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お値段。

骨董市へ行ってのグラスや古本屋で資料本を見つけたりした時、買おうか迷うと当然値札を見る。
で、「あー…これくらいか…そうだよな…」と買ってしまうことがままある。
価格は物によって様々だけど、安くないものが多い。
そういう時に「はて、いつから自分はこんな価格(いわゆるプレ値)でも買うようになったのだろう?」と振り返る瞬間がある。

思い返してみると、音(CDやレコード)に関しては多少の値上がりくらいならもっと前からそうしていたけれど、本とグラスは間違いなく当店の開店以降。
これは単純に自分の裁量で店舗自体を動かせるようになったのでタガが外れた、というのがわかりやすくいちばんの理由である。欲しい資料本だって使ってみたいグラスだって自分の意志ひとつで購入できてしまうのだ。
まあ活用するだけの覚悟を持って手元に置くのなら良い。そういう意味でグラスは購入しやすい。だって営業していれば使えるのだから。購入後はほぼ自動的に働いてくれる。

問題は本である。

往々にして資料として欲しいものは重版のかからないものばかり。つまり初版が新品市場から消えてしまったらもうアウトなのだ。
あとはネットなりリアルなりの古本市場を探すしかないのだけど、これがまた骨が折れる。そして想像に難くなく、高確率で冒頭で述べた状態になって発見される。釣り上げなかった魚は大きくなる。それも予想より遥かに。
だから「見つけた時が最安値」を肝に銘じて購入している。
そうやって購入しているうちに価格に対する抵抗がなくなって、気づけば倍くらいなら「仕方ない」と思って買ってしまったりしている。
いやはや、慣れとは恐ろしいものだ。

−そういえば学生時分は¥2000を超えてくるような本なんてまず買わなかったし、買うときはとてもドキドキだった。そのくせCDアルバムや服ならその何倍というものでもひょいと買っていたのに。本に出すのをあれだけ渋っていたのはなんとも俗物であったと苦笑せざるを得ない。
今では完全に逆転とまでは行かずとも、ひっくり返ってしまった。
今の仕事においてより必要なのは服装より知識だからかもしれないなあ。






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