2024年問題、何が問題なのかわからない理由
2024年問題とは〜何が問題なのか〜
一般の人には関係なさそうであるのだが、それが始まることによって
それほど影響を受けずに済む方と影響を受ける方と分かれる問題。
これは自動車を用いた仕事をする業界で騒がれている問題で、
2019年に「働き方改革関連法」が施行され、勤め先の勤務の
在り方について考え、それに適合するよう大抵の事業所は改善が進んで
来たのかと思う。
一方、自動車を用いた仕事を業界、いわゆるトラック(貨物)・バス・タクシーの緑ナンバーのドライバー職の勤務の在り方というのはかねてより長時間労働や人手不足などの理由で5年間の猶予期間が設けられていた。
その猶予期間も2024年3月末で終わり、4月よりドライバー職も働き方改革を進めなくてはならない。
しかし猶予期間の5年間でどうなったかと言えばほとんど変わっておらずコロナ騒ぎの件で離職が相次ぎ、それに代わる十分な人員が充足されずに今になって騒いでおります。
何を隠そうと私はかつては大型トラックドライバー、現在は路線バスの運転士をやっていますので人手不足感を日頃からひしひしと感じているわけです。
突然の体調不良などの欠勤があると、ワンオペと行かないドライバー職ですので他の運転士が公休出勤や残業をもって穴埋めをしております。
改善基準告示というドライバー職で言う労働基準法みたいな告示というものがあり、最大の拘束時間の短縮や休息時間の延長等、今の時代にあったものに改正するわけですが、新基準にすると今まで拘束時間マックスかつ休息時間も最低時分で勤務を組んできた。
輸送やお客様に対してのクオリティを下げないために人手不足でも告示範囲内で時には基準オーバーしてでも維持してきた。
今になって各事業者は切羽詰まり、ドライバーの争奪戦を繰り広げております。
しかし時は既に遅し、新年度からはコンプライアンスも言われている時代ですので新基準での輸送が始まると思われます。したがってクオリティは下がる。
貨物運送業で言えば、例えば1日3便あった定期便が1便に減便、その2便分の荷物は後回しに。
路線バスならまず利用の少ない便、時間帯、路線の廃止。重複路線の見直し。
タクシーは隔日勤務がほとんどで告示違反はほとんど起きないので告示に関しては問題ないにしても必要なエリアにタクシーがいない問題は起きております。
免許で言えば普通二種免許ならタクシー、大型一種免許なら大型トラックを営業運転できます。大型二種はバスを営業運転できますが、大型トラックもタクシーも運転できるマルチな免許でもあります。
バスの運転士は路線バスで言えば早い出勤だと4時台、遅い退勤で深夜バスを走らせて深夜1時と勤務時間の幅があり不規則かつ客扱いや昨今では車椅子の
客の扱いとダイヤ運行とストレスのかかる場面が多くバスが嫌になると離職してトラック・タクシーに運転士が流れる傾向にあります。
貨物運送業は仕事内容によりますが荷物の着時間を守れば気楽な仕事であります。運転しながらタバコ吸おうが携帯かけようがはたまた好きなラジオや音楽聴こうが道中事故らなければ自由。タクシーも客がいない時は自由時間です。
2024年問題に最も打撃を受けるのがバス業界です。減便による利用クオリティの低下は勿論の事、人手不足なので稼げる路線も削らなくてはならなくなった。今のクオリティの維持すらままならない状況です。
実はそうなった理由が「ある世代の定年退職」というのもあるが、かねてよりあった業界ならではの「人材の使い捨て」をしてきたから。
約20年前、規制緩和によりバス業界は「運行の受委託」という子会社化を行い、低賃金や非正規でバス運転士を雇用して、事故などやらかすと自主退職へ追い込み、人材を育てず「使い捨て」にする行為が横行していた。当時聞いたことがあります、「代わりはいくらでもいるから…」と。
時代は令和になり平成生まれが多く活躍する時代、学校で学んできたものも
昭和生まれと違う中、今までと同じことをやっても人材は集まるはずがない。
バス業界は昔と変わらない部分が多く、バス路線も乗らないのに昔から変わらない。
路線沿線も時代とともに変わるのだからニーズにあった路線に変更するのが筋なのだが、変更申請やバス停やバス車両の機能の更新が必要なバス業界なので事業者も面倒でやりたがらない。
なので新規で参入するバス事業者はそのような作業が比較的少ない貸切、特定、都市間高速バスばかりである。
今の若い世代は学校で当たり前のようにパソコン関係を学んでおり就職先も土日休み、9〜18時くらいの勤務のITやベンチャー企業に就職する率が昔よりも劇的に上がっており、どんな名の知れた運輸事業者でも人材を集めにくくなりました。
現場系の仕事は余程高待遇で募集かけないと集まらないことや高待遇に見合う売り上げが今後見込めるか、それとも人員不足で閉鎖や廃業に追い込まれるか。
今後そのあたりのお話も上げて行きたいと思います。