どんなお題でも語る #0「母とリポビタン」
こんにちは、ばさつと申します。
このnoteでは「どんなお題でも語る」をモットーに、皆様から貰ったお題について専門外だろうがなんだろうが小噺にして語っていきます。
#0「母とリポビタン」
中学生の頃の話。
部活を終え帰宅すると、1階のリビングから母と知らない子供の声がする。
私はすぐ2階に上がりテレビをつける。
母は自宅を使ってピアノの先生をしていた。
午前中に大体の家事をこなし、午後はピアノレッスン、さらに隙を見て夕飯の支度。
私が小学校に上がってから、そんな生活を毎日繰り返している。
暫くして玄関ドアが閉まる音とほぼ同時に、1階から母が私を呼ぶ。
「今日の夕飯、リポビタンで良い?」
・・・
リポビタンって、あのリポビタン?
毎日働き詰めで、やはり疲れていたのだな。
夕飯を作らなければその分だけ母の負担も減る。
私は申し出を承諾し、「ファイト!」と心の中で応援しながら部屋に戻った。
テレビも観終わり1階の食卓へ向かうと、母がレッスンを終えて台所に立っていた。
結局私の為に無理してくれたのか。
本当に頭が下がる。
母は私の前に出来立ての一皿を置いてくれた。
「ごめん、ナポリタンの間違いだったわ!」
ああ、やっぱり母は疲れているんだな。
私は目の前に出されたミートソースを啜りながら、母を大事にしようと誓った。
#0「母とリポビタン」完
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