
西村賢太『墓前生活』
そろそろ三年になるが、それに合わせて朗読会が催されるものらしい。
『墓前生活』は、月刊『Hanada』2025年2月号にも書かせていただいた通り、大好きな『どうで死ぬ身の一踊り』の文庫本の初っ端に収められているから、よく読んだ。
2003年に書かれた西村賢太の処女作である。
木の墓標は、東京・王子のマンションのリビングに飾られている写真でしか見たことがなかったので、この朗読会のチラシの写真のように、元々の、お墓としての姿で立っている様には、やっと目にすることができた嬉しさがあった(といって、見ようとして苦労したりなどは全くしていないのだが)。
あ、あの、「写真」だ! 背後の写真立てに入れて飾ってあったやつだ!!! と思って嬉しかった ↓↓↓

自分の生前墓と並んだ写真ではなく、こちらを飾るのが”西村賢太”である
そもそも、藤澤清造の墓が菩提寺に建立されたのは、その芝公園での不慮の死から二十一年を経た夏のことであった。
清造死去時に健在だったその肉親、(略)つるさん(清造の嫂)には、給料と云うかたちでの収入はなかったから、菓子代的に得たものを二年間貯め続けてそれを建立の資金とした。並みならぬ執念である。
因みに、「西村賢太没後三周年」の「周年」という言葉に「何が周年だ!目出たいか!」と食って掛かりたくなってしまった私には、やはり遺族感情みたようなものがあるようだが、調べたところ、この用法は別に不適切でもないものらしく、災害などについても使うらしい。