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「案ずるペンギン」が面白い

「彗星の如く」と言う言葉がある。

ハレー彗星の公転周期は約75年だそうで、一生に一度見れるか見れないかの希少度らしい。(ちなみに1996年に回帰したハレー彗星が次に見られるのは2061年)

今、Xを賑わせている案ずるペンギン(@nidonejapan)を形容するのに適切な言葉だと思ってこのnoteを書こうと思った。いや、書かずにはいられなかった。

たまたま流れてきたツイートをみていいねを押すと、瞬く間にフォロワーが増え、当初見た時は1万そこらのアカウントがたった1週間で10万目前まで伸ばしている。

たしか最初に押したいいねがこの投稿だったと思う
https://x.com/nidonejapan

私も10万前後のアカウントを運用したことがあるが、(芸能やアスリートなどのアカウントを覗いて)3万フォロワーを超えたあたりで全く違うゲームになる。

相互にいいねを押してもらったり、流行りの定型的なフォーマットを使って、時には著作権なんかを無視して芸能人や有名人、有名アニメの画像なんかを平気で使って投稿するのとはわけが違う。

ムーブメントを作ることなんだと思う。

「流行に乗ってバズること」「流行りを作ってバズること」とでは、アントニオ猪木とアントキノ猪木くらい違う。つまり全く違う。

単にみんなが面白いと思っているものを真似すればいいのだけれど、ムーブメントを作るというのはみんなが面白いと思うものを先回りして考えるそして届ける作業。そしてセンスそのものである。

今回の案ずるペンギンがなぜこのムーブメントを起こしているのかを下記の5点を軸に考えてみたい。


ネーミングセンス

「案ずるペンギン」という名前。アカウントを見ると感情のなさそうな黒目の丸い一匹のペンギンが横向きで歩いている。

https://x.com/nidonejapan

「案ずる」という言葉は聞き馴染みのない言葉で調べてみた。

心配するとかあれこれ考えるみたいな意味があるらしい。なんか考えているペンギン。それだけで面白い。そしてなんか可愛い。

あと、オスかメスかわからないのも良い。
悪いけど二度寝させてもらうよ。の意味はわからないがなんかキャッチーだ。
寝ることに全くかかっていないけど、位置情報がかためのまくらってなんなんだろう。寝れてないからずっと考えてるみたいな世界観なのかな?

いろんな憶測が脳裏をよぎった。

真面目な話をすると、Xとかyahoo!とかの「流れてくるもの」に対しての名前やタイトルは13文字以内が鉄則である。

これはコピーライティング界隈だと「13文字の法則」と言ったりするらしいが、まあ簡単に言うと一瞬で人が認識できる文字数は13文字程度だよというもの。

「まだ、ここにない、出会い」
「そうだ、京都、行こう」
「お、ねだん以上。」

全部コピーだけで企業名がわかるくらい簡潔にまとめることで人の脳裏に焼きつくことはもう言うまでもない。もはや擦られまくってる内容である。

もうちょっと補足すると「カタカナ」「漢字」「読点」「エクスクラメーション」「ひらがな」これらをミックスした方がより人の頭に形として残りやすい。

「案ずるペンギン」

13文字以内、漢字・ひらがな・カタカナが織り交ぜられている。
頭に残っているのは法則に従っているからかもしれない。

投稿内容

2019年11月からどうやら開設をしている様子。ただ、メディアを参照したところ今のフォーマット(ペンギン+名言+Cマーク)をスタートさせたのは2024年12月。おいまてまて。1ヶ月そこらで10万人フォロワーいってるの?・・天才だ。

2024年12月10日のポスト
https://x.com/nidonejapan

投稿内容をざっとみていくと、概ね1日1投稿。メインは上記のフォーマットをベースに引用リツイートを行っている。

バズった時に宣伝するツイートも欠かしていないあたり、そしてきちんとセルフリツイートも欠かしていない辺りを見るとかなりXの運用について詳しい人なんだろうなということが伺える。というか基本ができている。たぶん別の運用とかもやってる人だろうな。


投稿画像


汎用的×属人的の設計が秀逸。

例えば、ペンギンが言ってる「名言」みたいなのは割とそこらに落ちている往年のあるあるだったりするけど一般の人が「案ずるペンギン」を真似できないのはデザインに落とし込んでいるところにあると思う。

このペンギンは自分でデザインしたペンギンなんだろうか。
企業の宣伝なわけでもないから本当に自分でツイートするためにデザインしたのだとしたら相当なX大好きな人が運用してるんだろうなとも案じている。

figmaか何かで描いてるんだろうか。デザイナー出身か?
でもこの短いセンテンスで刺してくる感じ、コピーライター出身か?
でもXの運用方法を見る感じ、マーケター出身か?

