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「スポーツ」を「ゲーム」として評価してみたら
世界的に人気/ファンが多いスポーツをピックアップし、6指標によって「ゲームとしての完成度」をAIに評価してみてもらうという試み。
指標について
ルールの明快さと奥深さ
戦略・戦術の幅
選手の技術と魅せ場
観戦のエンタメ性
公平性・フェアプレイ
参入障壁・身体的排他性
この指標も概ね、AIに評価基準を決めてもらったが6項目のものは足しました。
そのスポーツがどれだけ身体的や環境に左右されず公平性のあるスポーツかという指標です。
これはビデオゲームでいうところの誰もがプレイして楽しめるのかどうか?
に当たり、プロスポーツとしてのエンタメ性という評価だけではなく実際にプレイして楽しむことに先天性のパラメータが影響しすぎないか、楽しめる客層の広さを加えてみた感じ。
【前提】
この評価に関してはめちゃくちゃ偏りがあるし、賛否あれば、見る角度や解像度によって大いに変わるし、さまざまな評価があって然るべきであるので、この記事としては1エンタメとして見ていただくことと、「ビデオゲーム」としてどういう解釈で見るか?
ということも含めて、一つの視点を提供する記事となります。
では、AIが弾き出した、評価の発表です!
以下、目次にあるスポーツが今回対象となった、世界的に人気のあるスポーツです。
【サッカー】
ルールの明快さと奥深さ: 8
戦略・戦術の幅: 9
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 9
公平性・フェアプレイ: 7
参入障壁・身体的排他性: 8
→ 総合: 49
【バスケットボール】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 9
観戦のエンタメ性: 8
公平性・フェアプレイ: 8
参入障壁・身体的排他性: 6
→ 総合: 46
【野球】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 7
公平性・フェアプレイ: 8
参入障壁・身体的排他性: 6
→ 総合: 44
【テニス】
ルールの明快さと奥深さ: 8
戦略・戦術の幅: 9
選手の技術と魅せ場: 9
観戦のエンタメ性: 8
公平性・フェアプレイ: 8
参入障壁・身体的排他性: 7
→ 総合: 49
【バレーボール】
ルールの明快さと奥深さ: 8
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 8
公平性・フェアプレイ: 8
参入障壁・身体的排他性: 7
→ 総合: 47
【アイスホッケー】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 9
観戦のエンタメ性: 9
公平性・フェアプレイ: 7
参入障壁・身体的排他性: 5
→ 総合: 45
【ホッケー(フィールドホッケー)】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 8
公平性・フェアプレイ: 8
参入障壁・身体的排他性: 6
→ 総合: 45
【アメリカンフットボール】
ルールの明快さと奥深さ: 6
戦略・戦術の幅: 9
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 9
公平性・フェアプレイ: 7
参入障壁・身体的排他性: 5
→ 総合: 44
【ラグビー/アメフト】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 8
観戦のエンタメ性: 8
公平性・フェアプレイ: 7
参入障壁・身体的排他性: 6
→ 総合: 44
【ボクシング】
ルールの明快さと奥深さ: 7
戦略・戦術の幅: 8
選手の技術と魅せ場: 9
観戦のエンタメ性: 9
公平性・フェアプレイ: 7
参入障壁・身体的排他性: 8
→ 総合: 48
結果はっぴょーー!
