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療育のスタートアップガイド。

療育は、発達に困り感があり医師等の専門家から“療育の必要性が認められる”とされる、未就学児・学齢期の子どもを対象とした支援です。

療育は“障害児通所支援事業所”で実施されてます。
利用するためには、市区町村の発行する"通所受給者証"が必要になります。

この記事では、まず初めに療育を受ける場合の流れをお伝えし、次にそれぞれの項目についての詳しい説明をお伝えします。

!注意!
この記事でお伝えしている内容は、あくまでもひとつの一般的な例です。
子どもの状況や、自治体によって様々なパターンがありますので、実際に療育をスタートさせる際には、必ず事前にお住いの市区町村役場に確認してください。


◆療育を開始するまでの流れ

この項目では、療育を開始するまでの大まかな流れをお伝えします。
それぞれの詳細については、次の項目以降で説明します。

①”障害児通所支援事業所”を見学する

②”計画相談支援事業所”と契約する

③医師に”意見書”を依頼する

④”障害児支援利用計画”を作成する

⑤市区町村役場に通所受給者証を申請する

⑥障害児通所支援事業所と契約する

⑦療育スタート


◆①”障害児通所支援事業所”を見学する

障害児通所支援事業所”とは、実際に療育を実施している所のことです。
地域の中核的な療育支援施設となる児童発達支援センターと、街中で看板を見かけるような地域の事業所があり、主に年齢により”児童発達支援”と“放課後等デイサービス”とに分かれます。

自治体が配布している資料やホームページ、街中で見かける看板等で、既に興味のある”障害児通所支援事業所”を見つけている場合は、保護者が直接電話をして見学を申し込むことができます。
とはいえ、ホームページが無かったり、看板を出していない”障害児通所支援事業所”も多くありますので、実際に自力で見つけるのは難しいかもしれません。

そのような場合、次の②で説明する”計画相談支援事業所”を利用すると地域の様々な”障害児通所支援事業所”との架け橋となってくれるほか、④”障害児支援利用計画”の作成を任せることができます。


◆②”計画相談支援事業所”と契約する

計画相談支援事業所”は、地域の様々な”障害児通所支援事業所”との架け橋となってくれるほか、④”障害児支援利用計画”の作成を任せることができます。
また、子どもや家庭の困りごとの相談や、必要な福祉サービスの提案など、発達に困り感のある子どもについての幅広い支援を期待できる場でもありす。

ただし、お住いの地域によっては、利用希望者が多い等の理由で、”計画相談支援事業所”を利用しづらいことがあります。この場合は、保護者主導で手続きを進める”セルフプラン”の方法をとることになります。
セルフプランで進める際は、この②のステップは不要です。

お住いの地域の”計画相談支援事業所”がわからなければ、市区町村役場の担当課(障害福祉課など)で教えてもらうことができます。
なお、”計画相談支援事業所”を利用しても、金銭的な負担はありません。(実際には費用が発生しているのですが、全額公費負担として処理されます)


◆③医師に”意見書”を依頼する

療育は、発達に困り感があり医師等の専門家から“療育の必要性が認められる”とされる子どもを対象とした支援です。
ですので、通所受給者証を申請する際にはそれを証明するものの提示(または提出)が必要です。

証明するものとして、次の3パターンがあります。
①障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)
②医師などの専門家による診断書・意見書
③その他文書(自治体によって異なります)

◎障害者手帳を取得している場合
  →申請時に手帳を提示すれば大丈夫です。
   この③のステップは不要です。

◎障害者手帳を取得していない場合
  →”診断書・意見書” または、
   ”その他文書” を準備する必要があります。

“その他文書”については、取り扱いが自治体によって異なりますので、ここでは一般的な”診断書・意見書”についてお伝えします。

“意見書”とは、診断名がついていてもいなくても、医師などの専門家が”療育の必要性を認める”場合に作成することのできる文書です。
診断書・意見書どちらの場合でも、“療育の必要性が認められる”という意味合いの記載が必要になります。

なお、医師に診断書・意見書をお願いする場合は、基本的に自費(健康保険対象外)となり、3,000~10,000円程度の文書料がかかります。普段、乳幼児医療証等で医療機関での支払いがほとんど無いご家庭の場合、うっかりしてしまいがちな部分ですので、忘れずにお財布にお金を用意して行ってくださいね。

!注意!
診断書・意見書は”通所受給者証の申請日から○ヵ月以内に発行されたものに限る”という指定があることも多いです。事前にお住いの市区町村役場に確認しておきましょう。
また、医療機関によって、診断書・意見書の受取りに日数を要する場合や、作成するために必要な条件などが異なる場合がありますので、これについても事前に確認しておくことが必要です。状況によっては、この“診断書・意見書を依頼する”というステップを最初にしなくてはいけない、というケースもあるかもしれません。


