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どんどん増えて13人に。全編ギャグ満載なのが逆にホラーw第27回「鎌倉殿と十三人」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第27回の感想です。
前回の感想はこちら↓
(※以下、ネタバレ注意)
選挙のため一週間お休みしての、遂に新章突入ですよ。いやぁ、待った待った。もちろん、第18回~第25回までの一挙再放送も観まして。
「ウァーッ!義経生きてるぅー!八重さん生きてるぅー!蒲殿生きてるぅー!頼朝ーはよ○ねー!」
みたいに、懐かしい顔に泣きそうになりながら堪能しちゃったんですけれども。そのおかげもあって、頼朝ロスはもう脱せたかな……頼家(金子大地)が新・鎌倉殿として御家人たちの前に座ってることに、さほど違和感はなかったです。
でもさ、最初のシーン、御家人たちが超・密な感じで座ってるの、笑っちゃったよ。とにかく「早く新・鎌倉殿に顔を覚えてもらわなきゃ」、「ちょっとでも取り立ててもらわなくちゃ」という気持ちで、御家人の皆さん、張りつめてらっしゃんでしょうね。
でも、特定の家を引き立てる気はない、これからは実力ある者だけを評価していくと力強く宣言した頼家。なんか……スタートアップの企業の若手社長みたいなノリじゃないですか。ギラギラしてるのは結構だけど、今まで贔屓してもらってた御家人たちからは「キチィなー」みたいな感じも漂っていました。
特に、面白くないのは比企家ですね。頼家の妻に送ったせつ(山谷花純)だって、勝手に正妻ではなく妾(めかけ)ということにされてしまいますし。比企家にとっては裏切られた気持ちなわけです。
逆に、悪の秘密結社……もとい、北条時政(坂東彌十郎)・りく(宮沢りえ)コンビにとってみれば、「頼家と比企は一枚岩ではなかった」ということがわかり、「面白くなってきました」と楽しそう。
ただ、そんな風に楽しんでばかりではいられない。ギラギラした頼家を操っていたのは、第三勢力・梶原景時(中村獅童)。こいつが「頼朝様は最後まで、御家人どもを信じてはおられませんでした。某(それがし)を除いて」だなんて、頼家に勝手なことを吹き込んでいたのでした。
そんな様子を義時(小栗旬)も見ていましたが、政子(小池栄子)に告げ口するや、「あの方は私心なく働かれるお方です。よろしいのでは」とあしらわれるのみ。そこで義時も諌めるのではなく、「こういうのはどうでしょう」と景時に歩み寄ります。そこで提案したのが、政治の要である訴訟問題に対して文官4人と景時を入れた5人で対処し、最終判断を頼家が仕切る、というもの。
が、まさかこれが「13人の合議制」の始まりになるとは……。比企能員(佐藤二朗)に話すと「ワシも入れんと、今後一切協力せん!」とつけ離され、仕方なく6人にすることに。
すると次は「ワシも入れろ」と時政が。これで7人と思っていたら、比企の方からも負けじと安達殿(野添義弘)を追加。すると北条の方からももう一人。また比企からも、またまた北条からも……と、どんどん「北条VS比企」の構図で人数が膨れ上がっていく展開に。
後半の方は一方的に時政が「もう1人いっとく〜?」「もう1人いっとく〜?」と完全に歯止めが効かなくなっていく展開も面白かったですな。合コンじゃねぇんだから(笑)。
こうして北条方有利な感じで12人が決まるのですが、比企の方も負けていない。最初の文官4人へ派手に振る舞い、我が陣営に引き込むというやり方で形勢逆転を図ってました。
そのシーンでも大江広元(栗原英雄)の、何やら怪訝な表情が印象的でしたね。「あれ、これって比企に買収されてんのかな俺」みたいな。気づいてるけど出されたお酒は飲んじゃうみたいな。さすがの広元でも比企に楯突くって考えはなかったのか、拒否したところで別に自分には得がないということもわかっていたのか。それでも流れに流されるままの他の文官3人とは違うぞ、という感じが出てたのは印象的でした。
さて、12人。梶原殿に「話が違う」と言われ、「もうこれ以上は増やさせません」と義時は言うのですが、最後の最後で政子から「13人目はあなたです」と御台所自らが任命するという展開に。これまた26回「悲しむ前に」の最後に、観音像を手渡された胸熱シーンの再来ではないですか(早かった!w)。
ただこうなると、頼家にとっても「話が違う」となることは、義時も気づいていたのでしょう。「何人になった」と頼家に聞かれ、「10人ちょっと……13人」と苦し紛れに答えるにとどまるのですが、「お前は入っておらんのだな」と聞かれればもうお手上げです。「尼御台の考えでございます」とゲロっちゃう義時。頼家もここまではギリギリ叔父の義時を信用していたのに、一気に裏切られた気分でしょうな。直後には義時から「頼朝様も、最初から鎌倉殿だったわけではございませぬ!」と必死に説き伏せようとするのですが、それで丸め込まれる頼家ではありませんでした。
翌朝の寄り合いには、「御家人がその気ならワシにも考えがある」とばかりに、自分に近い若武者たち6人を近習(きんじゅ)として呼び寄せていました。
