プロ野球の春季キャンプの思い出(アナリストの視点)
NPBの春季キャンプも始まって早くも2週間が経ちました。
私もアナリストとしてチームに帯同して春季キャンプに参加させていただいていました。
テレビやネットでキャンプの風景を見ると懐かしい気持ちと少し寂しい気持ちになります。
春季キャンプにおけるアナリストの仕事
アナリストの業務の一つに、さまざまな測定機器の管理、設置、計測などがあります。
最近は、投手の投球、打者のスウィング、打球などのパフォーマンスを測定する機器が多くなりました。
一般によく知られているものだと、ラプソード、トラックマン、ホークアイなどでしょうか。
ブラストモーションという機器もあります。
こうした測定機器を管理したり、練習で設置したり、計測結果を見たり、撤収したりするのもアナリストの仕事です。
最近では学生野球の現場、中学生の指導でも活用されているようですね。
春季キャンプでもブルペンでピッチャーが投球練習をしている映像が流れますが、ピッチャーの横に、iPadとそれを支える台のようなものが置いてあります。あれで、トラックマンが計測した1球ごとの球速、回転数、回転軸などを確認することができます。
トラックマンの測定機器はオレンジ色かブラックのベースみたいな形をしたものです。
ブルペンではピッチャー、キャッチャー、審判のほかに、首脳陣とスタッフらしき人たちが立っていますが、スタッフらしき人がアナリストです。
私もブルペンに立ち会うことがありましたが、いくつか気をつけていたことがありました。
グラウンドで気をつけていたこと
ブルペンという場所はピッチャーにとって神聖の場所です。
ピッチャーは当然ですが、かなり集中して1球1球、投球をします。
現場の空気はかなり張りつめています。
なので、当然、無関係なおしゃべりなどは厳禁です。
また、ピッチャーが集中を乱さないように、必要な時以外は、なるべく周囲にも寄らないようにしていました。
これはバッティング練習も同様です。
また、私はそれだけでなく、姿勢にも気を付けていました。
ポケットに手を突っ込んだり、あくびもしないようにしていました。
仕事中なので当たり前だろうと言われそうなのですが、同じチームで意外とこれができていないスタッフもいたのも事実です。
プロ野球選手たちは繊細な神経の持ち主
プロ野球選手というのはかなり繊細な人々なのです。
選手は思った以上に、周囲を観察しています。
野球というのは硬球を扱うので、グラウンドに入ったら、自然とそうなるのかもしれませんが、プロ野球選手の観察眼というのは一般の人よりはるかに高いと思います。
ですから、スタッフの一挙手一投足も選手たちの目に入っているはずです。
プロ野球選手は自分の人生を懸けて練習したり、プレーしたりしています。その周りに気が抜けたスタッフがうろうろしていたら、選手たちにどう映るでしょうか。
アナリストの仕事で大事にしていたこと
私がアナリストという仕事でいちばん大事にしていたのは、信頼と信用です。もちろん、データ分析の知識やスキルも重要ですが、いちばん大事なのは監督・選手・コーチから信頼を得ることだと思っていました。
練習中、だらしない恰好や姿勢でグラウンドをうろうろしているスタッフを選手が信頼してくれるでしょうか?
私はチームに帯同するにあたって、元気よく大きな声で挨拶すること、だらしない格好・姿勢に見えないようにすること、きびきび動くことを心掛けていました。
幸い、監督、コーチ、選手の皆さんには、年上の皆さんにはそれなりにかわいがっていただいたと思いますし、同級生や年下の皆さんにも仲間だと思っていただけたと思いたいです。
ということで、NPBの春季キャンプの光景をテレビで見かけると、懐かしい思い出が蘇ってくるのと、またあの場所に立ちたいなと思う気持ちが交差します。