謎は深まるばかりである。

ペンギンの表情が虚なのが言葉とマッチしていて良い。
情熱的で過激というよりは、ポツリとつぶやくイメージ。

コーヒーを手に持ってるから一休みしなよ的な感じで語りかけてくる感じがキュートすぎてファンになってしまうんだと思う。

冒頭に話した「ムーブメント」をもたらすには尖りまくったセンスで突き抜けるか、汎用性をもたらしてパクリをたくさん増やすかの2択なんだろうなと思う。

ちょい前に流行った「しごできジャイアン(もうアカウントは消えたけど)」とかは画像を落とせば誰でも同じことが呟けるパクツイが可能になるので後者のムーブメントの起こし方だった。

汎用性に寄せるのか、属人性に寄せるのか。

汎用性を取った場合、競合がひしめくのでよりオリジナルが目立った投稿をし続けなければならない。ただ競合参入はムーブメントを起きやすい起爆剤にもなり得る。
属人性を取った場合、オリジナルのみが流通するのでパクリは出てこないが元投稿者の熱量にムーブメントが比例する。これは突然きたりするから怖い。

どちらにせよオリジナルの圧倒的なカリスマ性が光らないと「ムーブメント」は起こらないのだろうなと整理できた。

運用テクニック


ちょっとTIPS的な裏っ側を想像すると(これは勝手に思ってるだけ)
こういう名言系ってアンチが出やすい。「この投稿って伸びてるけどXXが言ってた名言パクってるだけじゃん!!」みたいなくだらない界隈が必ず出現してくる。

そういった界隈はおおよそツイートをコピペして検索にかけて過去に同じような投稿がされてないかのエゴサをして、性格の悪い奴はそれをそのままリプ欄とかに貼っつけて「これみつけましたけど?」みたいな顔をする。

真っ向から向かってくるアンチより、そういうインテリアンチ(?)の方が実は腹が立ったりするもの。

でも、上手いなと思ったのは(これは意図してないと思うけど)画像なので、JPEGなので、コピペができない。

つまりインテリアンチに検索されにくい=案ずるペンギン素材用の名言の仕入れはガンガンしちゃって良い

ことに繋がる。

継続的に案ずるペンギンを投稿していくには「デザイン」と「名言」の仕入れと作成が必要だろうけど、上記より名言の仕入れさえ上手くいけばフォーマットとしては秀逸かつ継続的に運用が回させそう。

画像と名言はリンクしていなさそうなので、これ仮にデザインもオリジナルだったら、企業タイアップとか案件とかも全然できそう。ビジネス的に伸び代がありそうすぎてもう羨ましさすらある。

「投稿内容」のところで話したように、かなりX運用に長けている人だと思うので次の仕掛けに注目したい。バズったあとというのが悩みもの。

一発当たった事業の別の柱を設けるために新規事業を作って株主の期待を集める、みたいなこと。(例えが非常に下手)

人間性


3万フォロワー超え出したらアンチもぐんぐんついてくる。
アンチというよりその正体は嫉妬なのだけれど、バズってる人気者を腐したい私生活上手く行ってない界隈がこぞってやってくる。

言われもないことや、突拍子も無い角度からの発言でイラっとすることもあるけど、その立ち回りでアカウント運用の全てが決まってしまう。バトってしまったら面白がって別のアンチも増幅する。揚げ足めっちゃ取ってくるし。

その意味で考えると、中の方もとても賢いのだろうなと思ったのがこれ。

何が言いたいのかよくわからないけど、なんか腐したい気持ちなんだろうなということはわかる。パラノイア。名前の意味しってつけてたのかな。

上の画像がそれに対しての対応。

スマートっ。。
そして批判に対して包み込むような大人の対応。。

そのほかのリプライも見たけど相手に理解を促す投稿はあるけど攻撃性はない、真にやさしい人なんだろうなと思う。本当は優しい人が向いてるんだよなツイッターは。あ、Xは。

ということで色々考えながら書いてたら3500文字を超えてしまいました。
読んでもらってありがとうございました!

秀逸なアカウントで、前述したように今後の展開が楽しみです。

案ずるペンギンのアカウントはこちら↓


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