心にじんわりと染み入るとは、こういうことなのか
色々と身の回りを片つけていたら、こんな時間になってしまいました。もう少し早くnote更新に向かうはずが、一昨日より修正していたnotionの家計簿データベースが思うようにいかず、手こずってしまいました。
今日は阿部暁子さんの「カフネ」を紹介します。
2024年4月号「小説現代」に掲載されたものを加筆改稿して2024年5月22日講談社より304ページの単行本として発売されています。
主人公は野宮薫子41歳。法務局で働く公務員ですが、遅い結婚のせいか子宝に恵まれず、不妊治療を続け、思いがけず自然妊娠するも流産、その上浮気もしない真面目な夫公隆から一方的に別れ話が出て、一気に離婚、追い討ちをかけるように、仲の良かった弟春彦が謎の急死をするという、なんと声をかけたらいいのかわからないほど、憔悴しきった状態でした。
春彦の葬儀の後、彼が遺言書を残していたことが判明、相続人に以前薫子の実家に付き合っていると春彦が連れてきた女性、小野寺せつなの名前があり薫子は彼女と連絡を取り合う羽目になってしまいます。
とにかくぶっきらぼうで、遺産はいらないと跳ね除けるせつなですが、薫子は愛する弟の頼みだと思い、執拗にせつなと連絡を取ります。
夫と弟を亡くした悲しみから、仕事以外は自堕落な生活を送っていることをせつなに見透かされ、せつなは自分が働く「家事代行サービス会社カフネ」が行っている2時間無料の家事代行を手伝うことになります。
「カフネ」とはポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」を表すそうです。
薫子とせつなは、無料でなければ受けられなかったさまざまな事情を持った家で家事代行サービスを2人で行うことで、お互いを必要として行く関係になっていきます。
自宅での老老介護、ひとり親家庭などいろいろなケースと共に、無料家事の目玉である料理がぐんぐん読者を引き寄せ、じんわりと温かいものが沁みてきます。
せつながある日体調を崩し、ぶっきらぼうな理由をサービス会社の社長常盤斗季子から聞き出した薫子が、決心したことには私も驚きました。皆さんはぜひ読んで確かめてください。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今週も半分終わりました。衆議院議員選挙では野党が過半数を超える議席を獲得、大谷翔平が所属するドジャーズがワールドシリーズで大手をかけ、日本シリーズでは今夜ソフトバンクとDeNAがそれぞれ2勝2敗となりました。週末は野球で盛り上がりそうですね。