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沖縄子連れ旅行で考えたあれこれ

中学生の時に長崎に修学旅行に行った。私の家族はあまり旅行をすることがなく、海外旅行はもちろんなし、国内旅行も道内が中心で、せいぜい東京と母の実家がある秋田だけ。富士山すらも大人になるまで見たことがなかった。

そういうわけで、初めて長崎のちに降り立ったときの興奮は今でも覚えている。ぜんぜん北海道と違う!!とにかく生えている植物が全然違う。ヤシの木や、教科書でしか見たことのなかったソテツなど、ここは太平洋に浮かぶ南の島か・・?!と思うほど、見たことのないトロピカルな植物が当たり前のようにそこには生えていた。そして建物も違う。瓦屋根なんてものを観たことなくて、瓦屋根の家を観ただけで、江戸時代みたいな家がある!!と思った。それから、街の風景も全然違う。長崎は坂が多いから、盆地の札幌と全然違う。そもそも長崎と札幌では街が抱く歴史の厚みが全然違う。そういった違いに圧倒されっぱなしの修学旅行だった。

一方、30代で訪れた沖縄は、もちろん長崎よりももっと物理的にも文化的にも精神的にも色んな意味で北海道とは遠かった。沖縄の人々が喋る言葉、街の雰囲気、植物、市場に並ぶお魚、なにもかもが全然違っていて、長崎とは比べ物にならないくらいだ。

でも、感動の大きさは長崎とは全然比べ物にならなかった。沖縄では「へーやっぱ沖縄はトロピカルだねぇー」という感想を呟いたくらいで、中学生の時に初めて長崎を訪れたときほどの衝撃を受けることはなかった。

それはおそらく、もう30歳になって、たくさんの国を旅行してきたから、「北海道と違う」いろんなものを観てきたし、逆に「北海道よりは沖縄に近いいろんなもの」を観てきたからでもあると思う。例えば、沖縄の道を走っていると墓地の横を通り過ぎることがよくあるが、沖縄の墓地は本州のそれとはかなり様子が異なる。でも私は「沖縄のお墓って、台湾のお墓みたいに家みたいになってんだー」とボソっと呟いて、隣で運転している夫も「だねー」と呟いて終わってしまった。中学生の頃なら、いわゆる日本の墓っぽい墓をみたことがなかったから、すごく驚いて興味を持って沖縄の墓について調べだしただろうな、と思う。

そう思うと少し切ないような淋しいようななんともいえない気持ちになってしまった。

私の家庭は貧乏というわけでは決してなかったが余裕があるというわけではなく、旅行にはあまり行かなかった。そういうことを両親は少し申し訳ないというふうに感じているようだけれど、私にとっては大人になってから自分の足でいろんな場所を開拓したり、初めての旅行の興奮を味わったりすることができて、むしろとても感謝している。

そうして旅好きになった私は、息子もたくさんの場所に連れていきたいと考えているし、息子が小学校に上がる前には世界一周の旅にも出たいと思っている。でも早くからいろんなところに行くことで、息子から「自分でやった」という感動体験を奪ってしまうことにもなるのかな?とふと思った。

まあでも子供のときに色んなものを目にすることで、自分の常識を相対化できるようになって教養を身につけられたりもするし、子供の頃からたくさん旅に出た人生にも、大人になってから初めて旅に出る人生にも、どっちにも旨味があるんだよなあ、と思った。

だから、子どもの育て方なんて、どんな育て方してもそこにはそれぞれの良さがある、というかそこに子供が勝手に色んな良さを見出していく。だから、そんなに親があれこれ考えなくてもいいのかもしれないな、と思った。

最近、自分のキャリアのことや子育てのことをいろいろややこしく思い悩んだ上で、「まぁでも結局どっちでもなるようになるんじゃないか」という元も子もない結論に至ることが多い。できれば、思い悩む前にその結論に至りたいものですけどね・・・笑

ではまた!

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