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堺で歴史・文化を楽しもう(2024年5月23日)

※この記事は2024年5月23日に開催したイベントの参加レポートです。

大阪府、堺市。

中世には商業と海運で栄え、戦国武将たちにも重視された土地です。

ちなみに堺という地名はもともと、平安時代に旧摂津国・旧和泉国・旧河内国の三国の”さかいめ”で発展した場所であったため、こう呼ばれるようになったと伝えられています。

日本史好きなら訪れたいこの街の魅力を教えてくれたのは、堺市東京事務所の羽田さん。

「東京事務所では、堺市の知名度をあげるためのプロモーションや、企業誘致などの取り組みをしています」

「堺は、非常に歴史と文化が深い。少しでも堺に関心をもっていただき、ぜひ遊びに着てほしいと思います」

古代から残る、堺市の歴史文化資源

「堺市には古代から、中世、近世、近代、現代にいたるまで、1600年におよぶ重層的な歴史・文化資源が数々あります」

古代の文化遺産として有名なのが、仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥古墳群。令和元年7月には、古市古墳群とともに世界文化遺産に登録されました。

「大阪府で唯一の世界遺産。京都や奈良には世界遺産がたくさんあるんですが、実はずっと大阪にはなくて。仁徳天皇陵の世界遺産登録は、大阪府民の念願叶ってのことでした」

仁徳天皇陵といえば、あの特徴的な鍵穴のような形。

「あの形は、空からでないと見えないんです。近くでいちばん高い市役所の展望フロアからみても、普通の森にしか見えない」

「世界遺産に登録されてから非常に関心も高まっているので。上から鍵穴のかたちが見られるように、近くの公園からガス気球を飛ばす計画が進んでいます」

気球から雄大な世界遺産を望めるなんて、またとない体験になりそう!

「ただ、古墳はやっぱり天皇のお墓なので、『天皇さまのお墓を上から見下ろしていいのか?』という懸念もあり…。お墓としての尊厳を保ちつつ、観光資源として活用できるように調整しながら進めています」

仁徳天皇陵のほかにも、堺市内には何十という数の古墳が存在。街中で1000年以上も昔の人々が残したものに出会えるなんて、なんだかワクワクします。

偉人に触れる観光スポット

中世のころ、堺は海外交易の拠点として豊かに発展しました。

街の西側を海、他方を堀で囲まれた土地は観光都市として多くのひとで賑わい、豪商たちを中心に、当時の経済文化の一大拠点として繁栄。

もちろん、中世に活躍した戦国武将たちとも深い縁があります。

「非常に有名なお寺が、南宗寺。大阪夏の陣で真田幸村の奇襲を受けて逃げ出した家康が、この南宗寺で絶命したといわれています」

また、国の天然記念物に指定されている妙國寺の大蘇鉄には、織田信長とのつながりがあるのだとか。

「信長が安土城をつくった時に、この蘇鉄が非常に大きくて雄大だったため、城の庭に移植したんですね。ただ、毎日毎日、蘇鉄が堺に帰りたいと泣いて。信長はそれに激怒して、この蘇鉄を切り倒してしまった」

「すると、その切り倒したところから血が流れ出た。流れた血がうねって、蛇のような形になったので、恐れを抱いた信長が妙國寺に戻した、と伝えられています」

そして中世の堺一の有名人といえば、茶聖・千利休です。

そんな利休と、もうひとり、堺出身の文化人与謝野晶子に関する史料や展示を楽しめるのが、「さかい利晶の杜」。

さかい利晶の杜公式サイト

「千利休と与謝野晶子を通して、堺市の歴史、文化がわかる施設です」

利休、晶子、それぞれが生きた時代の背景とともにふたりの功績や生き方に触れるミュージアム。

中でも茶の湯体験は大人気。茶道の流派で三千家と呼ばれる表千家・裏千家・武者小路千家、それぞれのお茶をいただけます。

「三千家のお茶を一か所で体験できるのは、世界でもこちらだけです。本格的な和室仕様もありますが、外国の方でも楽しんでいただきやすいように、椅子に座りながら茶席を体験することもできます」

今日まで伝わる匠のものづくり

堺には豊かなものづくり文化も根付いています。

今年、令和6年3月にオープンした「鉄炮鍛冶屋敷」は、全国で唯一現存する江戸時代の鉄炮鍛冶の住居兼作業場。

堺市立町家歴史観公式サイト

「鉄炮鍛冶の井上関右衛門家の住宅地だったんですが、文化庁も加わって歴史をひも解くための色々な調査が行われた場所でして。それがようやく、博物館的な位置づけでオープンを迎えたわけです」

「中にはガイドさんもいて、詳しい紹介もしてもらえます。全国から多くの方に来ていただいております」

伝統産業に触れる上で欠かせないスポットはほかにも。

「令和4年にリニューアルされた『堺伝匠館』には、伝統産業に関するものが集まっています。シャンデリアがあるんですけどね、これが堺の刃物、包丁が吊るされてできているんです」

包丁のシャンデリアなんて、きっとここでしかお目にかかれません!

堺で刃物産業が発展した理由は、タバコ。16世紀末にポルトガルから伝来したタバコは、国内でも栽培されるようになって全国へ広まりましたが、収穫したタバコの葉を刻むのに用いられたのが堺の包丁だったのです。

「現在も、料理人さんの包丁のシェアではずっとナンバーワンで、インバウンド旅行客の方にも人気です」

「堺の包丁の特徴は、ひとつの鍛冶屋さんで完成するものではないということ。柄をつくるひと、研ぐひと、鍛造するひと、すべて分業制で、手間をかけてつくっています」

堺伝匠館の1階では、多種多様な包丁はもちろん、手ぬぐいなどそのほかの伝統産業品も購入可能です。

ほかにも、世界最古の自転車を所蔵する「シマノ自転車博物館」や7月末に開催される「堺大魚夜市」、10月頃の「堺まつり」など、羽田さんが紹介してくれた見どころは盛りだくさん。

何度遊びに行っても飽きないのでは。

古代の遺跡、戦国武将ゆかりの地、伝統工芸、そして文化…日本に積み重ねられてきた歴史のさまざまな一面を体感できる堺。

次の旅先候補としてぜひ、いかがでしょうか?

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