【縛り首のバラッド】by 都築郷士
交情のあつた女性から
XXちやん(私)つて結構
肌キレイよね、
顔以外は。
人のこと言へるか
あんただつて小鼻、
ニキビ抉り取つた痕に
乳液溜まつてるぞ -
だが私は
聲に出してそれを
言つたんぢやなかつた。
話は飛ぶ、
今日11月10日
アルチュール・ランボオは昇天(堕地獄か)した
その時點ランボオは失敗した
商人であり、名残りの詩も
つひには吐かれなかつた。
片脚を失ふまで
その一つの地獄に
深入りし過ぎた - 地獄にも
松竹梅があるのだ
梅の線だつたと思ふ
若年の髙歌放吟は
その後の零落にと
直結してゐるのではないか、
さうフランソワ・ヴィヨンを見よ
見えないものを見てゐた
あんたには慣れぬやも知れぬが
縛り首の版画は
数多く残つてゐる
詩(といふ病ひ)は
見合はない
ひとかけのエメラルドにさえ、届かず。
人生ゆつくり、
それが私の悼辞であり
頌歌だ。ほな。
〈冬などはなき砂漠ひと懐かしく くにを〉
アルチュールへ。
©都築郷士
筆者近影。