サッカー (49点)
テニス (49点)
ボクシング (48点)
バレーボール (47点)
バスケットボール (46点)
アイスホッケー (45点)
ホッケー(フィールドホッケー) (45点)
野球 (44点)
アメリカンフットボール (44点)
ラグビー (44点)
点数差はそれほどつかず僅差ではあるものの
なんとなーく、分からなくもない結果になった?と思います。
ゲームとして評価しながらツッコミを入れていく
ということで、「ゲームデザイン」という観点からの完成度として気になる箇所や、スポーツの特徴やそれぞれのスポーツの対比などを行いつつ主観も交えながら評価してみたいと思います。
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サッカー
サッカーってゲームデザインとしては秀逸。
ダントツでトップになるかと思いきやギリギリ一位タイという結果に。
何が秀逸かというと
とにかくシンプルなルールでありながら、深いゲーム性が担保されている点に尽きると思います。それでいて大きな穴がないというのも完成度が高い点です。
※穴という表現はあとのスポーツで具体的に説明します。
ゲームのデザインとして、(基本的には)シンプルなルールであるほど、間口が広く、誰でもプレイ出来る、すぐに楽しめるという意味でも強みになります。
ただし、ルールがシンプルなほど、ゲームに深みが出ません。
これは必然的にそうならざるを得ないのです。
例えば、将棋、囲碁などは深みのあるゲームデザインがありますが、将棋で言えばコマの特性やルールなど、囲碁も石を置くだけと、シンプルですがどのようにすれば有利になるかなど、選択肢が多すぎて戦略性や直感的ではない複雑さがあります。
シンプルなルールと深みが両立出来ることというのは相反しやすい性質があるため、そのゲームデザイン性に価値があります。
ゲームでいえば
「テトリス」とか「ぷよぷよ」、「スイカゲーム」などはこれに当たるものかもしれません。
どれも非常にルールはシンプルですが遊び続けられるだけの深みがあるからこそ長く楽しまれているものです。
長くなりましたが、サッカーは「手を使ってはいけない」という基本ルールと少ない制限によって成り立っておりかつ、「リスクとリターン」が随所に多様な形で発生し、またゲームに取って重要な適度な不確実性を併せ持つよいゲームデザインだと思います。
難点をいうならば、オフサイドの分かりづらさ(しかしオフサイドは多くの課題を解決する優秀なルール)と、ファウルの曖昧性あたりに感じるところはありますが、これもゲームデザインがシンプルであるがゆえの落とし所のような気もしています。
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テニス
高得点。
ルールは明快。
わかりやすいのと、ゲーム性に理不尽さがあまりないのは良いゲームデザインです。
サーブ権に強みがある偏りがあり、サーブ権をしっかり取れるかという点に重みが寄りがちになりますが、どちらに優劣があるわけではなく公平性は担保されています。
これを言っちゃうと元も子もないですが、1対1のスポーツと11対11のスポーツでは多人数のほうが深みが出るのは当たり前で、ゲームデザインの観点から見ると1対1のスポーツは多様なシチュエーションが少なくなるのは仕方ない点です。
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ボクシング
テニスよりも、シンプルなルールかつ勝ち負けが分かりやすいゲームデザイン。
誰もがプレイできるかというとそうではないですが、KOで倒すか判定に持ち込まれるかなども一方に偏るわけでもなく、不確実性においても必ずしも強いものが勝つというバランスでもないところに熱狂が生まれる。
階級ごとに分かりやすく公平性も担保されており、ゲームとしての穴はみあたりにくいです。
※評価として1対1のゲームデザインの限界はあります
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バレーボール
バレーボールはゲームデザイン的に少々難があると感じているスポーツです。
後述するバスケットボールもそうなのですが、身体的に身長が高ければ基本的に有利というか、身長が高いことが強者の条件となっているスポーツで、理不尽性が垣間見えます。(ほかのスポーツもそうじゃないか?という声が聞こえてきますがより顕著だということ)
もう少し誤解を招かないようにゲームデザインとしてのツッコミをいれるならば、バレー/バスケットともにネットの位置やゴールの位置に近くアクセスしやすいほど、確実に有利になるルールとなっているからで、身体的な要因が重いのはロバスト性が低いともいえるでしょう。
※ロバスト性:システムや機械がもつ、外乱に対する強さ。
ゲームのシステムが人間の能力の差によって、ゲームデザインに影響を受けてしまいやすい点が少しゲームデザインの穴として存在します。
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バスケットボール
バレーで記載した弱点はそのままバスケットボールにも適用されます。
背が高ければ高いほどチートになる、とまではいかないとしても、背の高さが一定要求される重要度が高い。
また、バスケットボールは手でボールを扱うがゆえにボールが取られにくく、ゴール前以外での不確実性が低い。
ゴール前での攻防だけになりやすいパターン化はゲームデザインとしては好ましくない状態だといえる。
その状態を防ぐための攻撃時間の設定など、ゲームデザインとしては美しくないルールを導入せざるを得ないのはボール奪取が難しいスポーツだからというところがポイントになっているのでしょう。
1つ1つ記述していくときりがないので
ポイントとなる点はある程度、ツッコミを入れてこれたので野球にツッコミをいれてまとめにいきます。
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野球
野球のルールってどのくらいの人がわかるでしょう?