その中には比企の2人、さらには太郎こと頼時(坂口健太郎)と、五郎こと時連(瀬戸康史)の姿も。蹴鞠のときの6人じゃねーかwこれからサッカーチームでも結成するんでしょうかねこの方々……。
早くも波乱&波乱の予感で、もうどんなホラーだよみたいな展開です。終始コメディな感じではあったけど、むしろこっからの反動が怖いのよ!また次々と人が死んでいくじゃん……地獄のデスゲームの幕開けですよ。
それで次回予告では、早くも梶原景時がピンチに。前回、今回とねえ、逆に頼家に近づきすぎたのが仇となったみたいですね。
予告編の映像では、りくの「梶原を引きずり下ろしてしまいましょう!」なんていうウキウキしたセリフも印象的でした。この時代だと「引きずり下ろす=殺す」ってことになるんだけど、そういう意識はあったのかしら。田舎の方に引きこもって農業でもやっとけやのつもりで言ったのかもしれませんけど、結末を知ってるともうホラーでしかないです。
ゾクゾクしてきちゃったなぁ、もう……。
※
さて、まだまだ書き漏らした見どころポイントを箇条書きでいきますね。
・冒頭の後鳥羽上皇(尾上松也)の、頼朝の死を「飲水の病か」と推理したのは名シーンでしたね。「飲水の病」とは平安中期の公卿・藤原道長も患ったものであり、今でいう「糖尿病」のことだとされていますが、これで公式的にも「頼朝暗殺死」を完全に否定した形でしょうか。
道長は51歳の春からしきりに水を飲むようになり、2ヶ月も経つとさらにその量が増え、口が乾燥して無気力になりながら、しかし食欲は少しも衰えなかった。道長は10年間この病気に苦しみ、やせ衰え、視力を失い、62歳の生涯を終えたそうです。視力を失うのも、糖尿病の末期に起こることです。
まあ、これもミスリードだと読む方はそれでもいいと思うんですけど……振り返れば第20回、義経の首桶が運ばれた際にも「義経は死んでない。きっと裏口を抜けてモンゴルへ旅立ったんだ」と考察してた人もSNSにはいました。そういう見方も面白くはあるけど、そうなると頼朝が首桶を抱いて号泣してたシーンが台無しにならない?と。「実はこう」みたいな妄想考察は、自分ひとり楽しむ場合は結構だけど、あんまネットミーム化させすぎて普通にみんなが泣いてるシーンを台無しにしちゃうのは気をつけようね、とか思ったりします。
・加えて後鳥羽上皇。「頼朝の跡目(あとめ)、さぞ重かろう」と言ったシーンですが、これは上皇としてマウンティング取ってるようにも見えたとは思うんですけど、一挙放送を見ていた方としては「後白河法皇が逝去したときにまだ子供だった彼が、こんなに大きくなって……!」と感慨深いシーンでもあったのですよ。彼自身も後白河法皇の跡目として幼いころから頑張ってきたところがあるので、ある意味、彼なりの同情を示しているようなシーンにも見えましたね。まぁ、どっちにしてもこの後に史実として起こる承久の乱では、朝廷側と幕府側が全面戦争となるわけですから……どうなってくるか、という見どころでもあります。このドラマを「ヒーローもの」として見た場合、本当の「悪の秘密結社」は、もちろん時政&りくじゃなくて、上皇側なんですよね……。
・前回は次期・鎌倉殿として候補に上げられていた頼朝の最後の弟・全成(新納慎也)ちゃんですが、もうすっかり実権を握る意欲は失せてしまっているのでした。それを「ツマンネー」と思ったのか、妻の実衣(宮澤エマ)ちゃん。「琵琶を習いたい」とか言って、イケメン武士の結城朝光(高橋侃)とお近づきに。何やらときめく実衣ちゃんでしたが……まさかこれは不倫か!?w……まぁ色恋についてはともかく、恐らく次回くらいに、この結城朝光と実衣(=阿波局)の関わりが、とある事件のキーになるというのが史実にも沿ってるそうな。ここも目が離せないですな……!
・今後は都との関りも増えていくとのことで結成された頼家の蹴鞠チームですが、そのコーチ役に見覚えあり。後白河法皇の側近・平知康(矢柴俊博)ではないですか。丹後局から「出ていけ!」なんて言われていたけど、まさか鎌倉に再就職していたとは……しかも「蹴鞠のコーチ」は史実通りらしいですぜ(笑)。
・いよいよ結成された13人の宿老と6人の近習ですが、義時&頼時の姓が「北条」ではなく「江間」と呼ばれていたのが印象的でしたね。これは義時が江間の地を所領として得たときから江間だったらしいですが、ドラマ的にも「義時&頼時はもう北条家ではない」ということをキッパリ見せるような印象的なシーンだったと思います。振り返ればそう、第21回で義政とりくの間に男子が生まれ、「これで北条家も安泰でごじゃります~」とりくがウキウキ言ってたシーンですよ。
「めでたい」と言う義時に、妹・実衣も「めでたいですねぇ」と含みのある感じで言っていましたが、実はもうあの時から、義時は北条家の嫡子ではなくなってしまっていたんですよね。しかし史実からすれば、これから北条家として残っていくのは時政&りくの子ではなく、義時と息子・頼時(後の泰時)なわけです。ここから彼らが、いかにして北条姓を取り戻していくかも見ものなわけですね。「おもしろくなってきました!」(りく風に)