「メンタルヘルス」とは?職場・テレワークでのストレスケア方法
「元気に楽しく働きたい!」という思いは社会人共通の願いです。けれども、職場の人間関係や仕事内容、昇進・出世など、ストレスや不安が絶えないというのも現実ですよね。
そこで大切にしたいのが「メンタルヘルス」です。よく耳にする言葉ではありますが、「メンタルヘルスを大切にするってどういうこと?」「どうして大切にした方がいいの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「メンタルヘルスとは何か」「悪化するとどんな悪影響があるのか」をお話しします。メンタルヘルスケアについて、会社としてどのような取組が有効かもまとめました。これからも健康に働いていくために何が必要かを考えていただく機会になればと思います。
また、新型コロナウイルスが流行したことで、テレワークを導入する会社も増えてきました。職場に通勤し、同僚と接しながらの仕事とは違ったテレワークならではのメンタルヘルスケアもお伝えします。
「メンタルヘルス」とは?
「メンタルヘルス」とは、直訳すると「心の健康」という意味です。
では、社会人にとって「心が健康である」とはどういう状態でしょうか?
たとえば、「自分にはできることがある」という自信があると、多少のストレスははねのけられるし、問題が起こってもきちんと対処して解決・解消することができます。
そうすると仕事でも自分なりの成果があげられるし、周囲にも貢献できますよね。
貢献できたことでさらに自信が生まれて…というよい循環が生まれているのが「心が健康」という状態です。
けれども、この循環は気をつけていないと滞ってしまいます。仕事での小さなミスや人間関係でのもめごと、プライベート上での問題など、きっかけはさまざまです。
1つひとつのストレスは些細なものでも、そこから循環に詰まりが生まれてうまく流れなくなってしまいます。
メンタルヘルスによい循環を生み出すには、毎日の「心のメンテナンス」が必要です。
厚生労働省の調査によると、仕事に関することで不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は2020年度で54.2%にのぼるそうです。
社会人の2人に1人はメンタルヘルスになにかしらの問題を抱えていることになります。
メンタルヘルスの悪化が及ぼす悪影響って?
仕事がうまくこなせなくなる
ストレスや不安を抱えてメンタルヘルスが悪化すると、仕事に対するモチベーションが下がりがちになります。
やる気が出ないとテキパキと仕事をこなすのも難しく、生産性も落ちてしまうでしょう。
それぞれの従業員の仕事のクオリティが下がると、会社全体もうまくいかなくなります。
社員のメンタルヘルスのケアには、会社を挙げて取り組んでいくことが大切です。
身体に不調が表れる
憂鬱な気持ちを抱えているときに、「なんとなく身体が重たいな…」と感じたことはありませんか?
よく言われることですが、心と身体は連動しています。ストレスや不安を持ち続けていると、体調も悪化することが多いです。
頭痛や腹痛・胃痛、血圧の上昇や耳鳴りなど、身体がさまざまなストレスのサインを出しています。精神的にもイライラしがちになったり集中力が欠けたり、不眠に陥ったりすることもあります。
身体の調子に異変を感じたらここ最近のメンタルの状態を思い出してみて、休息をとるようにしましょう。
精神疾患にかかる可能性も
心身の不調を長い間放っておくと、精神疾患にかかる可能性も増えます。
ここでは3つの病気を紹介しますが、精神疾患はこのほかにもたくさんあります。
⦁ 適応障害…環境にうまく適応することができず、不安感や憂鬱な気持ちを強く感じたり、対人トラブルを起こしたりするようになる。就職・転職、結婚など、環境の変化があった後に多い
⦁ パニック障害…突然、理由のない動悸やめまい、吐き気などの発作が何度も起こる。発作を起こすのが怖くて外出できないなど、生活に支障をきたす病気
⦁ うつ病…何事にもやる気が出なくなり、集中力がなくなる。眠れなくなったり、ひどい疲労感・憂鬱が抜けなくなったりと、人によってさまざまな症状が表れる
精神疾患にかかったからといって人生が終わるわけではありません。そこから人生が開けることだってあります。
