば、年齢に関係なくイノベーションを生み出すことができると確信しています。


4.これからの経営者に求められるもの

フジテレビの不祥事が示しているのは、経営者の年齢ではなく、その資質が問われる時代に突入しているということです。

経営者に求められるのは、「理念を語る力」と「柔軟に学ぶ姿勢」です。この2つの要素を持つリーダーであれば、不祥事のリスクを低減し、組織全体を健全な方向へ導くことができるでしょう。

これからの経営者には、社員や若い世代の声に耳を傾けること、そして新しいトレンドや技術を取り入れる柔軟性が求められます。

この資質を持つリーダーがトップに立つことで、年齢を超えた強い組織が生まれるのではないでしょうか。


5.皆さんはどんなリーダーを求めますか?

今回のフジテレビの事例をきっかけに、私たちは改めて「理想のリーダー像」について考える必要があります。

あなたの周囲には、理念を語り、柔軟に学ぶリーダーがいますか?それとも、短期的な利益に偏ったリーダーがいますか?

時代が求めるのは、年齢に囚われず、社員と共に学び、社会に貢献するビジョンを共有できるリーダーです。これを実現するためには、私たち一人ひとりが「どんなリーダーを支持するべきか」を考えることが重要です。

いいなと思ったら応援しよう!