リニアトラッキングレコードプレーヤー PX-2 ヤマハ
何年も連絡を取っていなかった友人から急に連絡があった。
「カセットデッキとスピーカーを引き取ってくれないか?」
何々
どうしたんだ。
彼は僕と同じでオーディオを趣味にしている。
高校生の頃オーディオフェアに一緒に出掛けたこともある。
その彼が、大切にしてきたオーディオを手放そうとしている。
「母が亡くなったのでここを退去しなきゃならない」
「荷物の整理をしてるんだが大きい物を処分しようかと思って」
後日彼の自宅を訪ねた。
カセットデッキのTC-K88はリニアスケーティングがベルトの伸びで
うまく動作しない定番の症状だ。
持参したベルトと交換して正常に動くようになった。
TC-K88は僕は3台持っている。
「ベルト交換で復活したからまだ持ってるといいよ」
「そこそこの価格でオークションでも売れるし」
と
所持するよう僕は彼を促した。
結局、ヤマハのリニアトラッキングレコードプレーヤー、
PX-2とスピーカーのボーズ301AVを引き取ることになった。
PX-2はとにかくでかい。
しかもボディはオールアルミダイカストでコストがかかっている。
1979年発売で180000円。
この当時大卒初任給は10万円程度。
現在の価値に換算すると凡そ40万円弱だろうか。
不具合があり正常動作しないが高価なものを頂いた。
修理に挑んで復活させたい。
修理記録 ↓↓↓
リニアトラッキングプレーヤーというのは、
トンアームが手前側にストレートに伸びておりその付け根の土台事、
左方向即ちレコード盤の中心方向に移動するタイプのこと。
トーンアームが水平(プレーヤーの左右)方向に直線(リニア)移動する。
一般的なレコードプレーヤーはトーンアームの土台部分(アームベース)を
軸にしてアームの先端部分(カートリッジ)がレコード盤の中心方向に動く。
当時はリニアトラッキングレコードプレーヤーは希少性と高度な技術として
高級機の位置づけだった。
製造メーカーも数社だけで現存する中古などもあまり多くない。
ヤマハPX-2はパイオニア製のそれとは違い、ベルトコンベヤのような
平ベルトの上にアームブロックが乗っかっており平ベルトが
伸びてしまいモーターからの動力が空回りして伝わらない状態だった。
ベルトを引っ張り直すためにスプリングを固いタイプに交換して症状は
かなり改善したが完璧ではない。
ベルトはホームポジションのまま長い間放置されていたせいか、
その位置での癖がついている。
その影響でたまにスリップする。
手で押したりと介添えが必要な時もある。
オリジナル補修部品が無い以上完璧は望めないのでこのまま使おうと思う。
リニアに相応しい直線的なボディに四角いボタン類。
当時としては近未来的なデザインを意識したのだろう。
物が小さくても高機能な現代のデジタル製品から比べたら
鉄の塊
かもしれない。
昭和の時代というのはそういう非効率的な世の中だった。
コスパなどというワードは存在しない。
無駄の塊が人の心を捉える。
そんな時代だった。
店内にPX-2はオブジェとして展示しています。