◆④”障害児支援利用計画”を作成する

”障害児支援利用計画”とは、計画相談支援事業所もしくは保護者が作成する書類のことです。
通所受給者証の申請時に提出します。

主な記載内容は以下の項目です。
 ・子どもの基本的な情報
 ・利用する障害児通所支援事業所名
 ・療育で期待する目標
 ・支給量(1月あたりの利用日数)
 ・1週間の行動予定表(起床~就寝)

◎計画相談支援事業所が作成する場合
我が家はこちらを利用しました。
書類の作成自体は全てお任せできるのですが、作成のために必要なヒアリング、内容に問題が無いかの確認、最終的な署名捺印、については保護者の関わりが必要になります。

◎保護者が作成する場合
障害児支援利用計画について、お住いの市区町村役場に確認しましょう。
指定の様式が準備されていたり、自治体独自のルールがあるかもしれません。
書類の作成例は「障害児支援利用計画」で検索するとヒットします。画像検索で見るとイメージがつかみやすいと思います。


◆⑤市区町村役場に通所受給者証を申請する

”通所受給者証”の申請は、お住いの市区町村役場の担当窓口(障害福祉課など)で行います。申請に子どもは同伴しなくて大丈夫です。

①~④でお伝えした書類の他にも、印鑑・マイナンバーなど、必要なものがありますので、申請前にお住いの市区町村役場に確認しましょう。自治体のホームページに記載されている場合もあります。

申請時に窓口で、子どもの現状についてのヒアリングが行われます。
「○○はできますか?」「○○のようなことはありますか?」など、困りごとや生活全般に関しての質問です。質問量が多く、また、センシティブな内容もありますので、子どもの年齢や性格によっては、一緒に連れて行かない方がいいかもしれません。

”通所受給者証”の発行までにかかる日数は、自治体や申請タイミングによって、数日~数ヶ月とバラつきがあります。





◆⑥障害児通所支援事業所と契約する

”通所受給者証”が発行されると、療育先となる”障害児通所支援事業所”と契約することができます。

契約時は、サービス内容の説明を受けた後、契約書に署名捺印を行います。

また、子どもについての詳しい情報(成育歴・性格)や、療育に求めること、療育の目標などについての聞き取りがあります。事前にアセスメントシートを預かり、記入して契約時に提出する場合もあります。


◆⑦療育スタート

契約以降は、”障害児通所支援事業所”と保護者との間ですり合わせを行いながら療育を進めていくことになります。
定期的に”モニタリング”と称される打合せの場を持って、療育の振り返りと、それ以降の療育方針についての確認を行い、その結果を文書として残していきます。

”障害児通所支援事業所”のスタッフさんと保護者がしっかりとコミュニケーションをはかることで、その子にとって必要な療育を見極めていくことができます。スタッフさんは保護者にも寄り添ってくれます。
スタッフさんと信頼関係を築いて、療育先を親子ともども安心できる場所にしていきませんか?


◆療育の費用について

療育の利用料は、利用者が1割負担し、残りの9割は公費が負担しています。1カ月あたりの利用者負担額の上限(負担上限月額)は、世帯の収入によって、また、子どもの年齢によって異なります。
利用料はいわゆる”月謝”や”授業料”にあたる料金です。これ以外の例えば、食費・教材費・交通費などは実費負担になります。”障害児通所支援事業所”ごとに必要な費用が異なります。

◎原則
生活保護世帯および市町村民税非課税世帯・・・無料
市町村民税(所得割額)が28万円未満の世帯・・・負担上限月額4,600円
市町村民税(所得割額)が28万円以上の世帯・・・負担上限月額37,200円

※多くの世帯が上から2番目(上限4,600円)に該当します。
※世帯単位での上限月額なので、兄弟で利用していたとしても、兄弟あわせた利用料負担の上限が負担上限月額となります。


◎3歳から5歳までの子ども
2019年10月1日から、3歳から5歳までの障害のある子どもたちのための児童発達支援等の利用者負担は無償化されています。(無償化の対象となる期間は、「満3歳になって初めての4月1日から3年間」)
幼稚園、保育所、認定こども園等と、児童発達支援等の両方を利用する場合は、両方とも無償化の対象となります。
なお、”放課後等デイサービス”については、就学後の児童を対象としたものなので無償化の対象とはなりません。


◆ばるもちのキモチ

私は、療育について予備知識がほとんどないまま動き出したこともあって、とても回り道をしました。無駄足になったり、「たらい回しにされた…」と感じることもありました。

自治体の福祉サービスは、待っていても向うから情報がやってきたりしませんし、機関ごと部署ごとの繋がりが弱いんだな、というのが実感です。

療育をスタートさせるためには、ある程度の事前知識があったとしても、気持ちも、体力も、時間も必要です。この記事が、今、療育を考えている方にとって、少しでも役にたつことができればいいな、と、心から思います。

まずは、一歩動き出しましょう!
一歩進めば、何かが少し変わるはずです。
私も、一歩一歩、歩いている最中です。
一緒に、一歩、進みませんか?

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