桜をみるタイミング
春を象徴する桜。桜の形や色が、人の視覚からスッと入ってきて、心を温かくしてくれる、そんな桜が私は好き。
どのように桜を見るかって毎年考えるけど、やっぱり難しいな。もちろん桜だって桜なりのタイミングで咲いているわけで、場所や時期によって咲き方が異なる。その中で、誰とどこでいつ見るかを考えながら桜を楽しんでいく。
そこまで絶対に桜を見たいという気持ちがあるわけではない。基本的に友人や家族に誘われないとどこかにいくってことをしない。だからこそ、桜を見にいくときも誰かに誘われないと見に行かない。そんな私でも『桜を見たい』と思うタイミングがある。
彼と出会って、好きになってまもない頃、私は当時大学を卒業して、附属の病院に就職するため埼玉で過ごしていた。見たことのない建物や行ったことのない喫茶店などたくさんの興味を惹くものがある場所にもかかわらず、休日も外に出ることをせず、静かな時間だけがすぎていた。そんなとき近くに住む友人から誘われて埼玉の桜を見に行った。
たくさんの人と屋台に囲まれた桜。太陽の光を浴びて、空の背景色で引き立てられている桜色を眺めながら思った。『この桜をいつか彼とふたりで見れたらな』と。きっと価値観が違っている彼と見ることで、感じたことのない見方や景色が見れるのではないか。そんな未来を考えながら、桜にカメラを向けた。
みんなは桜を見る時に何を考えながら見つめているのだろう。桜の満開さ、花びらが散る風景、桜を見ながらの食事、桜を見つめる大切な人との時間、いろんな楽しみ方や時間をくれる桜はやっぱり偉大だと思う。あの時の私は、物足りない気持ちと少しの未来への期待で桜を眺めていた。素敵な桜色の未来が来ますようにと願いながら眺めるのも、悪くないと思った。
いつからか桜色が自分のお気に入りのカラーになっていた。主張しすぎず、ほんのりと温かみを感じみんなの心にスッと入ってくる、そんな人間になれたらなと思っている。来年の桜は、どんな桜に出会えるのか楽しみにしてみよう。
日記作成日:2022.4.5