8年かけてこの大学を出てやろうと決めた、ADHDの僕【東大バリアフリー体験記】
こんにちは!
すでに僕のnoteを読んでくださったことのある方は、タイトルから誰だかもうわかったかもしれませんね。改めまして、Rieです。
普段は自分のnoteで東大のバリアフリーの話を綴っていますが、今回は学生バリアフリー連絡会のメンバーとして、ちょっと自分の体験を改めて書いてみようと思います。
僕の障害について
診断名はADHD・抑うつ状態です。
発達障害に加え、幼少期から家庭がいろいろとごちゃごちゃしていたり、いじめに遭っていたり、性被害経験があったり、性的なマイノリティだったりと、複合的にいろんなことがありまして、
その結果として大学で不登校になり、いろいろ診断がつきました。
代表的な困りごととしては
・感覚過敏
・多動性
・不注意性
・不眠症
・抑うつ/希死念慮
とかですかね。
年表
まず、僕の入学年度からの歩みをご紹介します。大体こんな感じでした。
なにせ8年分なので長いですが、のんびり読んでくださいませ。
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▷2017年:入学。4月頭から大学に行けなくなる。ADHDと抑うつの診断が降りる。
調子が本当にひどく、1日中ベッドで泣いていたような時期。
東大の保健センターを利用し、投薬治療とカウンセリングを受ける。同時期に、バリアフリー推進オフィス(当時は「バリアフリー支援室」)を介して、合理的配慮の調整がスタート。
当時は「欠席時のリモート授業または欠席課題での代替」を希望していたが、特にリモート授業は過去に前例がなかったために難航。というかそもそも当時精神障害者の合理的配慮のケースがほぼなく、全体的に難航。聞くところによると副学長?くらいまで伝わったらしいが、先生方の反対が多く却下。
▷2018年:休学。
社会復帰を兼ね、サークルとバイトを始める。少しずつ復調。
合理的配慮の面談に精神科医が参加するようになる。ありがたい。
▷2019年:復学。
サークルやバイトでは好調だが、授業には行けない。
この辺りで「聴覚過敏と多動の影響で、教室で受ける語学がダメっぽい」と判明。副作用が強く投薬治療にも難航したため、前期教養が終わる未来が見えない。絶望的。
放校のタイムリミットが迫っており、教務課の方々やいろんな先生方が手を尽くしてくれるも、やはり難航。ただ、かなり現場レベルで(文科省の基準に抵触しない範囲で)みんなで融通を効かせてくれて、ヘロヘロになりながら少しだけ単位を取る。人のやさしさが沁みる時期。
▷2020年:コロナ禍でのオンライン化→前期教養を通過!
コロナ禍がまさかの功を奏す。
オンライン化したことでネックだった語学が解決、進学選択に必要な条件を全てクリアした。第二段階で渾身の志望理由書を提出したところ、なんと第一希望の教育心理学コースに合格。その後も綱渡りをしながらも前期教養を修了、晴れて教育心理学コースへと進学。
ちなみにこの頃、ALESAの課題で「オンライン授業が生徒の授業受講にもたらす影響」についてアンケートを取っていたりします。あとでまとめたい。
▷2021年〜2022年:長期履修の活用・支援面談のシステム化・復調!
長期履修を制度として正式に申請したことに加え、臨床心理学コースの先生のご提案で、支援面談が一気にシステム化された。これでぐっと負担が減り、かなり楽に。プロの力を思い知る(この辺から臨床心理学コースへの進学を本格的に検討)。
またコロナ禍の影響でオンライン授業が継続されていた授業が多く、おかげでどんどん単位が取れ、復調。卒業の未来が少しずつ見えてくる。
▷2023年:対面授業が受けられるようになる!
先生方やTAさん方のサポートもあり、ようやく対面授業が安定して受けられるように!!!嬉しい!!!
また、この辺りから「教室にいられないのは、パニック発作が原因では?」と気づく。そこで閉所恐怖症の対策を支援に盛り込んでいったところ、一気に対面講義への出席率が改善。
こういった体験をバリアフリー総長対話で語ったところ、精神障害者への合理的配慮の拡充に乗り気になってくれた!&学生バリアフリー連絡会発足!
