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学校での生徒のスマホ利用を禁止するべきか? デンマークでの議論
オランダやフランスなど世界で進む学校でのスマホ禁止の動き
オランダやフランスなど、学校での生徒のスマホ利用を禁止する国も増えてきているようです。
(参考)
オランダ、教室での携帯電話使用禁止へ - ライブドアニュース (livedoor.com)
フランス:小中学校でスマホ禁止 「集中力阻害」で法規制 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
世界で最も教育のデジタル化が進んでいる国のひとつ、デンマークではどうでしょう?
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『デジタルおしゃぶりを外せない子どもたち』
Politiker vil forbyde mobiler i skolen – men det rammer helt skævt, mener forskere og unge - TV 2
TV2というデンマークのテレビ局のニュースサイトで紹介されている記事を紹介させてください。
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学校での携帯利用を政府が禁じるべきか?
2023年1月8日出されたこの記事によると、2018年のデンマークの調査により、デンマークの実に80%もの学校が、校内での携帯電話の使用についての規則をすでに設けているか、導入を検討していることが分かったそうです。
穏健党の議員で子ども、教育、幸福担当のスポークスマンRasmus Lund-Nielsenは、政府が全ての学校に、学校内での生徒の携帯電話の使用を禁止するよう呼びかけてはどうかという見解を示しました。様々な調査により、携帯電話の使用が子どもの幸福や健康、学習意欲に時にネガティブな影響を及ぼすことが分かってきているからです。
「携帯電話により集中力が妨げられるという報告資料が上がってきています。携帯が隣にあるだけで、認知能力が下がるのです」と同氏は述べています。学校での携帯電話を政府が禁じるという案は、同氏個人の案に過ぎず、穏健党全体の意見ではないと同氏は強調した上で、この問題について議論を進める必要性を示唆しました。
子どもたちは学校での携帯電話の禁止案に懐疑的
ところがデンマーク小中学校団体(Danske Skoleelever)代表Marie Holt Hermansenは、携帯電話が学習の妨げになっているのであれば、解決策は自分たち生徒自身が見つけるべきなのではないかとTV2の取材に答えています。
高校生団体(Danske Gymnasieelevers Sammenslutning)の代表Madeleine Steenberg Williamsは、テクノロジー中心の現代社会の市民として生きられるよう、学校教育を通して、自制心と集中力を養う必要があり、若い世代はそのスキルを身につけられるという信念を表明した上で、携帯電話を禁止したところで、教育現場で主に使われているのは携帯電話よりもコンピュータだとも述べています。またMadeleine Steenberg Williamsは、テクノロジーは現実に必要なツールであり、テクノロジーへのアクセスを禁じるのはナンセンスだとし、このツールを有効に利用する術を身につけさせるのが現代の教育の大きな目的のひとつではないかとも述べています。
それでも携帯という娯楽の種を片手に学ぶことは難しいと説く政治家
しかし先の政治家Rasmus Lund-Nielsenは、携帯電話を子どもたちは主にエンターテイメントを楽しむために用いているのが現状であり、娯楽の種を片手に、学ぶことは難しいのではないかとし、学習の際、携帯電話を手元に置かないようにすることが大事なのではないかとしています。
携帯を学習に利用する目的を教師が明示することで学習効果が上がる
Elevers sociale relationer vinder, når telefonerne bliver i tasken (au.dk)
デンマーク教育大学のAndreas Lieberoth,の2018年の研究によると、携帯を学習に利用する際、教師が携帯を使用する目的を生徒に明示することで学習効果が向上することが分かっています。
6%のデンマークの学校で学習に携帯電話を使用
edu.au.dk/fileadmin/edu/Udgivelser/E-boeger/Ebog_-_Skaerm_-_skaerm_ikke.pdf
この研究により、6%の学校で、教師が授業中、生徒に学習のため携帯電話を使わせていることも分かりました。
デジタル機器の利用の規則をもうけた学校の3分の2がポジティブな効果を実感
またデジタル機器の利用について規則を設けた学校のうち3分の2はポジティブな効果が出たとし、残りの3分の1は特にポジティブな影響は見られなかったと回答しました。
また携帯電話を預かることが、授業中、気が散るのを防ぐのに最も効果的なことも分かりました。ただし、生徒の年齢によってルールを変えること、また時々携帯電話の使用を許可することで、ポジティブな効果が見られました。
国が禁じるのではなく、各学校で子どもたちと一緒にルールを定めるべき
オーフス大学で学校のデジタル化について研究しているJeppe Bundsgaardは国が禁止するのではなく、各学校がそれぞれに規則を決めるのがよいのではないかと述べています。
同氏は「学校はテクノロジーの扱い方を学ぶと同時に、テクノロジーの適切な利用の仕方を習得する場でもあるべきです。もし学校が携帯電話という強烈なテクノロジーの問題に対処しなければ、子供たちは本当に制御が効かなくなってしまうでしょう」
さらに同氏は子どもたちの決まりを大人だけで決めるのでなく、子どもたちも一緒に決定に参加するべきだとしています。このことに、先の2つの学生団体の代表も同意見だとTV2のインタビューで答えました。
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『デジタルおしゃぶりを外せない子どもたち』も引き続きよろしくお願いします。