少し寒いくらいがちょうどいい。
何事も少し寒いくらいがちょうどいい。
朝目が覚めてカーテンを開ける。
寒い寒いと言いながら洗面所に向かう。
少し寒いから、あったかいコーヒーを飲む。
掃除やらを家事をするにも、少し寒いから暖かい上着を羽織る。
窓を開けると、少し寒い風が入り込み、まるで何かが浄化される、リセットされる感じ。
一度、リセットすると、心なしか澄んだ空気になる。
その後暖房なりを入れたほうが、健康的な温もりを感じられる。
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さて、軽い朝食をすまし、薄暗い部屋で、お勉強でもしようかと机に向かう。
少し寒いので、ブランケットを膝にかける。
少し寒いくらいのが、集中できて、作業が捗るというものだ。
コタツなんてものに入ってしまえば、幸せそのものだが、夢うつつになってしまう。
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今日は、少し寒いので、お汁粉を作ってみた。
少し寒い外でゴミ拾いなどをした後にいただく、焼き芋やお汁粉というのは格別である。
隠し味とでも呼ぶべきかもしれない。
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「人肌恋しい季節になりましたね」
高校生の頃の担任の先生が、秋冬になると、よく言っていた。
少し寒いくらいが、人と人との間にある温もりがよく感じられる。
体育の時間になると、みな体を震わせながら体操服に着替え、手をポッケに突っ込んで体を丸くしていた。
たいてい、クラスに一人や二人くらい、異様に温かい服装をしているやつがいて、それと対照的に寒さに強い耐性を持つ個体もいて愉快である。たまにある日向を小賢しく占領しているのもいる。
体を動かしてしまえば、汗をかくくらいあったまるのだが、それまでが大変である。
そうして早くも1時間がすぎ、みんなで整列することにはまた体が冷え始める。
それもまた、青春であろう。
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寒さは温もりを彩る。
少し寒いくらいがちょうどいい。