▷2024年:合理的調整の拡充を推し進めるよう、大学に具体的に働きかける
学生バリアフリー連絡会のメンバーにも協力を仰ぎながら、合理的調整に関するテンプレート作成や、大学と連携したアウトリーチ活動などが学生主体でできないか模索して進めています。
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書いて思った。長い!もう1600文字。
さすが8年分。いやあ、長いこと奮闘してきましたねえ。
経験からの知見をまとめる
自分を支えたもの
割とずっと、「この大学に存在する精神障害者の苦労を全部経験しきってから放校にでもなんでもなってやるよ!!!」という負けん気が自分を支えていました。
先生方が悪いわけでは全くなくて、個々の先生はすごく優しかったです。でも僕が入学当初は特に、システム面で整ってない部分があったのも確かです。
まあ、だったら暴れまくってから卒業してやろ〜〜〜と思ってました。幸い一人っ子なので、親がそれを許してくれたのもあります。
ただ、そうこうしているうちにだんだん、
「え、大学楽しくない?」っていう気がしてきて。
で、特に2022年以降、臨床心理学を本格的に学び始めてからは、
もっと積極的に、「大学に通いたい」「この大学をよくしたい」っていう気持ちが自分を支えています。
能智先生、遠藤先生、大塚先生、高橋先生、熊谷先生、福島先生、小国先生、会田先生、ボビー先生、
そのほかここにはもう到底書ききれない、いろんな先生方の授業が面白くて面白くて……
まあだから、東大の粘り勝ちですね。ずるずると、低空飛行でも、なんとか続けてきてよかったなあと、今はそう思ってます。
あと、前期教養で一度放校になりかけたときに、
支援担当の先生が辞めさせてくれなかったのもあります笑。
「まだいける!!!!絶対いけるから!!!!!5年目いけるから!!!!」って言われて、なんとなく呆気に取られたまま、そのペースに飲まれて前期を修了しました…………笑
今思えばあれハッタリだった気がしますが笑、
自分もひそやかに諦めていた自分を誰かが信じてくれるのは、とても嬉しかったですね。多分松岡修造が人気なのもその辺なんでしょうね。
そのほか、先生方・周りの友人・先輩方etcもみんな必死でなんとかリレーを繋ごうとしてくれていて、なんとなくそれに流されて、卒業できそうです。
あって嬉しかったサポート
時期ごとにちょっと違うので、それぞれ書いていこうと思います。
▷1〜2年目
今思えば、心身がすごくボロボロだったんでしょうね。
とにかく寝てたので、生存に関わるサポートが嬉しかったです。Amazonで定期配達されてくる保存食だったりとか。通院手伝ってくれたりとか。
そしてそれとは矛盾するようですが、友達が遊びにきてくれたり、バイトを少しずつ探し始めたりと、寝てる状態でも人がかかわりに来てくれたことが嬉しかった。
▷3〜4年目
ちょっとずつ社会復帰が始まっていったので、無理のない範囲で社会と関わらせてくれたり、無理のない範囲で授業に出させてくれたりと、今できることと将来できるようになりたいことをつなげてくれるのが助かりました。
▷5〜6年目
やっぱり一番は支援のシステム化ですね。環境が一気に整った時期。
あと、この辺では、だんだん気持ち的に回復してきたこともあり、「他の人と同じように学問と向き合わせてくれる」先生方の存在がすごく嬉しかったです。「とりあえず単位を取る」ことではなく、「十分に学ぶ」ことを意識して接してくれた先生方が本当にありがたかったです。
▷7〜8年目
一緒に切磋琢磨できる同期・同僚・チームメイトのような人たちが本当にありがたい!
おそらく気を遣うこともあったのでしょうが、同じ目標に向けてたくさん議論できる人たちがいっぱい周りにいるのがすごく嬉しいです。
学生バリアフリー連絡会はその一つですね。
もっと欲しかったサポート
・初期段階(特に2017〜2018)はとにかく支援が少なくて、危なかった。
→精神障害に詳しい方を支援担当者にもっと入れてほしい、あるいは支援をする方に精神障害に関する知識提供をもっとしてほしいです。ここは学生側もどんどんフィードバックをしていくことが重要かと思っています。
・支援システムがわかりづらい、煩雑。友人や親に頼らないと十分な支援にたどり着けない。
→自分はここにもっと取り組んでいきたいなと思っています。連絡会のnoteの運用もそのためにやっていきたいなと思っています。
・パワーの勾配。先生-学生、健常者-障害者の二重の勾配がある状態で、合理的調整の交渉をするのは意外と難しい。
→ここも自分の領域かなって思っています。臨床心理学の知見を活用して、もっと勾配の少ないシステムを作っていきたい。その一環として、今は合理的調整のテンプレートの改訂版を各所に提案したりしています。
まとめ
ひとしきり、僕の経験と、経験から学んだことを綴ってみました。
ただつらつら綴った感じですが、どなたかの参考になれば幸いです!
もっと積極的に情報を提供するような記事も、今後書いていきたいです。
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