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[無料記事] #1 バルサスポーツ心理学:「伝わらない」をなくす。リーダーシップに欠かせない、前提として把握しておかなければならない世代間の違い。


はじめに

社会のグローバル化やICT(情報通信技術)やSNSの普及など、時代背景が目まぐるしく変わる中、もちろんそれによる世代間の違いも大きくなっています。

この世代間の差のマネージメントは繋がりの強固なチームを作り上げる上で必須要素であり、世代間の違いを理解することはコミュニケーションを円滑に進めすれ違いを減らします。

各世代が「何をしているか」は簡単に観察できる特徴であり行動ですが、その背後にある信念や価値観である「なぜそれをしているのか」は目には見えません。

そのため、多様性のある(今回の場合は世代間の多様性)チームを効果的に管理するためにリーダーはそれぞれの信念や価値観についての理解を深めることが重要です。

というわけで、今回は世代の分け方と世代間による違いについて解説していきます。

繰り返しにはなりますが、これらの違いを正しく把握し、お互いにリスペクトしていないと

関係性をうまく構築できない」「選手に上手く伝わらない

ということが起きかねません。

そういったことが実際に起きている方はぜひ、今回の記事を参考にしてみてください。



ベイビーブーマーズ(1944-1960年生まれ)

特徴:

競争を求め、楽観的。「不可能なことはない」という考えがベースにあり非常にエネルギッシュ。「生産性を高く」をモットーに、能力を高め常に何かに参加し続けることを求めている。
そのため、引退せずに仕事を続けたいと思っている人が多い。

価値観と信念:

成功は物理的な収入額で測られる。消費額によって地位が決まる。競争的であり、キャリアの形成を重視している。仕事と私生活のバランスを取ることは難しい、もしくはその必要がないと考えている。

社会的文化背景:

戦後の経済の発展による楽観主義と豊かさ。消費ブームや高い教育水準、変化を求める理想主義の世代。女性が労働市場へ進出。

対人コミュニケーション:

自分の知識や経験、キャリアを尊重してもらうことを求め、それが仕事だけではなく自分自身の価値として評価してもらうことを望む。遠回しな伝え方に安心感を感じる。

葛藤:

具体的な批判や直接的な指示に対して良い反応は示さない。フィードバックは年に1度が望ましく、多くの情報と賞賛が含まれている必要がある。

現在の立場:

既にプレイヤーは引退しており、リーダーや指導者、コーチングスタッフ、アスリートの親であることが多い。

X世代
(1961-1980年生まれ)

特徴:

個性的であり悲観的。誤解されやすく、懐疑的態度で反抗的な姿勢が強い。

他人ではなく自分自身のことを信じている。

個人的な目標の達成に集中しており、他人への関心が薄い世代である。

価値観と信念:

グループでの連帯意識が強く、即時性を求める文化がある。長期的な文化には取り組まず、より専門的なプロジェクトへの関心が強い。
「未来には魅力がない」というモットーを持つ。
複数の言語を話せるようになり、よりグローバルな視点や仕事と私生活のバランスを重視し、仕事以上に家庭や人間関係を優先する。

社会文化背景:

テレビやパソコンが登場し、情報通信の方法や速度が大きく変化した。
ポスト・フェミニズムの時代で、離婚率が3倍に増加した。

対人コミュニケーション:

達成した結果や未達成の結果について話し合う。実用的で生産性のある直接的な対話を求める。
フィードバックは学習が向上する結果をもたらし、該当する分野での変化が生まれる場合には上手くいくが、それ以外の場合は無意味となる。
つまり、簡潔で実行しやすいものでなければならない。

葛藤:

生産的でありながらも、楽しい私生活とのバランスが取れない場合に生じる。何にも依存しておらずそれぞれが独立している傾向にあるため、このバランスを優先させることが可能。

この世代の課題:

・新しい世代、スポーツ業界の変化への適応
これまでとは違うリーダーシップスタイルの獲得
・ベイビーブーマーズとY,Z世代との架け橋となる
・物理的でアナログである古いトレーニングメソッドから脱却し、よりグローバルでデジタル化された、現在の技術を活用したメソッドへの移行


Y世代:

特徴:

バーチャルの世界を重視しており、グローバルな視点や価値観を持った世界市民と呼ばれている。
反抗的で自立しているが、気が散りやすい側面がある。

マルチタスクをベースとしており、結果や成果にコミットしている。

価値観と信念:

X世代との共通点、Z世代との共通点がそれぞれある。

多様性、「今すぐ」を信条としている。挑戦を受け入れ、新しい知識を身につけたいという欲が強い。
評価されること、承認されること、受け入れられることを望む。
常に何かと繋がっていることを重視し、金銭へのこだわりは弱い。
組織に対するコミットメントは低く、ポジティブな人々との関わりを求める。
家族や人との絆を優先し、社会的な環境問題にも敏感。

社会的文化背景:

インターネットや携帯電話、SNS にマルチメディアなどが好まれる。興味を惹かれるものと惹かれないものでの生産性の違いが大きい。
情報への継続的なアクセスが簡単にできるようになり、実験的で仮想現実世界での学習が普及し始める。

対人コミュニケーション:

聞かれること、尊重されることを望む。オープンデフレンドリーな環境、ストレスのない職場環境の構築が非常に重要である。
文化的多様性を好み、日々生産的かつ魅力的なものにすることを目指す。

葛藤:

不正や連帯の欠如、柔軟で快適な環境が破壊された時、敵意や不信が生じた時に生まれ、その際には自分たちの声を上げる傾向にある。

現在の立場:

現在アスリートとしてピークを迎えている選手もいる世代。

Z世代:

特徴:

デジタルネイティブであり、過剰刺激を受けている。我慢ができない。

起業家精神を持っており、個々が独立している。それでいて協力的であり、創造力に優れている。

価値観と信念:

柔軟性や多様性を重視。尊重され、認められることを求める。
リーダーに最も必要な資質として、正直さを挙げる。給料などの金銭的要因よりも成長の機会を求める。

社会的文化背景:

IT技術の凄まじい発達により、「即時性」の文化がより強化された。
スマートフォンによりワンクリックで強い刺激が手に入り、SNSなどが現実世界からの避難場所になる。

対人コミュニケーション:

「ネットを介した繋がり」。デジタルネイティブで、過剰刺激に慣れてしまっており、何事にもすぐに結果や返答を求める
フィードバックには正直で透明性が高いことを求める。

葛藤:

短気さや内省の欠如が原因となり生まれることが多い。アイディアや貢献に対して正当な評価が得られない場合にも不満が生じる。


現在の立場:

学生であり、育成年代のアスリートがほとんど。
現実社会とバーチャル世界の共存を図っている。


まとめ

これらの特徴を把握したうえで、世代間でのリスペクト、理解する姿勢を維持することが重要です。
世代ごとに学習プロセスも違うため、そこに配慮をしたトレーニングメソッドを考える必要があります。

もちろん、指導者(例えばX世代)と選手(例えばZ世代)の間には世代間の差があります。

その世代間の差によるすれ違いが、チームの成長を妨げる可能性があるため、両者間に文化的背景、時代背景の違いによる前提条件の違うがあることを肝に銘じなければなりません。

今回の記事で紹介した内容も含め、ぜひ参考にしてみてください。

次回は世代間の違いを考慮し、「多様性をどうコントロールし、武器に変えていくか」という具体的な方法論を見ていきます。

では、また次の記事で!

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