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【平野 / 谷】 詩。

〈凩の酷き歳果つ平野かな くにを〉

風が凪いだ時に
僕は何処まで行かうかな
自らに拵へたケージを出て
どれぐらゐが眞の人間のする流浪?

ねえ井月さん教へて下さい
〈馬の飲む水はけぶりて枯柳 井月〉
生きるつて仕業は遠隔操作の莫迦騒ぎなのか
もしさうぢやなければ
僕の進退極まつた
今日をあんたならどう過ごしたかつて事です

ぢやあもう一句
〈或る日ある地べたの温度霜降りし くにを〉
もうぐちやぐちやです
聴こえない筈の音らよ -
僕は五十でメンヘラ呼ばはり

あんたは悩みに屈したのか
人の世に生まれた重荷つてもの思うたから
放つておけば虱まみれの
現世は佛の悪戯かもな
〈良ヤヤ有て田へ移り行く時雨かな 井月〉

〈地層見ゆる廃苑に鴉二羽の冬 くにを〉

お寺の鐘が聴こえた
夏の有明けと
ずぶずぶと沼にはまる冬の二度寝
あんたが棲んだ伊那谷の大道よ
あゝ...意味もなき詠嘆
〈冬の蠅牛に取りつく意地もなし 井月〉

〈筆箱の中に巣紡ぎ蜘蛛歳末 くにを〉
あゝ...意味もなき詠嘆
のやうなもんなの? 千鳥のまこと -

〈柚の匂ひ豆腐の輕み覺えけり 井月〉

千鳥の

〈おしつこをして寝なさいね寒むかし くにを〉
〈別れ端バナのきげむ直しや玉子酒 井月〉

何でもかでも食物繊維入りつて謳つてら。

©都築郷士

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