けれども、大変な思いをするのは間違いありません。
治療の開始が遅れるほど治りにくくなってしまうので、心身に不調を感じたら病院を受診してみてください。
メンタルヘルスケアに有効な取り組み
厚生労働省は、メンタルヘルスケアは次の「4つのケア」を継続的・計画的に行っていくことが重要だとしています。
⦁ セルフケア
⦁ ラインケア
⦁ 事業場内産業保健スタッフ等によるケア(内部EAP)
⦁ 事業場外資源によるケア(外部EAP)
それぞれ、詳しく説明します。
セルフケア
従業員が自分自身のメンタルヘルスをケアできるよう、教育することです。
早い段階でストレスに気づいて自分で対処ができるように、ストレスやメンタルヘルスケアについて正しい知識を社内に浸透させることが大切です。
専門家を招いて社内研修を行ったり、社内報にセルフケアについての記事を掲載したりするのがよいでしょう。
ラインケア
管理監督者が部下に対して行うメンタルヘルスケアのことです。
現在の職場環境の状態を把握してよりよいものに改善したり、従業員からの相談に応じたりする必要があります。
部下のメンタルヘルスに不調がないか、日ごろから観察するようにしましょう。欠勤や早退・遅刻が増えていたり、身だしなみが整っていなかったりしていたら要注意です。
管理監督者だけでは解決が難しいと感じたら、専門家につなぐことも考えましょう。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア(内部EAP)
「事業場内産業保健スタッフ等」は産業医や保健師のことです。
けれども小規模な会社の場合、社内の衛生管理者や人事労務を担当している社員がその役割を担います。
「EAP」とは、メンタルヘルスに不調を抱えた従業員を支援するプログラムです。
事業場内産業保健スタッフ等にあたる社員は、セルフケア・ラインケアが効果的に行われるよう支援します。
メンタルヘルスケアにどう取り組んでいくか計画したり、それぞれの従業員の健康情報を管理したりするなど、活動内容はさまざまです。
管理監督者との連携プレーが求められます。
事業場外資源によるケア(外部EAP)
メンタルヘルスケアについて専門的な知識をもっている、EAP機関や医療機関・地域保健機関などを活用したケアです。
メンタルヘルスの相談やカウンセリング、医学的な診断、休職した場合には復職支援などを担当します。
社内のスタッフではないので普段から気軽に利用できるものではないかもしれませんが、「ほかの従業員に相談内容を知られたくない」といった場合には心強い味方になります。
テレワークにおけるメンタルヘルスケア方法
テレワークでの仕事でメンタルヘルスの問題となりやすいのが、
「オンとオフの切り替えが難しくなる」
「コミュニケーションが減ることで孤独・孤立感を覚えやすくなる」
の2つです。どのようなメンタルヘルスケアが有効でしょうか?
オンライン上でコミュニケーションをとる機会を設ける
同じ空間で仕事をするならば人の気配が感じられますし、雑談もしやすいですよね。
中身のないような話でも、雑談はメンタルヘルスによい影響を及ぼしています。
テレワークでは自宅で黙ったまま仕事をすることになりがちなので、WEB会議システムでの朝礼やミーティングなどの機会を使って少し雑談の時間を設けるのがおすすめです。
また、テレワークだからこそ面談の機会を作るようにしましょう。
画面上でも従業員の顔を見て話をすることで、メンタルヘルスの状態を知ることができます。
就業時間をきちんと管理する
どんな仕事にもいえることですが、「作業が終わらないから」といって休憩もとらずに仕事をしたり、夜中までテレワークを続けたりするのはメンタルヘルスに悪影響です。
一斉に休憩をとる時間を作ったり、勤怠管理システムを導入して従業員の就業時間をマネジメントしたりするなど工夫しましょう。
まとめ
「メンタルヘルス」についてご紹介してきました。
これからの時代は、全員が無理なく元気に働いていくことが特に求められていきます。
自分自身の、そして周りの人のメンタルヘルスを健康に保てるように工夫していきましょう。
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