正直、野球のルールって難しいです。
覚えようとしなければ永遠に覚えられないくらいガッチガチにルールで決められたゲームデザインとなっています。
サッカーとは真逆のシンプルさの欠片もないゲームデザインです。
しかし、基本的にゲームはシンプルであるほうが良いと書きましたが、面白いゲームというのは複雑怪奇、ルールを熟知しないと楽しめないゲームは多くあります。
野球はその手のゲームです。
楽しくなるためにガッチガチでルールで固めた結果、絶妙なバランスで着地されるようにデザインされたゲームといえるでしょう。
ビデオゲームで言えば‥
ファイヤーエムブレムやシヴィライゼーションといった
シミュレーションゲームをイメージするといいかもしれません。
様々なことを覚えなければゲームが楽しめないですし、その段階にいくまでのハードルが非常に高いです。
ただ!ハマると面白い!というのはやはり、複雑性が面白さの深みに必要だからということですね。
シンプルさと深みを両立させることがゲームデザインの理想としつつ
間口の低さを犠牲にしても面白さに深みを持たせて楽しめるものにするというパターンも
シンプルなゲームでは到達し得ない深みの領域もあるということです。
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アメフト/ラグビー
この2つのスポーツも敵陣のエリアにボールを運ぶという目的としてわかりやすいゲームデザインですが、そのためにやってはいけないことなどのルールとして制限が多く設定されているというイメージを持っています。※あまり詳しくなく解像度低め
ゲームの目的としての間口の広さはあるが、身体的にプレイは難しい、細やかなルールの把握が難しいといったハンデがある印象です。
この記事で伝えたかったこと
スポーツも同様にデザインされたゲームの一種です。
リスクとリターンがあり、楽しむために競ったり協力したり、そして応援したりするエンタメでもあります。
ゲームはシンプルなルールで深みがあると良い
上記で述べてきたように、シンプルであれば遊びやすい。
ルールが少なく、わかりやすければ、多くの人が楽しめる。
そして、耐久性として遊び続けられるだけの深みがあれば完成度が高いといえるでしょう。
ロバスト性が高いと穴がない
プレイヤー側の取る選択肢や能力によってゲームデザインが大きく変化してしまう。また、そういった変化によって体験が異なってしまうことがない設計になっていることが好ましい。
穴があると公平性を失い、ゲームを楽しめなくなる場合が多い。
ルールが複雑になればなるほど、ゲームとして成り立たせる変数が多くなり、精度が落ち、穴ができやすくなるので面白さと複雑性のジレンマがある。
ガッチガチのルール設計でゲームは作れる
そうなんです、ゲームをゼロイチで構築し、多くのルールで固めてしまうゲームを作ることも可能。
まさにスポーツそれぞれも最初はゼロイチで生まれた多くのスポーツたちです。
ゲーム評価として優劣をつけてはみましたがどれも親しまれ多くの人が楽しんでいるということはゲームデザインとして優れたものが残っているといっていいでしょう。
ただし!
ゲームデザインを複雑に作り、整合性をとり、面白さをつくり、穴のないゲーム性を担保するには非常に難易度の高い設計作業が必要です。
そして、間口が高くなるということは遊んでもらう機会を得にくかったり、多くの人に広めることが難しくなることでしょう。
といったジレンマを抱えています。
終わりに
エンタメとしてAIにスポーツのゲーム評価をしてもらうという試みから
ゲームデザインとしてどういった要素が重要になるのか、誰もが知っているスポーツから「ゲーム」を考えるにあたり大事なこととは何か?
という手がかりが見つかればと思い記事にしてみました。
※あくまでも、ゲームデザインとして見た場合にどういう考え方をするかを記述してみたものであり、それぞれのスポーツにはスポーツの良さがあるのでスポーツとして優劣をつけるものではないことをご理解くださいませ。
今回は以上です!
野球の観戦のエンタメ性が低い(7)のは
なんかしっくりこなかったな…。